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0.6.0.2 ポトフちゃんの丸パン

 さて休憩を終えまして。パンの発酵にはまだ時間がかかりそうなので、片栗粉を使った料理を作るよ。


 用意するのは、片栗粉、ケーランの黄身、砂糖、ミルク。


 まず初めに、ボウルに黄身と、黄身と同じくらいの重さの砂糖を入れてよく混ぜる。

 そこにボウルの中身の分量……大体40グラムの倍、80グラムの片栗粉と、スプーン1杯のミルクを加えて混ぜる。まとまりにくい場合はミルクをちょっとだけ足そう。


 まとまったら細長く伸ばして小さくカットしていく。金太郎飴みたいなかんじ?棒状の飴をカカカッて切ってく様なアレ。


 そして、指の先ほどの小さな生地を一つ一つ丸めていく。


「ちっちゃいのお……」

「赤ちゃん(概念)が食べるものですからね。初めて食べるならこれかなと思って。」

「赤ちゃん……?」


 丸め終わったらフライパンに水玉模様のように並べて、蓋をして火にかけます。弱火で15分くらいかな。置いときます。




 さーて、パン生地はどんな感じかな?ラッ葉をめくると……一回りほど大きくなった生地が鎮座している。よし、焼きましょう!

 窯に薪を足して、少し火を強めたら、生地の乗った天板を入れる。美味しくなって帰ってきてね。




「今窯に入れてるやつは、クレープ生地と似たような感じなので、塗るヤツ(MOD)を作ります。」

「ああ、これもバニラなんじゃな。」

「そうそう。クレープで巻いたものはパンに挟んでも美味しいし、逆もまた然りです。」


 無事、パン生地たちを送り出したので、パンに塗るヤツ……えーっと、スプレッド?を作りましょう。


 塩を練りこんだバターはあるでしょ、ケーランサラダもある。果物、生クリームもある。


 ただ、パンと言えばやっぱりジャムだよね。定番のブルーベリー、イチゴ……うん、材料はあるね。作ろう。

 砂糖は……今回はちょっと控えめ。果物の半分の量にしよう。


 まず、ブルーベリーを200グラムと砂糖を鍋に入れ、軽く混ぜ合わせて火にかけます。

 しばらくして、果汁でひたひたになってきたら果肉を潰しつつ、焦げないように混ぜる。途中でレモンをチューっと絞って、更に煮詰めて……


「『ブルーベリージャム』の完成です。」

「うっ……すごい色じゃのう……」


 ブルームが着いた、やや薄めの青紫な実からは想像できないほどの変わりように目を背けるゴインキョさん。ああ……鍋の内側が赤くなってるとこが飛び散った血っぽいからそれかな……じゃあこれは保存しときましょうか。


「いや、わしは食べるぞ。」

「えっ、大丈夫ですか?」

「食べるのは黒い所じゃろ?目を瞑っていれば多分大丈夫じゃ……」


 ゴインキョさん、お肉周りのトラウマをなんとか克服したいらしく、チャレンジしてみるそうです。頑張ってください……



 そんな話をしているうちに、赤ちゃん用のおやつ……もとい、『ケーランボーロ』ができたみたいなので、お皿に移しておきます。


 少し遅れて窯の方も時間になりました!とうとう出来ましたか……!


 扉を開いて、天板を取り出す。あ〜焼きたてのパンの香り……たまんないね。こんがりきつね色の可愛い『丸パン』達が出てきた。カウンターに置いて粗熱をとろう。


「ん?…………ポトフ。」

「はい、なんでしょ。」

「スタッフの中で、“食べ物をモチーフにしたモンスターを作りたい”という意見が出ておるんじゃが……ポトフの作ったものを参考にしてもいいか?」

「どうぞどうぞ自由に使ってください!面白そうじゃないですか!」

「そうかそうか。しかと伝えておこう。」


食べ物モチーフ!そういえば、パン生地をみてスライムっぽいって言ってましたね。パンスライム……とか?いいね〜。




 さあさあ、今日の料理が出揃ったので味付けをしますよ。


 まずはケーランボーロ。サクッと軽い食感と優しい甘味が口の中で溶ける。非常に素朴な味わいだ。


「これを配ろうと思うんですけど、どうですか?」

「ふむ。噛めば粉々に砕けて、口内の水分で柔らかくなり飲み込みやすい。問題ないと思うぞ。」


 とりあえず、配布はこれに決定です。




 お次はメレンゲクッキー。ボーロよりも更に軽い口溶け。白身と砂糖だけだからか、粉っぽさがないのがいいね。


「おお、これもまた口の中で消えるのう。」

「こっちは食堂での販売物にして、チュートリアル中の“ご飯を買う”のところで買ってもらおうと思います。」

「無料で売るやつじゃな?」

「そうですそうです。」




 そして、メインデッシュの丸パン!手に取っただけで、ふかっとした柔らかさが伝わってくる。

 思い切って真ん中から2つに分けると、白く美しい内相が現れた。そのまま口へ運ぶと、ふわふわ……しっとり……もっちり……食感を表すそんな単語が頭に浮かんでは消える。

 ささやかな甘みと小麦本来の味が楽しめる、シンプルで洗練された逸品です。


「ほう……これが土台になるんじゃな。」

「はい。味が染み込みやすいので、クレープとはまた違った使い方ができます。」


 さて、次はジャムをつけよう。まずは果肉ごとたっぷりすくって1口味見。フルーティーな甘みにほんのりとした酸味。ごろごろとたっぷり入ったブルーベリーの粒で食感も楽しい。

 パンの断面へ塗りつけていただきます。


「んん〜美味しい!」

「む……」

「……どうです?」

「……うむ。美味い。」


 目を閉じて咀嚼するゴインキョさん。大丈夫そうだね。赤くて液状な食べ物はいろいろあるから、ちょっとずつでもトラウマを払拭できるといいな。


 さーて、まだ時間もあるし、他にもジャムを作ろーっと。


 …………

 ………

 ……


「独特な風味がするのう……じゃが悪くないな。」

「じゃあこれも売りましょう。」


 ラズベリージャムにイチゴジャム、リンゴジャムにオレンジジャム。マーマレードはちょっと苦みがあるので今回は保留で。

 コウジベリーでも作ってみたよ。なんというか……甘酒感があるけど、意外と美味しいよ。砂糖はもっと減らしていいかな……なんなら入れなくても良さげ。要改善だ。


 沢山作って店頭に並べよう、ってところでふと思った。ジャムと言えば瓶詰めだよね……?と。

 今日はそろそろ終業時間なので、また明日相談してみよう。とりあえずお椀に入れたものを並べときます。


 本日のまとめ!


「ケーランボーロは配布、メレンゲクッキーはチュートリアル中だけ無料販売。丸パンは食堂で通常販売します。」

「うむ。」

「片栗粉は農園で、ジャムは、国ごとにラインナップを変えて……農園と食堂、両方に置いてもいいですかね?」

「ああ、構わんぞ。一日の購入上限は共有されるからな。」

「わかりました。」


 こんなところかな。樹海の国にはベリー系を置こう。あ、イチゴは草原、コウジは山林だけどね。


 さて、明日は金曜。ゴインキョさんはお休みだけど、代打は……


「明日はうさぎがくるからの。」

「わかりました。」


 やった〜!放置してたお肉作物の解体と料理をしよう。焼き肉パーティですよ。


 それじゃ、今日も1日お疲れ様でした!

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