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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第七章 球技祭 
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姉の代わりにVTuber 113


「どうゆう事……?」


一連の流れから、最後に放たれたあきらの言葉に、春奈はるなは説明を要求した。


「どうも何もそのままの意味。

――穂高ほだかは、誰とも付き合わない……。

恋愛に興味が無い……?それとも、諦めてるのか……、やる気が無いのか……、理由はまるで想像付かないけど……。

正直、こんだけ長い付き合いだけど、穂高の本心とか、考えてる事って、まるで分かんないしね……。

――まぁ、別に分かんなくても友達だし、今後も関係は続いてくんだろうけど……」


断言する割には、彰は釈然としない様子で話し続け、当然、彰の話す内容に興味のある春奈は、真剣な面持ちで、彰に言葉を返す。


「色々聞きたい事はあるけど、なんで?

なんで天ケ瀬君は、断るって断言できるの??」


「――昔、穂高が好きだったはずの、女の子からの告白を断ったから」


一度、決意を固めた彰は、発言に迷いが無く、ただ淡々と現実を突きつける様に、春奈からの質問に答えた。


そして、そんな事が過去にあったと知る由も無い春奈は、驚きの表情を浮かべた。


「こ、告白って……、やっぱり、天ケ瀬君ってモテたりするの?」


「意外にね?

でも、モテるの定義がどうだかは分からないけど、俺が知る限りでは、告白されたのは一度だけ……。

まぁ、優しかったりするし、友達贔屓かもしれないけど、良い奴だしな?

――穂高は否定するけど、別に不細工ってわけでも無いし……、勿論イケメンでは無いけど」


冷ややかな印象を持って話していた彰は、穂高の事を話し出すと、少しだけ印象が柔らかくなり、自然と笑顔も見せ、それは春奈の目から見ても、本当に仲が良いからこその反応に見えた。


しかし、そんな彰の柔らかい雰囲気は一瞬の出来事に終わり、すぐに真剣な面持ちに戻ると、まだ理解に追い付いていなさそうな春奈に対して、彰は続けて言葉を投げかける。


「――でも、良かった……。

まだ、春奈が穂高に惚れてないって、そうゆうんじゃないって聞けて……」


「なんで……?」


困惑する春奈に、彰は躊躇う事無く、その理由を話す。


「実はさ? 春奈の事……、好きな知り合いがいるんだ。

付き合いたいって思ってるみたいだし、春奈がもしよかったら紹介しようとも思ってたから……。

まぁ、万が一にも無いだろうけど……、春奈だって、望みが無い穂高に、恋するよりは良いかと思ったし」


「―――――余計なお世話だよ……、彰…………」


彰は後ろめたさから、途中から春奈から視線を逸らし、話していたが、全てを伝え終えた上で、帰ってきた冷やかな春奈の声に、「しまったッ」と直感的に感じたが、時は既に遅かった。


自分の思惑の為に、無理に話を進め過ぎた彰は、すぐに己の過ちに気付き、春奈の表情を見たが、春奈の表情からは、明らかに怒りの色が見えた。


元々綺麗で、カッコいいよりの顔立ちをしていた春奈は、凄むと何とも言えぬ威圧感を放ち、彰もそれ以上余計な事を言う気は起きなかった。


「天ケ瀬君の居場所……、教えて」


「――――体育館裏だよ。

二年の女子バスケ部の子に呼ばれてた」


「ありがとッ……」


春奈の質問に、彰は少しだけ悩んだ後、真実を素直に春奈に伝え、彰から穂高の居場所を聞くと、春奈は一言だけ、お礼を告げ、体育館裏へと急いで向かっていった。


「――――はぁぁ~~~~、流石に強引過ぎたかぁ~~~……」


春奈が姿を消した事を確認すると、彰はその場でうずくまり、大きなため息を吐いた。


(――春奈には確かに悪いとは思うけど……、こうするしかないんだよ俺は…………。

今日のバスケの試合でようやく、俊也しゅんやと穂高は仲良くなれたのに、また変ないざこざで関係が壊れたら…………。

――――どうせ、穂高の奴は恋愛事に興味はないんだし、春奈が気持ちを確定していないのであれば、まだ未然に防げると…………)


大貫おおぬき達と穂高の間で、板挟み状態にある彰は、余計なトラブルを起こさない事に、尽力していた。


「――自分で自分が嫌になる…………」


彰は取りたくない行動であっても、それを取らざるを得ない、友達に不義理を働いていると分かっても、止める事が出来ない自分に、嫌悪感を感じながら呟いた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「えっと……、俺の聞き間違いじゃなければ、付き合いたいって聞こえたんだけど……」


穂高は自分で言っていて、勇気を出して告白してきた相手に対して、失礼極まりないとも感じながらも、耳を疑う言葉に、聞き返さずにはいられなかった。


「――あ、え……、はいッ! お願い致しますッ! 付き合ってください!!」


穂高は再度、あおに頭を下げられ、完全に困り切っていた。


「い、いやッ! なんで俺?

三年生と二年生だし、部活が一緒なわけでも無い……、接点は無いよね??」


「た、確かに、私との接点は無いですけど……、先輩のストーカーを撃退した話を聞いて……。

優しい人なんだなって……、そこから気になり始めて……」


(――あ、なるほど、女子バスケ部か……。

いや、まぁ、事件の詳細は知ってるんだろうけど……、それが理由になりえるのか……?)


碧の事情を穂高は何となく察したが、イマイチそれだけの理由で、好意を持たれた事が疑問で、まだ疑う部分があった。


(告白される最悪のケースで、罰ゲームって言うのがあるけど、流石にそれは無さ過ぎるな……。

クラスどころか学年が違うし……、他に盛り上がる事が多い球技祭の今日にやる意味もない…………。

――あるとすると、噂に尾ひれがつきまくって、過剰評価をされてる線……)


穂高は、人生で二度目の出来事に、正常に思考できておらず、完全に慌てていた。


「ご、ごめん……、ちょっと現実味が無いというか……。

眞鍋まなべさんみたいな可愛い子が、地味な俺に告白してくるのが信じられないって言うか……」


「かッ、可愛いッ!!」


「――――――あ」


穂高は勿論本心からの言葉だったが、今使うべきでは無かったと後悔し、穂高の言葉に碧は、一気に顔が赤く染まる。


そして、碧は一つ間を置いた後、詰め寄るように穂高に問いかけた。


「――じゃ、じゃあッ! 私と付き合って貰えますかッ!?」


真っすぐ過ぎる碧の言葉に、穂高は一瞬、困った表情を浮かべるも、穂高が答える言葉は、最初から決まっていた為、返事を保留にするなどと言った事は無かった。


「――――ごめん、今、誰かと付き合うとかっていう事は、出来ない」


誤字脱字報告ありがとうございます。

後、すみませんがちょっとこの回は、今後修正入れるかもしれないです。

話の大まかな流れは変わらないので、次回からも投稿は続けます。

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