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0.5.0.4 ポトフちゃんと麹

 桜に囲まれた桜の街。今私がいるのは、森の街で言うところの南通りだろうか。たんぽぽ農園の斜向かいには蜘蛛の看板、花菱さんの服屋があり、2、3件隣にはうさちゃんの鍛冶屋がある。

 お目当てのななさんのお店も近くに発見。早速お邪魔します。


 カラリと扉を開けた先、まず目に入ったのは、ところ狭しと棚に並べられたポーションたち。フラスコやワイン瓶のような形をした容器に、色とりどりの薬液。ファンタジーな空間に心が踊る。

 梁から吊り下げられて干されている薬草、瓶に入ったスパイス。魔女が使ってそうな、大釜まで置いてある。


「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。商品を見せて下さい。」

「かしこまりました。」


 カウンターに居る、頭部が薔薇でできている店員さんに話しかけて出てきた商品一覧。

 回復、バフ、攻撃……色々あるなあ。素材のところにあるスパイス類、買い足しておこう。


 道具欄には何があるかな。はかりは……天秤や、吊り下げて量るばねばかり……

 あっ、すごい。上部に受け皿がついた、時計みたいな目盛りのあるレトロな見た目のやつがある。ちょっと実物をみせてもらおう。

 皿に軽く手を乗せてみると、なんと!針が動くだけでなく、中央にデジタル表記の数字が!しかも、そこに触ると0にセット出来る……買いです。これにします。


 それから、計量カップは……ビーカーがあるね。メ、メスシリンダー!久々に聞いたなその名前。両方かっておこう。


 こんなもんかな。今日は必要なものだけ買って、また今度ゆっくり買い物に来よう。

 ななさんの店を出た後は、山側のちょこさんの店の方へ。あの辺りが地元通りみたいなんだよね。


 八百屋さんを発見!この辺りのラインナップはどんな感じかな?

 森の街にもあるリンゴに……ウメだ!買います!キュウリも買おう。あっ枝豆と大豆だ~!!買い買い!

 やっぱ緑色の植物って結構見逃してるな~。ゴボウ?花が咲いてたんだよね。近くにまだ葉っぱのやつがあったからそれをとりました。


 それから、ワサビに自然薯、白菜。うんうん。美味しそう!……それから、パクチー。めちゃくちゃ人を選ぶヤツ見つけちゃったな……うん、う~ん。まあ面白そうだから買っちゃお。

 他にも色々買い込んで支店へ戻ります。


…………

………

……


 さて、お米を炊くならおかずが欲しい。

 というわけで、いよいよ“アレ”を作るよ。


 取り出したるは森の街で買った白いベリー。これを改造して『麹』を作る!


 米麹とか麦麹とか色々あるみたいだけど、今回はそういった物をひとまとめにする。これ1種で醤油も味噌も、甘酒だって作れちゃう。そんな万能麹にしちゃおう。


 中身は普通のベリー。見た目はカビらしくふわふわさせよう。そのまま食べると薄っすら甘く。よし、『コウジベリー』完成。


「綿毛たちみたいじゃのう。」

「ふふ、確かにそうですね。ぽぽ、食べる?カビだけど。」

「えっ、カビ?」


 食べられるカビなんで大丈夫大丈夫。ぽぽは食べないってさ。


 ついでにもう一つ。森の街で買った『黃風船』これの中身、油にしちゃいます!サラダ油、ごま油、オリーブオイル。とりあえずこの3つ。それぞれ、(黄)(茶)(オレンジ)だ。同じ木に実るので頑張って見分けよう。敵に投げつけて、火魔法で燃やしたりって使い方もいいね。

 名前はオイルと油で『オイラ』!


 それじゃあ改めまして、今日の料理!


 まずはコウジをすり鉢に入れ、コウジの半分の重さの塩を加えて混ぜる。

 そこへ、コウジと同量の大豆を加えてさらに混ぜる。

 ある程度絡んできたら、少しずつ水を加える。


 ここからは現実とは乖離した変化をさせるよ。唸れ!私の想像力!

