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甘く優しい世界で生きるには  作者: 深/深木
本編(完結済み)
167/262

第百六十七話

本日より更新を再開いたします。

大変短いお話となりますが、本日中にこちらの続きを他人目線で投稿させていただく予定ですので、お楽しみいただければ幸いです。

 アラクネと大蜘蛛を埋葬後、傭兵達と合流した俺とジンは魔獣達の討伐に勤しんだ。

 数が多いとはいえ、統率者を失い烏合の衆と成り果てた魔獣相手に苦戦することはなく、討伐は淡々と進む。

 そうして何かを振り切るように魔獣狩りを続けること数時間、ジョイエ殿が率いる魔術師団が深淵の森とマジェスタを隔てるように結界を張ったことで俺達は役目を終えた。

 いや、強制終了させられたというのが正しい。

 準備完了の合図後、アルゴ殿や炎蛇の面々が森から撤収したのを見届けたら俺やジンはジョイエ殿や騎士団長と合流し、魔獣殲滅を手伝う予定だった。しかし、アラクネ達と戦う前に放った魔法がまずかったらしく、「あのような魔法を使われお疲れでしょうから、あとのことは我々に任せドイル様達は休んでいてください」とジョイエ殿にやんわり同行を断られ、騎士団団長には「この度の魔獣討伐において森の破壊は許可されていない故、お前達ほどの使い手は不要だ。ここで休んでいるといい」と言われてしまったのだ。

 体力的にも魔力的にも余裕があった俺とジンからすれば不満の一言だが、リヒター殿が放った「深淵の森での目立つ戦闘は、陛下の意に反します」との言葉に引き下がるしかなかったのが、悔しいところである。

 そんなやり取りの後、やけに笑顔なリヒター殿に見張られつつジョイエ殿達の帰りを待つこと数刻。日が落ち、辺りが暗闇に包まれる頃には魔獣の奔流も止まり、城から派遣された俺達は帰路についた。

 それが今から二日前の話である。




 グレイ様達の心遣いにより昨日一日、休息を与えられた俺は現在、戴冠式や王族の婚姻といった式事、マジェスタの建国を祝う祭典などを執り行うため、城の敷地内に建てられた大聖堂にいる。

 白い石を積み上げて作られた壁や天井を白い石柱が支え、至るところに作られた明かり窓から差し込む陽光によって、神々や精霊を模した装飾や置物が照らしだされる様は美しく。その、どこか浮世離れした光景は、神聖さを感じさせる。


「婚約とは、神々の恵みと導きによって、将来定められた日に結婚しようとする者がその約束を公にすることであります。婚約する二人は、日々の行動を慎み、互いの理解を深め――」


 そんな厳かな雰囲気の中、俺とクレアの婚約式は大勢の人に見守られながら着々と進んでいく。


「――それでは、誓約の儀を始めます」


 多くの人が見守る中、神官の声が朗々と響く。

 国王陛下やグレイ様、王妃様に側妃様方、四英傑や聖女、貴族位を持つ家々の当主に加え、要塞国家フォルトレイスの使者スムバ・シャムス、商業国家ハンデルの使者ピネス・ドール、エーデルの王太子ブリオ・フォン・エーデルシュタイン、東国の使者であるウィン大叔父様といった豪華な顔ぶれが並ぶ中、俺とクレアは神官の声に従い将来の約束を交わす。


「――ドイル・フォン・アギニス。貴方はこの婚約を認め、互いの交流を清く保ち、将来、定められた日に結婚することを約束しますか?」

「はい。約束いたします」


 背筋を伸ばし、短い誓いの言葉をはっきりと告げる。

 そんな俺に柔らかく目を細めた神官は、次いでクレアにその意思を問う。


「――クレア・フォン・マジェスタ。貴方はこの婚約を認め、互いの交流を清く保ち、将来、定められた日に結婚することを約束しますか?」

「はい。約束いたします」


 間を置くことなく繰り返された言葉に隣を盗み見れば、口元に淡い笑みを浮かべたクレアと目が合う。

 婚約式ということでベールもトレーンもないデザインだが、純白のドレスに身を包む彼女の姿は感慨深く、俺と目があった途端輝きを増す表情が眩しかった。

 

「では、両者とも誓約書へサインを」

「「はい」」


 二人の間に差し出された婚約を誓う証書に己の名を記し、クレアへペンを渡す。差し出されたペンを受け取り、喜びを隠さず自身の名を書く彼女を待つこと数十秒。

 書き終えた彼女が、嬉しそうに俺の隣に並ぶ。

 きっと俺の顔には、クレアと同じ笑みが浮かんでいるのだろう。隣に立った彼女と共に祭壇へと目を向ければ、僅かに口元を緩ませていた神官が声を張り上げた。


「今、ドイル・フォン・アギニスとクレア・フォン・マジェスタは婚約をいたしました!」


 神官の宣言から一拍、俺達の背後で歓声と拍手が湧き起こる。

 これで婚約式は終わりだ。

 この後、俺とクレアは大聖堂の外に用意された馬車に乗り込み、お祝いムードの王都を巡り、城に戻ってきたら舞踏会が開始される予定だ。


「お二人が交わした約束を誠実に守り、互いの理解を深め、喜びのうちに結婚の日を迎えますようお祈りいたします」

「「ありがとうございます」」


 神官の祈りの言葉に礼を告げた俺達は手を取り合い、居並ぶ参列者の間を歩きだした。


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