0.5.1.2 ポトフちゃんとクレープ
麦畑からずーっと南へ向かい、一ツ葉の街へやって来ました!
ここの国はヨーロッパっぽい感じなのかな。中世ヨーロッパ、って言われて連想するような、三角屋根で石やレンガで出来た建築物が沢山ある。
街ゆく人々は、獣人が多めで普通の人もそこそこいる。猫耳と尻尾だけの人間に近い人もいれば、全身毛で覆われた二足歩行の大きな犬みたいな人もいる。
パピさんは精霊?だったし、人型をとっている精霊もいるのかも。見分けがつかないけど。
たんぽぽ農園へ向かいながら一ツ葉の街並みを眺めつつ、食材探し。あるよあるよ〜キャベツにブロッコリー……あ、あれは!イチゴ!小ぶりだけどイチゴだ!買います!
他にも片っ端から買いあさって、農園にやって参りました。リオンちゃんに名前をつけて、奥にあるキッチンへ。
ちょっと模様替えしようかな。乾燥棚と窯を増設します。
さて準備出来ました。まずは、今後必要になりそうな“アレ”を作るよ。
取り出したるは、灰色のキノコ。ザラザラとしていて、コンクリートブロックのような質感だ。
これを乾燥させてカラッカラにして、すりつぶして粉末にするよ。
こうして出来上がったのは、酵母の素。パンからお酒にまで使える万能酵母だよ。見た目はドライイーストとかに近いかな?キノコの名前は『コウボタケ』に決まりだね。
あっ、そういえばお酒……どうしようかな……
「お酒、アルコールってありますかね。」
「アルコール、は消毒とかに使うやつじゃな?ゲーム内には存在しなかったはずじゃな。光魔法で消毒はできるし……まさか……飲みたいのか?」
「いや、飲みたくはないんですけど……」
う~ん、ちょっと迷ってるんだよね。お酒の扱い。
どうやって作られてるのかは知らないけど、この世界には消毒用や燃料用のアルコールが存在する。そして、それを飲むバカも年に1人2人存在する。その結果どうなるかなんて、推して知るべし、だ。ゴインキョさんが懸念してるのはそこだろう。
ゲーム内とはいえ、お酒を完全再現なんかしちゃったら。人によっては依存症になっちゃって、生活に支障が出るかも……即効性がある訳じゃないから、セーフティーが発動する頃には手遅れになってたり……おお~怖い怖い。
そんな人を生み出してしまったら、ユービキアスは電子ドラッグに認定されかねない。
なので、作るとしたら匂いや味、燃えやすいだとか飲むと体温が上がるだとか、そういった特性はそのままに、“酔い”は再現しない。ただのジュースにしたい。
本当にこんな味なの?って現実のアルコールで試すアホがいないとも限らないので、そうとわからない用に名前も完全に架空のものに変える。
流石にコウボからお酒にまで繋げて考えられる人ならそんなバカなことしないでしょ。
「ふむ……それならまぁ、大丈夫じゃろ。」
作るとしたらこんな感じ、とゴインキョさんに伝えると、許可もおりたのでいつかお酒も作りたい。料理酒、梅酒、ワイン……
おっと、話がそれちゃってたね。さあ、本日の料理始めますよ。ご飯と双璧をなす“アレ”を作ろうと思ってたんだけど……ちょっと今日中には作れなさそう。
だから、今日は手軽なお菓子を作ろうと思います。
用意する基本の食材は、薄力粉、ケーラン、ミルク。それから、砂糖、塩、フライパンにひくサラダ油。
まずはボウルに薄力粉100グラムふるいいれる。そこへ、お砂糖を3杯いれてざっくり泡立て器で混ぜて、ちょっと贅沢に溶いたケーランを2個入れ、混ぜる。
そのうち計量スプーンでも作ろうかな。いつも使ってるのは小さじと見てるけど。
それからミルクも入れる。量は大体薄力粉の倍、200グラム。生地を混ぜながら3回くらいに分けて入れるよ。
よーく混ぜて、さあ、これで生地ができました。
次は“焼き”の工程に入りますよ。
火はちょっと弱め、中火にする。フライパンには薄くオイラをひいてよく熱したら、火から離す。
そして、おたまの半分……より多めに生地をすくって、フライパンに流し入れ……手早く全体に広がるように、ぐりんぐりんとフライパンを傾ける!
生地が行き渡ったら火の上へ戻して焼けるのを待つ。
表面が乾いてきたら、端っこからちょいちょいっとフライ返しを差し込んで、剥がれた生地をつまんで……ひっくり返す!
いい!月のクレーターのような焼き目がキレイに出来てる!薄くて火は通ってるから、裏側はサッと焼くだけ。
後は丸いお皿に移して『クレープ』の完成!同じ要領でもう何枚か焼いて、味付けをしましょう!畳んで畳んで、4分の1の扇形にして、いただきます!
「うん、いい感じ。」
「おお、薄いのう。うむ……美味いことは美味いが、なんというか……食べごたえがないのう。」
ほんのり甘く、縁はパリっと、生地の密集したおしりの方は少しもっちり。食感が楽しいね。そして、ゴインキョさんの言う通り、物足りないよね。
「ゴインキョさん、こいつはバニラなんですよ。」
「……?ふむ。」
「MODもDLCも何も入っていない、まっさらなコンテンツ……昨日のご飯もそうですね。」
「はっ!つまり、ネギ味噌のような追加コンテンツがあると……?」
「そのとおりです!」
これより、トッピングの作成を開始するよ!




