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0.6.1.0 ポトフちゃんの愛情表現

 おはようございます。

 本日は金曜、週の終わり。今日も1日頑張りましょう。


 今日はいつもよりちょっと早めにログイン。

 家を出ると、農園の門の外から、ぐうちゃんと別れたうさちゃんがやって来るところだった。


「おはよう、ポトフ。」

「おはようございます!あの……ちゅうちゃん達って農園に放して遊ばせておくことって出来ないですかね。」


 ぐうちゃんが飛んで行ってしまったのを見て、ふと気になったので聞いてみる。うさちゃんがパーティメンバー(身内)なら、その仲間のぐうちゃん、ちゅうちゃん達だって身内みたいなもんだ。うちの敷地でのんびりして欲しいな。


「あー……できないな。放し飼いは自分の家の敷地内だけだからな。」

「そうですよね……」


 残念。やっぱりだめかぁ。うちの子達と戯れてるところが見たかったなー……とか思ってたら、「ポトフの家に一緒に住めば……いやまだ早いか……」とかブツブツ呟いてるのが聞こえた。

 途中から途絶えたので、恐らく話し合いをしてるんだろうね。へぇ~……ふ~ん……先に私に相談してくれないんだ。しょうがない、私から聞いちゃえ。

 虚空を見つめるうさちゃんの腕をつつき、意識をこちらへ向けてもらう。


「うさちゃんが私の家に住むって言うのは駄目ですか?」

「…………?!???」


 私の提案を聞いてポカンとしていたうさちゃんだが、なんだか様子がおかしい……?


 体表にあるマグマのような模様がじわじわと広がっている。心なしか空気もちょっと熱い。

 これはもしかして、赤面して顔が赤くなる的な?興奮して体温が上がるみたいな?そんな感じなのかな。


「いいのか!??いいのか!!??」

「嫌ならい「嫌じゃない!一緒に暮らそう!」」


 はい。決定です。うさちゃんに抱えられ、色々設定するために家に入ります。


「ん?ドア大きくなったか?」

「あ、もちさんが通れるように拡げたんです。」


 そうだ、スイングドアにしたいんだった。

 うさちゃんに頼みますか。押し開けられて、自動で閉まる。そんな感じでお願いしておきます。


「お、絨毯出来たんだな。」

「はい。この前の休みに受け取ってきました。」


 入ってすぐのリビングの床にはもちさん素材のふわふわ絨毯。

 うさちゃんはそっと絨毯の上に膝をついてサラサラと撫で始めた……


「おお……」

「……お休みの日に堪能してくださいね。」

「はっ、そうだったな。」


 危ない危ない。ふわふわの誘惑に負けるところでした。


「そうだ、ちょこに頼んであったテーブルも出来てるぞ。」


 そう言ってインベントリから大きなテーブルを取り出すうさちゃん。ちょこさんの所で高さを調節して、そのまま持ってきたそうなので、設置します。

 おお~いい感じのちゃぶ台だ。座って高さを見てみよう。

 胡座をかいたうさちゃんの隣に、正座してみる。うーん、やっぱり私にはおっきいですね。天板が胸の位置にある。


「低い椅子を作るか。」

「そうですね。高さは……うーん……」


 ほどよい高さのものはないかな……とインベントリを探って見るけど、うーん……無さそう。いや……隣に丁度いいものを見つけた。


「ちょっと失礼しますね。よいしょ……」


 机に置かれたうさちゃんの手をどかして、膝の上に腰を下ろす。ちょっと高いかな?もぞもぞと横へスライドし、ちょうどいい高さを探す。ふくらはぎの半ば辺り……いやもうちょっと中央寄り……ここだ!


「う~ん……このくらいの高さがピッタリです!……うさちゃん……?」

「……」


 返事がない……ちょっとグイグイいきすぎたかな……?内心焦っていると、腰に手を回され、抱きしめられる。

 そして、ぽすっと私の首元に顔を埋め、熱いため息を吐きながらボソッとこぼす。


「はぁ……ポトフ……お前は俺をどうしたいんだ……?」


 そりゃまあ……私のことを好きになって欲しいんですが。


 …………

 ………

 ……


 気を取り直しまして、2階へ。ここは私のベッドルーム。ここから階段を作って、3階に部屋を増設してもいいんだけど……


「一緒の部屋じゃ駄目ですかね?真ん中にうさちゃんサイズのおっきいベッドを置いて。」

「もう……好きにしてくれ。」


 耳が真っ赤だあ……こうも意識されるとこっちまで赤くなっちゃうよ。

 ともあれ、言質を得たので好きにします。元々あったベッドを引き伸ばして真ん中にドーン!その他の家具はそのうちカスタマイズしましょ。



 諸々の設定を終えて、雑談をしながら外の作業場へ向かいます。ウシカボチャを収納棚から取り出して持っていくのも忘れないよ。


「……ポトフを見てるとおばあちゃんを思い出すな。」

「えっ……?」

「あ、いや、老けてるって意味じゃなくてな。」


 なんでも、うさちゃんのおばあちゃんは、おじいちゃん、ことゴインキョさんに対して、手を繋いだりハグをしたり……愛情表現が積極的な人らしい。


 そういえばゴインキョさんに聞いたことがあるな……学生の頃からガンガンアタックされてたとか……あんまり好き好き言われるものだからだんだん好きになっちゃったとか……学院卒業と同時に結婚しただとか……恋愛結婚かー珍しいなーと思った記憶。


 うさちゃんの行動はそんな家族を見て育った影響もあるのかな。


「こうして抱っこするのもゴインキョさん達がやってたりするんですか?」

「抱っこは……父さんが母さんによくやってるな。」


 わあ、ご両親までラブラブなの……すごいなあ……うさちゃんファミリー。

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