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0.5.1.0 ポトフちゃんと風の精霊

 おはようございます。今日も1日頑張りましょう!


 ログインしたらゴインキョさんと合流しまして、ゲーム作成の進捗を確認。


 今メインで開発を進められているのは、ギルド周り。今日はギルドランクやジョブレベルが組み込まれる予定だとか。

 ギルドランクは、スキルの習得速度や割引率の効果がランクに応じてアップするらしい。

 ジョブレベルは、上がるごとに特定のステータスにボーナスが入ったり、そのジョブに応じたレシピが販売されるようになるとのこと。


「そこでじゃな、料理をざっくり2つの種類に分けて貰いたいんじゃ。ひとつはNPCから聞けるレシピ。目玉焼きや焼きバナナ、屋台で売っとるような簡単なものはこっちに入れていいかもしれんな。

 もうひとつはギルドで販売するレシピ。こっちは、特殊な道具を使ったり、調理工程が複雑なものがいいかもしれんのう。」

「なるほど、手軽な家庭料理と本格的なお店の料理、って感じで分ければいいんですね。」

「うむ。お主の感覚で分けてくれ。」


 とりあえず、今まで作ったことのある料理が記録されている、料理図鑑を開いてみる。あ、倒した魔物が登録される、魔物図鑑とかもあるよ。


 ケーラン、モーチ、ご飯……家庭料理が多いよね。あ、キャラメリゼはギルド用にしていいかも。何となくだけど、オムレツもプロが作るもの、って感じする。これもギルド用にするか。


 そんなこんなでわけ終わりまして。


「それから、他のスタッフ達からこんなものが届いておる。」


 そう言ってゴインキョさんは、ポコポコとフォトウォールのように、スクリーンショットを表示させた。

 真っ白に雪が積もった中、ポツポツ実った赤い南天の実。暗い水底に生える海藻。畑に生えるキャベツやブロッコリー。木の根元に生えた真っ赤な指のような毒々しいカエンタケ。多種多様な植物が写っている。


「もしかして……食べられそうなものを送ってきてくれたんですか!?」

「うむ。皆お主の作るものを楽しみにしておるからのう。見かけたものをスクショしてくれたようじゃ。座標も貰っておるから、いつでも好きなものを採りにいけるぞ。」


 はぁ〜、ありがたやありがたや……どれもこれも気になるけど、ひとまず今日は草原の国へ行きましょう。昨日はお米に吸い寄せられちゃったから、今日は小麦探しだよ。

 もちさんに乗っていざ出発!


 …………

 ………

 ……


「二人ともようこそ草原の国へ!あなたがポトフね!わたしはペパピポプ、よろしくね!」


 麦畑の近くに降り立つと、ふわふわと宙に浮いた朗らかな女性が私達を出迎えてくれた。薄らと青緑がかった肌に、風になびく長ーい髪と、羽衣のような服。よく見たらふくらはぎ辺から下は風のエフェクトで見えなくなっている。

 どうやら見た目だけでなく、周りにも風の影響があるようで、そよそよと私達にも風が吹き付けられている。あっ、もしかしてこの人の側なら私飛べる……?


「よろしくお願いします。えーっと、ペパ……?」

「みんなからはパピちゃんって呼ばれてるわ!ポトフもそう呼んで!」

「わかりました。パピちゃん。」

「ええ!」


 残念ながらパピちゃんは、今日は他のチームを見ているのでそちらへ戻らなければいけないらしい。けれど、わざわざ来てくれたのにはちゃんと理由がある。


「ポトフは敷物が欲しいのでしょう?どんなデザインがいいか聞いておこうと思って、聞きに来たの。」

「あっ、パピちゃんが作ってくれるんですね。」

「んふふ。そうよ。毛足の長さ、形、色、模様。どんなものがいいかしら?」


 うーん。どんなもの……やっぱり触り心地は重要だよね。ふわふわして柔らかくて……だったら毛は長めかな。形は丸で、色は白?いや、もう少し温かみのある色、赤系黄色系……アイボリーとかいいな。柄は……無くてもいいかな。


「うんうん。ふわふわで円形で色はアイボリーね!わかったわ!」

「はい。お願いします。」

「それじゃあ、もちさんをここに呼んでくれる?」


 もちさんを?よくわからないけど呼びます。


「うんうん。今日もふわふわね!」

「もちさんに何かありましたか?」

「ええ!是非ともこれを使って欲しくって!じゃじゃーん『お手入れブラシ』!」


 パピちゃんが取り出したのは、黒板消しのような形をした大きなブラシ。


「これで仲間を撫でるとなつき度が上がるし、抜け毛をアイテムとして入手できるの!せっかくだからもちさんから毛を採って、それで敷物を作らない?」

「もちさんの毛で……!いいですね!」


 はあ〜それはそれは、さぞ触り心地のいい敷物ができるでしょうね……!

 早速ブラシを装着すると、もちさんは鼻先をふんふんと寄せてくる。興味津々だね。

 それじゃあまずは、おでこの所をちょっと失礼して……


「もちさん気持ちいい?」

「む゛っ……んむ゛~。」


 サリ、サリ、とブラシを滑らせるとうっとり気持ちよさそうに目を閉じるもちさん。おでこから背中へと流していると、リラックスしてくったりと横になっちゃった。ここも撫でろと言わんばかりに羽まで持ち上げている。付け根もお腹もブラッシングしようね。なんだか洗車してる気分だ。


 10分ほど撫で回して採れたのは、もちさんより一回り小さい抜け毛の山。仲間の大きさや元々持っている毛の密度なんかによって、採れる量は変わるらしいけど……これはなかなかの量なんじゃないでしょうか。

 ついでに、気持ちよさそうにとろけるもちさんを見ていたぽぽ達も興味があるようなのでブラッシング。ブラシが大きいから潰さないか心配だったけど……私の手のひらの上で3匹揃って楽しそうにころんころんしているので大丈夫そうだ。アーカワイッ!

 ぽぽ達からも結構毛が採れた。3匹分を合わせた綿毛は4匹目のケセランパサランって感じだ。


「それじゃあ、これは貰っていくわね。もちさんの毛で作る絨毯、楽しみにしていてね!」

「はい!」

「そっちの綿毛は……そうだ!」


 何を思いついたのか、パピちゃんが私の近くによってきてヒソヒソと囁いてきた。


「それを使ってアクセサリーを作ってみない?」

「この綿毛でですか?」

「ええ。とっても簡単な『ミサンガ』っていうアクセサリーがあるの。流石にこの量じゃ少ないから、もちさんの毛と合わせて、糸にして編んでみない?それで、うさぎさんに贈ってみたらどうかしら?なんならお揃いで作ってもいいし。」

「!」


 うさちゃんとお揃いのミサンガ!欲しい……

 ということで、今日のところは綿毛はパピちゃんに預けて糸に加工してもらい、また別の日に編み方を教えてもらうことになりました。

 さて、そろそろお別れのお時間です。


「そうだわ、今日作る料理、材料に余裕があったらでいいのだけど、私の分も作って貰えないかしら?」

「もちろんいいですよ。完成したらお呼びしましょうか。」

「ありがとう!でも、遅くなっちゃうかもしれないから、私が来れなかったときはゴインキョに渡しておいて貰えると助かるわ!」

「分かりました。」

「それじゃあまたねー!」


 そうしてパピちゃんはふわりと風をまとい空へ舞い上がり、疾風の如く飛び去っていった。またね~。

 さて、私達は麦畑へ向かいましょう!

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