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帰国、そして

 出発から5日、ルルを乗せた馬車は予定通り神聖国の首都ハーベストに到着し、実家である大神殿の前に止まった。


「はぁ…この街も変わりましたね」


 ルルは馬車から降り、悲しそうに呟いた。


「えっ? そうでしょうか?」


「分からないですか? そうですか…それはとても残念です…とりあえずお父様の所へ行きましょうか、色々話さないといけない事があるみたいなので」


「は、はい、ご案内します」


 ルミナスに案内され、父である教皇が居る会議室に入ると、大神官や枢機卿などのお偉い様達が勢揃いしていた。


「おおルル、やっと帰ってきたか!」


「ええ、たった今街を見てきました…それで皆さんに聞きたいのですよ、私が居ない間にどうしてああなってしまったのかを」


 ルルは当たり前のように会議室の1番上座に座り、周りに座る者達を冷たい目で見回しながらそう問いかけた。


「あの…ルル様の仰っている意味が分からないのですが」


 枢機卿は冷や汗をかきながら恐る恐るそう問いかけると、ルルは何故分からないんだと言わんばかりに大きくため息をついた。


「…私が聞きたいのは、どうして私の街にボロ布のような服を着て彷徨っている孤児がいるのかを聞いているのです、あれは明らかに住む場所が無い孤児でしたよ? 腕も足も枝のように細くなっていましたが…あなた達は一体何をしているのですか?」


「お言葉ですが聖女様、そういった孤児は他所から勝手にやって来た亜人でして…」


「は? 亜人? おかしいですね? アドニス教はいつから多種族の方々を蔑称で呼び、扱いに差を付けるようになったのですか? ねぇ枢機卿、いつからですか?」


 男の言葉を遮り、凄い剣幕で会議室に居る者に問いかけるルルは、途轍もない威圧感を漂わせながら最後に枢機卿に問いかけた。


「あ…いえ…そのような事はない筈ですが…」


「ならその様な事をしているのは先程の…名前は知りませんが、そこの方が勝手な判断でしている事であると、そういう事ですか?」


「はい…少なくとも他の者がそういった扱いを多種族の方々にしているのを見た事はありません」


「そうですか…では聖女ルルとして、そこの方は高位の神官としての品格や人格が不適合であり、彼の軽率な行動により、これまで私達が築いてきたアドニス教と多種族の方々の関係性を著しく貶め、我々の活動を阻害する可能性が高いと判断します。

よって、全ての役職を解任し、二等神官から修行し直す事を命じます」


「なっ!? そんな横暴がまかり通る筈がないでしょう! 教皇様! 聖女様は怒りで我を忘れておられます! 即刻退出を!」


 男は顔を真っ赤にして怒鳴り散らすが、ルルは頬杖をつき、教皇はどこ吹く風といった態度で男を冷たい目でじっと見続ける。


「そうはいかないのだ、教会の最高権力者は教皇では無く聖女だからな、ルルがそう命じたのならば、我々はそれに従うのみなのだよ…枢機卿…通達を」


「はい、では大神官エドモンド、たった今を持って貴殿の役職を全て解任し、二等神官として2年間の巡礼の旅を命ずる」


「そんな…私には家族が…」


 エドモンドは真っ青な顔で周りを見回すが、皆目を合わせようとはしなかった。

 それもその筈、迂闊に庇ったりしてルルの不況を買って彼の二の舞になりたくないだろうから。


「あなたの家族の事など私には関係ありません、では街にいる孤児を全員引き取り、衣食住の不自由が無い様にとり計って下さい、それと直ぐに国王をここに呼んで下さい、この街の状況について聞きたい事が沢山あるので」


「聖女様、今孤児院は満員で…」


「なら神殿の空き部屋を開放すればいいでしょう? 分かったら直ぐに行動して貰えますか? 私はあなた達のあまりの不甲斐なさにイライラしているのです、だからこれ以上失望させないで下さいね?」


「も、申し訳ありません! 直ぐに!」


 ルルに睨まれ、怯えた様子の男は逃げる様に部屋を出て行き、大声で孤児の保護を指示していた。


「ルル…やり過ぎではないか?」


「何処がですか? 私がいない間に、私が苦労して作り上げた楽園に悲しみをもたらそうとしていたのですよ? お父様には話した事がありますよね、私は聖女として私の手の届く範囲の悲しみを無くすと…そしてそれを邪魔する存在は絶対に許さないと」


「…ああ、そうだったな…」


「まずは国の上層部の意識を改めさせます、私が居ないうちに随分と弛んでしまったようですからね」




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