 水を吸ったコウジは小さな果粒がポロポロとほぐれ、大豆も吸水して大きく柔らかくなる。

 そこをすりこぎで荒く潰しながら混ぜる。潰し加減はお好みでどうぞ。でも水は吸わせすぎないように注意!別物になっちゃうからね。


 混ぜ混ぜ練り練りして、白っぽい色から、黄、橙へと変化させる。

 この色はコウジの量によって変えよう。増やすほど暗ーい色になっていく。上限は……大豆の1.5倍くらいまでにしておこうかな。


 完成形は、スプーンですくった所の穴が埋まらずにそのまま残るくらい……かな?よし。


「出来ました!『白味噌』です!」

「こ、これを食べるのか?」

「はい!」


 言わんとしていることはわかりますよ。でも美味しいんですって(多分)。

 とりあえず味見をしましょう。

 箸の先にちょびっとつけて、いただきます。


「味噌だ……」

「おおっ、しょっぱ……味が濃いのう。」


 調味料ですからね。ここでキュウリを取り出し、端っこを切って味付け。うん、瑞々しいね。


「水っぽくてさっぱりしとるな。」

「コレにお味噌をちょいとつけまして……んん~美味し。」

「ふむ……ん!美味い!」


 パリッとしたキュウリの水分で塩味が薄まり、しょっぱいだけじゃない味噌の味が口の中に広がって美味……!


 さてもう一つ。

 コウジと塩と大豆を混ぜるところまではさっきと一緒。

 ここから水を加えるんだけど、さっきと違って一気に入れる。混ぜたやつの2.5倍くらい?大豆が膨らむから気持ち多めに。少なければ足せばいいか。

 そして、大豆を潰さないように混ぜて、あとは置いておく。10分もほっとけばいいかな。ちょっとずつ変化させよう。


 さて、放置している間に、お味噌を使ってちょっとしたおかずを作ろう。

 用意するのは、さっき街で買ったネギ!それからクセのない黄オイラ(サラダ油)


 まずはネギの根元を切り落とし、全部みじん切りにして、ちょろっと味見。白いところはほんのり甘くて緑のところはちょっと辛い。うんうん。ネギだね。

 黄オイラはヘタを持ったままボウルの上へ。ブチュっと飛び出さないように気をつけながら、包丁で穴を開けて絞り出す。残った皮は……食べてみよう。水で洗って、端っこを少し切ってひとつまみ。

 クニュクニュコリコリしていて……近いのは海藻?クラゲってこんな感じ?ホルモンよりは噛み切れる……なにかに使えるかな?今は保存しておこう。


 続きまして、かまどに火を入れフライパンを用意。スプーンで2杯ほどのオイラを入れて、みじん切りにしたネギも全部投入し、焦げないようにヘラで混ぜて炒める。

 しんなりしてきたら味噌を入れて混ぜ合わせて、『ネギ味噌』完成!

 そして、合間合間に変化させていた、麹と水に浸けた大豆。茶色くなって、『もろみ』になりました!


 味付けしますよ!

 まず、ネギ味噌は……もったりして濃厚な味噌の中に焼いたネギの香ばしさと甘味、ジャクジャクした食感のアクセント。これはご飯何杯もかきこめちゃうよ。

 それから、もろみ。つぶつぶとした大豆と麦のような見た目になったコウジ。口に含むと、芳醇な醤油の匂いが鼻に抜ける。舌で潰せるほど柔らかい大豆もぷにゅっとしたコウジの食感も楽しい。

 おっ!ゴインキョさんが自分からキュウリにつけて食べてる!いいですね、そのチャレンジ精神!


「なるほど。塩や砂糖とおなじで、味噌も、もろみも他のものと合わせて食べる前提なんじゃな。」

「その通りです。」


 そんな合わせて食べるもの、今日の大本命『お米』いよいよ調理しちゃいますか。

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