0.6.0.1 ポトフちゃんの並行作業
初めての食事といえば離乳食。流石にそこまでのものは作らないけど、赤ちゃんでも食べられるような食べ物ってことで思いついたやつを作るよ。
と、いうわけで下準備から。用意するのはジャガイモ!とりあえず1つだけ。
揚げたり蒸したりしたいところだけど、先に加工品を作ります。
まず、ジャガイモは皮を剥いて、おろし金でゴリゴリとすりおろします。
すりおろしたジャガイモは、サラシで包みます。てるてる坊主を逆さにしたような形だね。
次に、水を貼ったボウルを用意して、その中に包んだジャガイモを入れます。そして、水の中で優しく揉み揉み。もわもわとデンプンが滲み出てきた。いいぞ〜。
「その布も調理器具……なんじゃな?」
「そうですね。普通の布ですけど料理にも使えます。パピちゃんのとこで買ってきました。」
昨日のうちに正方形に切っておきました。いやあ、丁度いいタイミングで買えたね。
10分くらい揉みこんだらいいかな。ジャガイモの方はまた別の料理に使うので、最後にギュッと絞って保存しておきます。後は暫く放置。
その間に他の料理も作ろう。うん。今日は時間があるので、一昨日作りそこねたやつを作るよ。
用意するものは、強力粉、ぬるま湯、砂糖と塩。それからコウボタケの粉末。なくてもいいけど、バターもいれちゃおうか。
まず、ボウルに強力粉を300グラム、砂糖をスプーン3杯に、塩を1つまみ。そしてコウボをスプーン1杯入れて混ぜ合わせる。
そこに、強力粉の3分の2、200ミリリットルほどのぬるま湯を入れて混ぜる。とにかく混ぜる。
混ぜて混ぜて、まとまりが出てきたら、ラッ葉の上に乗せて、手でコネコネ。バターを1匙のっけて、練り込んでいく。
伸ばして叩いてこーねこね。なめらかになってきたらまん丸に形を整えます。
重力で潰れたお饅頭のような生地をみてゴインキョさんがポソッと一言。
「スライムのようじゃのう。」
ほーん。この世界のスライムはまん丸可愛い系なんですね。
ボウルに入れて、上にラッ葉をかぶせて一時間くらい置いておきます。本当は温かい所に置いておくのがいいんだけど……常温でも膨らむようにしておくよ。
さて、デンプンの方はどうなったかな?
端に避けておいたボウルの中を覗くと、黄色がかった水の底に白い塊が沈殿しているのがわかる。ちゃんと分離してるね。
必要なのは白いヤツだけなので、上澄みの水はこぼします。そーっと傾けて流し台へ。
で、白いヤツだけになったらもう一度水を入れてまた放置。これをあと1回繰り返すよ。
さて、やることがなくなっちゃったけどどうしようかな……そうだ、この後作るもののために窯の試運転をしておこう。
そうと決まれば何を焼くかな……インベントリには……あっ、卵白!これを使おう。
材料はケーランの白身とお砂糖の2つだけ。どちらも同じ分量でOK。
まずは白身をボウルに入れ、泡立てる。
全体が白くなってきたら、砂糖を3分の1くらい入れて、更に泡立て。
ツノが立ってきたら、残りの砂糖も2回に分けて投入。しっかり泡立てよう。
そうしたら、四角い金属のトレイを用意。これを天板として使おう。これに、ラッ葉を敷く。ちょっと大きさが心もとないな。角のところに隙間ができちゃってる。後でドデカく改造しよう。
で、その上にスプーンですくったメレンゲを等間隔に落としていく。
窯に火を入れます。すぐに温まっていいね。温度は……予熱は100度ってとこが多いけどわかんないや。とにかく薪を減らして、火から遠い取り出し口に近いところに置こう。意味あるか分からないけど。
これで様子を見ながら1時間ぐらい焼きましょう。
さて、いろんなものをほっといてる間に、細々した作業を済ませちゃおう。
………
……
…
ラッ葉の改造、焼きマヨの試食、宿屋のちょっとした改装をして、1時間程が経過しました。
まずは窯から。扉を開いて天板を取り出し……あ!あっちゃ〜、ミトンがなかったな。しょうがないから、重ねたサラシをクッションにして天板を掴もう。
「あとは冷ませば『メレンゲクッキー』の完成です。」
「入れたときとあまり変化がないようじゃが、焼けておるのか?」
「大丈夫だと思います。ほら、目玉焼きの白身だって、火が通っても白いでしょ。」
「ああ、確かにそうじゃのう。」
クッキーの群れは白いまま。いや、ちょっとだけ黄味がかってるかな。まあでもこんなもんだよね?
焼き立てはまだ柔らかいはずなので、冷めるのを待ちましょう。
お次はパン生地。ボウルからラッ葉を外すと……パンパンボディに成長した生地が!指に強力粉をつけて、プスッと刺してみると、おヘソのように穴が開く。形がしっかり残ってるので、1次発酵完了です。
では、まな板の上に打ち粉を振って、2倍ほどの大きさになったそれを取り出し、ガス抜きをする。内から外へ軽ーく押さえつけるようにムニムニっと。
そして、スケッパーを使って10等分にして、断面を内側へ内側へと折り込むように丸め、閉じた部分を下にして、広げたサラシの上に並べる。
最後に、乾燥しないように、濡らしたサラシ固く絞って上にかぶせておきます。これで十分ほど放置!
さて、合間に水をかえたデンプンの様子は〜?よしよし、透き通った水底に固まってるね。
水をできるだけこぼしたら、乾燥棚へ。残った水分を飛ばしまして、スプーンでガシガシと崩し、粉にする。そして、もう一度乾燥させたら……
「『片栗粉』の完成です。どうぞ、触ってみてください。」
「うむ……んん?なんじゃこの不思議な感触は……」
ギュッギュッと音を立て、新雪を踏みしめるかのような独特な手触りの片栗粉。午後からはこれを使って料理を作るよ。
さて、午前の部最後になります。
寝かせて置いたパン生地を取り出し、丸め直します。さっきと同じような感じでOK。
丸めたら、天板にラッ葉を敷いて並べる。膨らむから距離を開けようね。
そして、上からもラッ葉をフワッとかけて放置。
ふう。なんだか色んなことを並行作業してこんがらがってきちゃったな。えーっと、今出来ているのは、片栗粉、メレンゲクッキー、パン生地の発酵、だね。ヨシ!
一段落したしお昼休憩に入りますか。




