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0.5.2.0 ポトフちゃん、〈服飾〉スキル獲得

今日はお休み。ユービキアスで遊ぶよ。


──草原の国、四ツ葉の街。

一ツ葉の街よりも大きなこの街には、パピちゃんのお店、本店があるんだって。普段ここにいるよ〜と、場所を教えて貰ったので来てみました。


木でできた骨組みに、白い漆喰の壁。赤い三角屋根で、リボンの描かれた看板が目印の大きな建物。早速お邪魔します。


コロンとドアベルを鳴らして入った店内は、可愛らしいパッチワークのタペストリーや刺繍が飾ってありとても温かみがある。

正面にあるカウンターにいる店員さんは、獣人かな?ちゅるちゅるのパーマにくるんと巻いたツノ。羊っぽいね。


入口から見てすぐ左手には階段があり、


“2階 作業場”

“ご自由にお使いください”


の文字の下に、織り機の絵が描いてあるポスターが貼ってある。

トントンカラカラ音がするから誰かいるのかな?後で覗いてみよう。


右手側には商品棚が並んでおり、畳まれた布地が本のように並べられたり、平積みされている。

ボタンやリボンなんかの手芸用品も置いてあるね。

おっ、これは裁縫セットかな。キルティング生地の可愛いポーチが、口のあいた状態で展示されており、針や糸が入っているのが見える。いいね〜これ買っとこ。手に取ろうと指先が触れると、ウィンドウが出てきた。


〈裁縫セット〉

“裁縫に必要な道具を1つにまとめたもの。中には

針×3

糸(白)×1

針山×1

………

……

が入っている。”


[カゴに入れますか?]

[はい]   [いいえ]


おお……ここでカゴに入れられるんだ。[はい]を押しておこう。


あとは……ミサンガの練習用に糸も買おう。たしか、刺繍糸で作るんだよね?


きょろきょろと品定めしつつ、店をぐるーっとまわる。

奥の壁には一面に色とりどりの布地がのれんのように掛けられている。ドットやチェック、模様の着いたものも沢山あるね。


おっ、無地の布地が並んでいるところで、いいもの発見。目の粗いガーゼのような平織りの布地。アイテム名は『サラシ』!

長さを指定できるみたいで、上限は5メートル。うん、そのまま買っちゃおう。


他に欲しいものはなさそうかな。最後にレジまで行ってお会計を済ませます。




さて、2階を覗こうかな。

階段を登った先には、昔話で鶴が使っていそうな織り機や、老婆が糸を紡いでいそうな糸車。


そして一際目を引くのが、巨大な織り機。ちょっとしたパイプオルガンくらいあるんじゃないかな。


その正面で、トンタンタン、トンタンタンと風を操って織り機を動かしているのはパピちゃん。縦横無尽に手を動かす優雅な動きは指揮者のよう。見惚れちゃうね。


「ふう……あら!いらっしゃい!」

「こんにちは。お邪魔してます。」


一段落ついたのか、振り向いたパピちゃんと目があったので、挨拶を交わす。


「今ちょうどあなたの所の絨毯を織ってるところだったのよ。」

「おお!これがそうだったんですね。」


なるほど、道理で見覚えのあるふわふわだと思いました。許可を貰って、半分以上織られたソレにちょっとだけ触らせてもらう。はあ〜ん……柔らか…もちさんの毛が短かったらこんな感じなんだろうな……


「もうこんなに出来てるんですね。」

「ええ。すごく調子が良くってね。あっという間出来ちゃった。でも、魔力が尽きちゃったから“コレ”で回復しようと思ってね。」


そう言って取り出したのは、バナナキャラメルクレープ!


「ポトフが料理を生み出してくれて本当に良かったわ。こうやってのんびり休憩しようかなって思えるもの。」

「1回集中しちゃうと辞め時が難しいですもんね。よっぽどのキッカケがないと。」

「そうそう。ちょっとぐらい休憩を挟んだほうが作業効率が良くなるって言うのは、頭ではわかってるんだけどね……」


そう言って苦笑いを返すパピちゃん。この世界、食事が一瞬で済んでしまうので、サプリを飲んですぐ仕事に戻ったり、仕事をしながらサプリを飲んだり……延々と作業をしてしまう人が多い。

まあ、よろしくはないので、ちょこちょこテレビ番組やネットニュースで話題に上がったりする。“適度な休憩は健康の秘訣!?”“休憩で脳をリフレッシュ!”とかね。

あれだね、こたつで寝るな!とか冬場でも水分補給しましょう、みたいなノリ。


のんびりお喋りしつつ、私が今日買ったものの話題へ。あ、そうだサラシを料理に使ってもいいか聞いておこう。


「これを料理に使うの?」

「余計な水分を拭き取りたいときとか、あと、水分だけ絞り出したいときとか……色々使いますね。」

「そのくらいならなんの問題もないと思うわ。サラシが全く別のものに変化する訳ではないのでしょう?」

「はい。変化があるとすれば、食べ物の色が着く、とかでしょうかね。」

「ああ、それなら大丈夫ね。色は専用の染料でしか染められないから、色も着かないから気にしなくていいわ。どんどん料理に使ってちょうだい!」


よかった〜心おきなく使えそうだ。



休憩を終えて、パピちゃんにミサンガの作り方をレクチャーしてもらうことに。完成してたもちさんとぽぽ達の毛を使った毛糸玉も貰ったよ。思わず頬ずりしちゃうくらいふわふわで気持ちいい……


