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0.5.1.4 ポトフちゃんとライバル……?

 キュウリと一緒に味噌とマヨも机の上に並べておくんで、どうぞお好きなようにカスタマイズしてください。


 そんな風に話していたら、ピロピロとアラームが鳴った。はいはい、今行きますよ。


 鍋をかまどから外して、流し台に置いたふるいにザバッと中身をこぼす。

 そして、水を張ったボウルに、ケーランを入れて冷やしておく。


 さてと、後は何かあるかな。インベントリの素材欄を眺めながら考える。

 トマトをカットして、レタスをバラして……あとチーズと……クルミを砕いてかけても美味しそう。それから、ドングリ……はいらないかな。あっ!栗!いいね、加工しよう。


 用意するのは、皮を剥いた蒸し栗、その半分の量の生クリーム。それから、栗の4分の1ほどの分量の砂糖。


 まずは栗を鍋に入れてマッシャーで潰す。そこへ生クリームと砂糖を入れて混ぜ合わせて、火にかける。

 最初は中火で、フツフツしてきたら火を弱める。

 あとはお好みの硬さになるまで煮詰めるよ。今回は、混ぜたときに鍋の底が見えるくらい。


 これで『マロンペースト』の完成!

 んん〜!栗の風味と優しい甘み、それを包み込む生クリームの濃厚なコクがたまらない。


 これだけでもいいんだけど、もうひと手間。裏ごしをします。

 カウンターにラッ葉を敷いて、その上にひっくり返したふるいをセット。ペーストを乗せてヘラで網目に擦り付けていく。こし終わってふるいを外すと……うん。粒感がなくていい感じ。これで、なめらかな『マロンペースト』になりました。


 さらにさらに、もうひと工夫。このマロンペーストにホイップクリームを混ぜて……『マロンクリーム』が出来ました!

 モッタリと重いペーストが、ホイップクリームと混ざったことによってふんわり軽く仕上がっていい感じ。


 さて、あとはゆで卵。ヘタをとって中を見てみる。おお、白くなってる!

 カウンターにぶつけてヒビをいれ、ヘタのついていたところから剥くと、薄皮からキレイにペロンっと剥けた!気持ちい〜。

 ツルンと真珠のように美しい『ゆでケーラン』が出来ました!ん〜淡白な味わい。でもこれがクセになるんだよね。


 そんなゆでケーランをボウルに入れてマッシュマッシュ。マヨネーズをたっぷり入れて混ぜて、胡椒もいれちゃお。


 これで、『ゆでケーランを潰してマヨネーズと和えたもの』完成!

 ……いや長い。大抵サンドイッチに入ってるけど、あなたを指す名前が分からない。ひとまず『ケーランサラダ』と呼ぶことにします。


 さて、味付けです。

 マヨネーズと混ざり、ほろほろとしていた黄身はねっとりペースト状に。その中のプリっとした白身の食感がこれまた楽しい。きっとこの世界でも万人に好かれる味だろう。


 さて、トッピングが一通り完成したので、テーブルへ並べます。これも好きなようにカスタマイズしてもらおうって魂胆だよ。


「おっ、もういいのか?」

「はい!後は盛り付けるだけです。」


 といった所で、私を呼ぶ声が。


「ポトフ〜。」


 声の聞こえたお店の方へ顔を出すと、パピちゃんが丁度入ってくるところだった。


「あれ?パピちゃん?早かったですね。」

「えへへ。気になって来ちゃった!それと、申し訳ないんだけど、お料理、もう2人分用意してもらうってことは出来るかな……?」


 おや?誰か連れてきたのかな?


「出来ますよ!お任せください!」

「ありがとう!ポトフのこと話したら2人とも気になるって言うから連れてきたの。今日のぶんの衣装作成は終えたから息抜きにね。」

「お久しぶりでございます。ポトフ様。」

「わ!花菱さん!いらっしゃいませ!」


 パピちゃんの後ろからひょこっと顔を覗かせたのは花菱さん……ともう一人。


「こんにちは。僕は天泣です。噂はかねがね聞いてるよ。」


 花菱さんの後ろにいたその人を目にした瞬間、ポトフに電流が走る──!


 白くて長いくせっ毛に、櫛のような触角。大きい黒のサングラスをつけていて、真っ白な服に翅のようなマントを羽織っている、低くて柔らかな声の男性。


 そして……首周りに胸元、腕や足にまでふわふわの毛の装飾……キャラ被り……!

 うさちゃんがここにいたら抱きついて撫で回しているかもしれない……くっ、たんぽぽにライバル現る!


「あっ、ポトフ!うさぎはポトフしか見てないから!警戒しないで!」

「そうそう。うさぎさんと初めて会った時にね、ふわふわしたものが好きって聞いてたから、触る?って聞いたんだけど、『ポトフじゃないからいい。』って断られたし。」


 キッ!と天泣さんを見る私に、パピちゃんが慌てて謎のフォローをしてくる。

 うさちゃん……なびかなかったんだ……!というか、天泣さん触るかどうか聞いたって……


「……それってつまりうさちゃんを誘惑したってことですか?」

「違うよ!?」

「そうそう。あくまで厚意よ。」

「好意……!?」

「良かれと思っての意ですよ!」


 おふざけはこれくらいにして、パピちゃんと服飾班のお二人を奥のキッチンへご案内しまーす。

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