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0.4.7.2 ポトフちゃんの綿毛の服

 奥の部屋は花菱さん達の作業部屋。壁にはデザイン画がはられてたり、筒状に丸められた布地があったり、アトリエって感じ。お、作成用の魔法陣もあるじゃん。私の店にもキッチン作ろうかな。

 中央はソファーとローテーブルがあり、そこに座って話し合う。


「さて、ポトフ様はどのような服をお求めですか。」

「えっと、さっきデザインを見せてもらったんですけど、この綿毛の服かコックの服が欲しいなって思ってます。」


 手に持っていた、ななさんから渡されたデザインの中からその2つをチョイス。やっぱ動きやすそうな服がいいと思うんだよね。


「まあ!それでは2つとも作りましょうか。」

「いいんですか?」

「ええ、ええ!ワタクシもななさんも今着用しているもの以外にも持っておりますし。仕事着と普段着で2つ。そうやって使い分けてもいいじゃありませんか!」


 太っ腹だ~。花菱さんの厚意に甘えさせてもらおう。


「代わりにちょっとお願いがございまして......」


 おっと交換条件ですか?いいですとも。


「なんですか?」

「ええその、ワタクシお店で売っていた『甘栗』にハマっておりまして......クリを使った他の料理も食べてみたいなと思いまして......」


 なるほど料理のリクエストですか。甘栗が好きならやっぱり甘いもの?あります、あります。浮かびますねえ。和洋どっちがいいかな。


「お任せ下さい。材料が揃ったら必ず作るとお約束します!」

「やったぁ!んんっ、ありがとうございます!いつまでもお待ちしておりますね!では早速作りましょう!こちらの魔法陣の上に立ってくださいね。」


 張り切る花菱さんの、指示に従って、魔法陣の上へ。言われるままに足と手はゆるく開き、身長を測るときのように顎を引いてまっすぐ立つと、花菱さんが魔法陣の縁にトンッと脚先を触れさせる。

 途端に魔法陣が輝き出し……特に何も起きなかった。


「さ、もう降りてもよろしいですよ。」

「はい。うわっ!」


 なんだったんだろう、と魔法陣から降りて、振り向くと、1分の1スケールの私がいた!


「ポトフ様のアバターをこの上にコピーさせて頂いたんです。これをベースにして服をいじっていきますよ。」


 そう言って、花菱さんの衣装製作が始まった。

 まずはインナーかな?コックコートに触れると、パッと一瞬でハイネックのノースリーブに変わった。そのままズボンに触れて、こっちは緑色のかぼちゃパンツに。

 魔法陣はろくろのような役割も果たすようで、器用に脚を使ってくるくる回しながら背中側もつくっている。


 お次はアウター。お尻まで覆うような大きめのサイズの、フード付きのパーカーを着せられる。生地はもちろん、ふわんふわんだ。そこから、袖口と裾をキュっと絞り、ぽっこり膨らみをもたせる。裾からはみ出たかぼちゃパンツのフリルがいい感じ。

 それから足元。白い靴にルーズソックスみたいな靴下。つま先がちょこんとしか見えないね。


 これで完成かな。と思ったけど、花菱さんは考え込んでいる……

 なにか思いついたのか、緑色のケープを着せた。それをギザギザに成形して……葉っぱみたいな形になった。


「ねー、これどう?よくない?」

「いいですねえ。」


 一瞬フリーズする花菱さん。いやもう、素がそんな感じなのは察してるので……

 ぎくしゃくと手を進め、ちょうちょ結びにした首元のケープの紐先に黄色いタッセルのような飾りをつけ、ブーツのほうにも同じような飾りがつけられる。


「さて、こんなものでしょうかね。」

「いいですね!すごく可愛い!」

「ふふ、お褒めに預かり光栄です。そうだ、お腹の所にはちょっとしたアイテムを入れて、ショートカットに使うこともできますよ。他に付け加えたいものなど、気になる点はございますか?」


 そう言って、スポスポ手を入れて実演してくれる。なるほど、それなら武器とかツールをいれる?いや、黒晶石とおやつ入れようかな。ぽぽ達にあげるのにちょうどよさげ。武器はどっかに固定しておきたいな。うん、相談してみよう。


「ショートカットなんですけど、この武器を体のどこか……ベルトとかホルスターで固定出来ませんかね。」

「……随分イカつい武器を使ってらっしゃるんですね?」


 取り出したるはたんぽぽステッキと黒曜石の包丁。まあ、私みたいなゆる〜いやつが、こんなかっこいい包丁もってたらそう思うよね。


「そうですね......つけるとしたら腰か、太ももでしょうか。」


 そう言ってベルトをつけてくれる。腰はかぼちゃパンツの上の所。服の中にすっぽり隠れちゃうけど、さっき言ってたショートカットみたいに服をめくらなくても、上から手を突っ込んで取り出せるって。

 手探りで取り出すのか......位置が固定されてるなら、まあ見えなくても大丈夫でしょう。


 太ももの方は......なんて言うんだろ、スパイ?暗殺者?がつけてるようなアレだよアレ。ちょっと厨二心をくすぐられるね。


「どちらにいたしましょうか?」


 うーん、どっちがいいかな......


「......他の人と密着するなら、足に付けると邪魔になりますよね......」

「?............あ、隣に並んだときに他のプレイヤーにあたるか、とかそういう感じですか?」

「そんなところですね。」

「そうですね、その状況ですと、武器が相手方にぶつかるでしょうね。気になるようでしたら腰につけましょうか。入っているものを意識して触らない限り、上から触ってもゴツゴツとした感触はありませんから。」

「じゃあそれでお願いします。」


 これにて綿毛の服完成!

 花菱さんが私のマネキンに向かってなにかの操作をすると、ピロンッと可愛い音を立てて、マネキンごとリボンのついたプレゼント袋に変化した。


「さあどうぞ。試着してみてくださいませ。」


 よーし。渡されたプレゼント袋をインベントリに入れて……ステータス欄に移動して……綿毛の服、装着!


「お?おお〜!」

「如何です?」


 大きな姿見の前でクルッと回る。いい......すごくいい......!袖が大きいからちょっと邪魔かな?とか思ってたけど全然そんなことはない。普段使いはこれで決まり!あ、一個忘れてた。


「この、装備発注書って使えますか?」

「ああ!使えますよ。こちらの服を設定しますか?」

「お願いします。」


 これで初期装備が綿毛の服になったよ。私の着てたやつはまた別としてアイテム化された。

 それじゃあもう一着の作成に入りますよ。

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