「これくらいの長さで、端っこを結んで……」

「ふむふむ。」

「こうして、右に持ってきて、結び目の方に詰めながら……」

「なるほど……」


パピちゃんの動きを見ながら、刺繍糸をちまちまと手を動かしていると、無事〈服飾〉スキルをゲット!

ミサンガを完成させて、アクセサリーについて細かい説明をしてもらいます。



アクセサリーには効果を3つまで付与できる。


使った素材でまた色々変わってくるけれど基本的には、

・攻撃力や生命力、属性など、純粋にステータスを強化するもの。

・特殊な効果を発揮するもの。

大きく分けてこの2つ。


今回使う予定なのはもちさんとぽぽ達の毛を使った糸なので、それを例に上げて教えてもらった。


この糸で作ったもので強化できるステータスは“素早さ”と“運”の2つ。皆この2つの数値高いもんね。

補正値はこのステータス強化の方にかかってくる。好きに割り振れるから、素早さ3と運7とか9と1とか極端な割り振りかたもできるよ。パーティメンバーと速度を揃えたいときとか、ここで調節するといいらしい。


そして、特殊な効果。ぽぽ達が持ってる、“風の影響を受けると素早さがアップする”効果やもちさんの“受けるダメージを半減する”といったものをつけられるそう。あ、これは服飾レベルがマックスの時の話ね。低いうちは上昇率も、ダメージ軽減率も低いよ。


この効果は組み合わせ自由。

2つはステータスを上げる枠、1つは特殊効果。はたまた、3つとも特殊効果。なんてのもいいらしい。

注意点としては、同じ特殊効果はつけられないということ。これはアクセサリー単体ではなく、すべての装備品内でだ。

ようは『“ダメージ半減”+“ダメージ半減”で無敵だ〜』なんてのは無理ってこと。


このカスタマイズは所有者が自由にできるらしいので、うさちゃんに渡す分は未設定にしておこう。


「器用さを上げたり、服飾レベルが上がった後は、強化して補正値を上げるのも忘れないでね。」

「わかりました。」

「……うさぎも服飾スキル持ってるはずだから、勝手に強化しないように言っておくのよ。『ポトフ()が強化してあ・げ・る(はぁと)』って!」

「……!わかりました!」


ハート要る?



この後もパピちゃんは絨毯の作成と休憩を何度か繰り返し……


「ふう、これで完成よ!」

「お疲れ様です!」


丸型でふわふわな毛足の大きな絨毯が出来ました!うーん、寝そべるのが楽しみだ。うさちゃんもきっと気にってくれるだろう。


「ふふっ。うさぎにお披露目するのが楽しみね。」

「はい!」


ウキウキとした気持ちが顔に出ていたのか、クスクス笑われてしまった。


早く帰って家に広げたいので、今日はこれで帰るよ。

出来上がった絨毯を受け取り、パピちゃんのお店をあとにします。またね〜。



…………

………

……


さて、農園へ帰ってきました。

家に入……ろうとするともちさんもついてくる。絨毯敷くからちょっと待っててね〜。

木の中の家なので、床はちょっと歪んだ円。テーブルと椅子をどかして、その真ん中にどーんと広げる。キッチンや階段の位置を見ながら微調整して……よし。もちさんおいで〜。


あ、そうだ。もちさんが入れるように……これから先仲間になる子達が自由に出入り出来るように、スイングドアにしようかな。これは……家具に入るのかな?今度ちょこさんあたりに相談しよう。


むーむー言いながらもちさんがのしのしと部屋の中央へ。鼻をヒクつかせて絨毯の匂いを嗅いでおります……おまえの毛で作ったんだよ……


絨毯が気に入ったのか、横になってくつろぐもちさん。あ、そこテーブル置く予定なんだけど……可愛いからいっか……人間はその仕打ちを甘んじて受け入れます……

元々あったテーブルは、バーカウンターみたいにキッチン内から手を伸ばしてサーブできる位置へ置いておきます。


このあとは、もちさんにもたれかかってゴロゴロしたり、ミサンガを作る練習をしてのんびり過ごしたよ。ちょっとでも上手く出来たものをうさちゃんに贈りたいからね。


そんなこんなで日が暮れてきたので、そろそろログアウトしよう。また明日ね〜。

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