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おじさんという生き物が異世界に転生し若返って無双するキモい話  作者: 埜上 純
第二章 冒険者編

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第63話 面接

「君がミズト・アマノだな。俺は冒険者ギルドのエシュロキア支部長をやっているトリスターノという者だ。見ての通り鹿の獣人だ」

 そう言った獣人の男性は、たしかに顔や(つの)が鹿のようだった。

 見た目では年齢がまったく想像つかないのだが、野太い声や落ち着いた雰囲気から若者ではないことは分かった。


「はい、ミズト・アマノと申します。よろしくお願いします」


「まあそう固くなるな。で、早速だが、君は異界人(いかいびと)の魔法使いってことで合っているか?」

 鹿の獣人トリスターノは鋭い視線をミズトへ向けた。


「魔法使いというのは鑑定していただいた通りになります。異界人(いかいびと)というのは、自分で名乗っているわけではありませんので、正確な定義は理解しておりません」


「なるほど、たしかに異界人(いかいびと)と呼んでいるのは、こっちの世界の者が勝手に付けただけだからな。聞き方を変えるが、君は違う世界から来た人間か?」


「はい、私はこことは違う世界で生まれ育ちました」


「君の持っているクラス『転生者』とは何だ? 『転移者』とは違うのか?」


「私のいた世界からこの世界へ転移してきた者を『転移者』というようです。私はこちらに来る時に死んで生まれ変わった扱いなので、『転生者』になると伺いました」


「一度死んで生まれ変わった!? そういうこともあるのか……。知っているか分からんが、この世界には大勢の異界人(いかいびと)がやってきている。中には冒険者ギルドに登録している者もそれなりにいるが、登録記録によると全員『転移者』だった。君は珍しいようだ」

 トリスターノは目の前の飲み物を一口飲んで続けた。


「それと、異界人(いかいびと)のほとんどがノヴァリス大陸に現れているという話で、ここアウロラ大陸では聞いたことがない。実際、この俺も異界人(いかいびと)に会うのは初めてだ。君は何故こちらにいる?」


「私はこの世界に来た時からこの大陸でした。そのノヴァリス大陸というところには行ったことがありません」


「なるほど、そうか。次の質問だが、君は何をしにこの世界に来たのだ? 冒険者には何故なったのだ?」


異界人(いかいびと)を警戒してるってことか?)

「私は自らこちらの世界に来たわけではありません。そのため来た理由はございません。冒険者になった理由は生きるためです。何一つ持たずこの世界に放り出されましたので、身分証と仕事を提供していただける冒険者ギルドに登録しました」


「何も持たず放り出された? この世界で誰かが迎えてくれるわけではないのか?」


「はい、私の場合は突然森の中に独りでいました。最初は果物を採るか魚を釣るかすることで、なんとか生き長らえることができました」


「……そうか、よく分かった。最後の質問だ。君は『ドゥーラの町』を救った異界人いかいびとの英雄『凶暴戦士』を知っているか?」


(!?)

「私が会ったことのある異界人(いかいびと)は、カズキ・コガという人物だけです。彼がその『凶暴戦士』なのかは存じません」


「カズキ・コガ……? ああ、あの世界騎士団が拘束した異界人(いかいびと)か……。質問は以上だ。一階で新規の冒険者ギルド証を発行するまで待っていてくれ」


(新規発行? 合格ってことなのか?)

「承知しました」

 ミズトは立ち上がり、

「ありがとうございました。失礼いたします」

 と言って応接室を退室した。


(面接っていうか、事情聴取って感じだったな)


【はい、あれはミズトさんが何者なのか確認しただけと思われます】


(ま、どこの馬の骨とも分からん奴に身分証を発行するんだ。事情ぐらい聞くか。ちょっと遅すぎる気もするが……)


【冒険者は自由な職業です。犯罪者でもなければ受け入れるはずですので、念のための確認程度なのでしょう】


(なんにしてもこれでE級になれるなら何でもいいけどな。E級から報酬がだいぶ上がるし)

 ミズトは目標の2,000万Gに向けて、まだまだ稼がないといけないのだ。




「ミズトさんお待たせしました! E級の冒険者ギルド証を発行しましたので、こちらへお越しください!」

 面接時は一言も発しなかったが、いつもの受付の女性が大きな声でミズトを呼んだ。


(バカ! 大きな声出すんじゃねえよ!)

 ミズトは集まる視線を感じた。


「こちらがE級の冒険者ギルド証になります。E級からはカードの色で階級が分かるようになっています」

 受付の女性が出したカードは、いつもの白っぽいカードではなく、青いカードだった。

 女性の説明では、階級がE・D・C・B・Aと変わるにつれて、カードの色も青・緑・赤・金・虹と変更されるようだ。


(その色の順番が超気になる……)


「それにしてもミズトさんは随分苦労されてきたのですね!」


「え?」

 どうやら面接時の話をしているようだ。


「たった一人で異世界を生きていくなんて、私には到底考えられません! 私は冒険者ギルド受付のベティって言います! 何か困ったことがあったら何でも相談してくださいね!」


 受付の女性の笑顔を初めて見る気がした。


「はい、ありがとうございます」


「何度も言いますが、無理しちゃダメですよ! 知らない世界に来て死ぬなんて、悲し過ぎます!」


(いや、一回死んでんだけどな)

「無理しないよう気をつけます」

 なんだか話が長くなりそうな気がしたので、ミズトは話を切り上げるように冒険者ギルド証を受け取り、足早に冒険者ギルドから出ていった。


【だいぶ同情されているご様子でした】

 外に出るとエデンから話しだした。


(ん? ああ、あの受付嬢ね。俺みたいな若者が見知らぬ世界で独り生きてるから、同情したのかもしれないな)


【はい、ミズトさんの見た目は十六歳ですので、それもあると思われます。ただ、普段の言動から冒険者思いの女性だということはうかがい知れます】


(口うるさいのは、そういうことなんだろうな。――――あっ、明日の分の依頼を受け忘れた。昇級時はついでに受領できたのに……)


【明日の朝、再び来れば良いだけです】


(ああ、なんか戻るのも微妙だしな……)


 ミズトは、冒険者ギルドの建物を振り返った。

 辺りはだいぶ薄暗くなる頃で、依頼を終えたたくさんの冒険者が入っていくのが見える。

 この世界の日常に馴染んだミズトでも、ふとした瞬間、自分が異世界に来ているんだと感慨深くなることがあった。


 それでも、翌日からのミズトの冒険者生活は、E級に昇級したところで何ら代わり映えすることはない。

 朝ギルドに寄り、すぐにダンジョンへ行き、再度ギルドに寄って、部屋に戻る。その繰り返しだ。

 ただ、少しだけ変わったとすれば、依頼に関わる階層が深くなったため、『ギール地下遺跡』内では、日帰りするために急いで移動するようになったぐらいだった。

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― 新着の感想 ―
流石おじさん、階級の色を見て反応したのですね。 金色があるから「北○の拳」のオーラじゃないかとか思ったのかな?
その色は! ば…パチンコの保留色!?
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