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【16200PV感謝】剣に見込まれヒーロー(♀)に 乙女の舞で地脈を正します 剣巫女・剣奈 冒険の旅  作者: 夏風
第八章 鳴門海峡の封印

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155 ボクとクニちゃはオメガバース! アレを固く長くするのは二人の共同作業!

「うふふ」

 

 剣奈はクスリと笑った。


「テメェは今日くたばりかけたんだ。明日の闘いは許さねぇ」


 玲奈にそう宣言された翌朝のことである。剣奈は藤倉と玲奈がバイクで出かけるのを見送った(143話)。


 剣奈はマリンサイトの玄関から少し歩いて朝日に輝く淡路の海を見つめていた。

 そして剣奈は突然「うふふ」と微笑んだ。


『いかがした?』

「クニちゃ。ボク……、バカだった」

『うむ?』

「剣気を結晶化する修行やってるじゃん?」

『うむ。じゃが……、なかなか手がかりは掴めぬのう……』

「うふふ」

『うむ?』

「クニちゃもそう思った?」

『こやつめ……。意味深に微笑みおって……。悪い娘っこじゃ』


 来国光はおどけながら、そして期待を持って剣奈を見つめた。


 剣奈は輝く笑顔で海を見つめていた。その表情は晴れ晴れとしていた。


「ケントスペシャルスプラッシュ、そしてケントスペシャルシークエンスアロー。あれでボク、何してた?」

『剣気を細い針にして敵に飛ばしておったんじゃろ?そして巨猪に対しては同じ箇所を連弾で貫いた』

「うんうん。針!敵を貫く白黄の……」

『はっ!そうじゃ!お主はすでに剣気を形に変えていたのじゃ!』

「うん!ボク、とっくの昔に剣気を硬い針にできるようになってた。そして意識せずにそれを使ってた!」


 剣奈は刀袋から来国光を取り出した。


 プツリ


 剣奈は鯉口を切った。そして来国光を静かに抜刀した。鞘は刀袋ごとズボンのベルトに差し込んだ。


「クニちゃ。謎が解けた気がする」

『謎とな?』

「うん。ボクは、ボクは間違ってた……」

『ふむ……』

「ボクは、思い上がってたんだ」

『思い上がっていたとな?』

「うん。ボク一人で剣気を自在に操れるようになってるって……」

『いや。なってるじゃろ?思い上がりでもなんでもないぞ?』


 来国光が剣奈に言った。なっているではないか。来国光は思った。

 あれほど見事に剣気を使いこなしているのだ。身体強化のための体内での剣気移動はよどみなかった。

 剣気を細い針にして飛ばすケントスペシャルスプラッシュ、そして刀身に剣気を纏わせ長い刀身を作り出し敵を断つライトニングアタック。

 

 技の名称こそ剣人語特有の面妖な響きである。しかし剣気を使いこなしす(わざ)自体は見事なものだった。


 剣奈はもはや剣気の扱いにかけては熟練の域に達していると言っても過言ではなかった。


 来国光の刀身に向かって剣奈は真剣な表情で語りかけた。その表情からは迷いは消えていた。


「ううん。なってたんだ……ボク、大事なことをないがしろにしていた」

『大事なこととな?』

「クニちゃとボクの絆。クニちゃはボクの師匠であり、そして大事なパートナーだってこと」

『忘れておらんじゃろ?今だって二人を見送る時にワシを大事に抱えて来てくれたじゃろ』


 ――――


 ――今朝のことである。玲奈が出かける素振りを見せた。


「じゃあな。テメエはおとなしく今日は寝てな」玲奈が言った。

「玲奈姉はどうするの?」

「今の武器は威力が足りねえ。みつぐ……、財布……。ん、んんん。いや、藤倉をひっ捕まえて新しい銃を買いに行く」

「そうなんだ……。ボクも……、ボクも一緒に行きたいな……」

「何言ってやがる。言ったろ?テメエは今日は休息日だ。しっかり体を休めやがれ。それも大事なことだ」

「ちぇっ」

「おい藤倉っ」


 玲奈が部屋を出て一階に降りていった。剣奈は慌てて玲奈を追いかけた。無意識に来国光を胸に抱いて……


――――――


「当たり前じゃん!ボクはクニちゃのつがいだよ?」

『げふっ。ん、んんんん』

「ん?どうしたのクニちゃ」


 来国光がのどを詰まらせた。


 ――ん?邪斬くんよ?君に喉などないだろう?なんだその人間らしい喉の詰まらせ方は?しかも君、無意識にしてただろ?

 まあ。それだけびっくりしたってことか。何しろ「つがい」である。いきなりの夫婦宣言である。いきなりのお嫁さん宣言である。

 来国光がびっくりするのも無理はない。まあ剣奈は何を口走っているか、その自覚もあるまいが。ほんっと剣奈、君は小悪魔だよ。


「そう。いうなればオメガバース」

『オメガバースとな?また面妖に響きじゃの……』

「うん。お母さんが時々つぶやいてるんだ。アルファ、オメガ、オメガバース……って」

千剣破(ちはや)どのか……』

「うん。なんかね。深い絆を持つ特別な二人を指す言葉みたい」

『なるほどのう』


 来国光は思った。明らかに剣奈は言葉遣いを誤ってると。そしてこれはおそらく千剣破に確認してはダメな案件だと……。


 来国光の直感が告げるのである。


 サワラヌカミニタタリナシ……。


『それで何をつかんだのじゃ?』


 怪しげな会話から自然に剣奈の思考をずらそうとする来国光である。さすが剣奈の扱いには慣れている。


「うん!一人でやろうとしたことが間違いだったんだよ!」


 あっさり誘導されたチョロ剣奈である。


『ふむ』

「ボクがアレを硬くしたり長くしたりする時……、いつもクニちゃと……、二人の……、共同作業だった……」


 なにやら怪しげなことをつぶやく剣奈である。


 剣奈は朝日に来国光をかざした。来国光の刀身が美しく光り輝いていた。

 

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