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沖縄・台湾侵攻2025 Easy Mode 完全版 Ver2.1  作者: しののめ八雲
少年は涙を流し、瓦礫を掴む
86/221

波状攻撃

2025年4月2日 04:35 沖縄沖


対艦攻撃任務の旧海軍航空隊(2年前に海軍から空軍所属に移管した)のJ16のうち、F22の奇襲を生き延びたのは15機だった。

彼等は、突然多数の戦友を失った精神的な衝撃から回復すると、一度散開した編隊を組み直してから、佐世保への退避を続ける日米BMDグループへの飽和攻撃を開始した。

敵艦隊がSM2やSM6を撃ち尽くしたと読んでいる彼等は、彼我の距離70キロまで肉薄すると、ESSMの射程圏外から対艦ミサイルCJ12を30発撃ち込んで来た。


発射されたCJ12は、BMDグループの中でも大型の「ひゅうが」「シャイロー」をロックオンするものが多かった。

イージス艦と「ひゅうが」を直掩する、護衛艦「ふゆづき」「むらさめ」「いかづち」の3隻が、未だ残していたESSMでの迎撃を試みた。だが、もうその残弾は阻止に十分ではない。


妨害電波、チャフ、デコイ、近接防空火器の迎撃をくぐり抜けて、目標に命中したCJ12は10発だった。「むらさめ」は、ESSMを撃ち尽くした「ひゅうが」を守ろうと、盾になるようにその左舷へ移動してから側面をさらした結果、2発のCJ12を被弾した。


被弾箇所が悪かった。「むらさめ」は船体中央への被弾によって、SSM1B対艦ミサイルの誘爆を引き起こしたのだ。大火災が起きると共に、中央部には亀裂が発生して浸水が始まった。

同じく2発が命中した「シャイロー」は大破して洋上に停止。

「むらさめ」は、火災の延焼と浸水が止まらず、被弾後20分で艦の放棄が決定された。

イージス艦の「こんごう」と「ハワード」も、それぞれ1発と至近弾を受けたが、航行可能だった。


そして「ひゅうが」は最大の5発が命中した。先ほどのような幸運には今度は恵まれず、今度は前借りした幸運の貸し剥がしに見舞われ、CICとFICとが共に被害を受けた。

その結果、BMDグループ司令、艦長、さらに米海軍の連絡士官が死傷。さらに喫水線下にも1発が命中し、致命的な浸水が生じていた。

5発の命中弾の結果、主要幹部のみならず、曹士にも多数の死傷者を生じたことで、ダメージコントロールが効果的に行えない状況に陥った。


艦長から指揮を継承した副長は、冷静に状況を判断した。彼は生き残った人員の救助を優先して「ひゅうが」をあきらめ、その放棄を決定する。

現場に到着した「あまくさ」は「ひゅうが」を曳航するだけの力があったが、生存者の救助に集中した。


2025年4月2日 06:40 沖縄沖


そして2時間後に「ひゅうが」はついに沈没した。その30分後に「シャイロー」「むらさめ」が相次いで後を追う。

(シャイローは昨年に退役の予定が、延期されていた。)


第2次大戦後に初めて日米の艦艇を揃って撃沈。しかも難攻不落を謳われた、イージス艦の防御を突破して、敵旗艦と推定される「ひゅうが」を撃破する大戦果。

犠牲は大きかったが、帰還したJ16のパイロット達は歓喜に沸いた。


対潜指揮艦であり総旗艦の「ひゅうが」と、BMD指揮艦だった「シャイロー」を同時に失ったBMDグループだったが、既にもう1隻のタイコンデロガ級「アンティータム」が、「ひゅうが」からグループの総指揮を継承。

生存者救助と移乗の後、残存艦艇6隻をまとめて、今度こそ佐世保へと帰投していった。大損害を受けつつも、統制を保って彼等は後退しつつある。日頃の訓練の成果だろう。

だが、この時点でBMDグループの死傷者、行方不明者は250名に達していたのだ。



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