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0.4.6.2 ポトフちゃんのお肉作物

 よし、鶏肉作物を作ろう。メジャーなお肉は今日で済ませちゃいましょう。ブタモモはまた今度改造しよう。


 何を参考にしようかな……うーん……丸鶏って、普通の果物にもありそうな大きさしてるよね。重さは……2キロくらいか……メロンとかスイカはそのぐらいするよね。


 とりあえず作りながら考えよう。鳥も結構部位が別れてるね。

 支えにできそうな骨、骨……手羽元の骨とモモ肉についてる骨が良さそう。骨付き肉!って感じの見た目になるのもいいじゃん。


 てことで、手羽元を中央、その下に繋がるように骨付きモモ肉。モモ肉の方は真っ直ぐになるようにちょっと改造。でっかい手羽元みたいな形だね、まあいいでしょう。


 次に、多分1番の問題児、手羽先。何この……何?独特な形状してるよね君……大体が手羽中とセットにされていて、ブーメランみたいな形で出されるけど……うーん。


 悩んだ結果、ガクの部分を手羽先にすることにした。


 まず、最初の土台にしようとしていた手羽元。これの肉がついた膨らんでいる方を下に向けて、細い方をヘタとする。そして、手羽先を上にして、手羽中部分を漢字の『水』のような形になるようにくっつける。ピッタリフィットするね。

 2本だとスカスカすぎるから3本……4本にするか。間にはササミを詰めておこう。


 その下半分、手羽中の周りから、手羽元についている鶏モモの周囲まで、鶏ムネ肉をつけて覆う。手羽先だけ上に飛び出るようにね。『水』っていうか『米』みたいな形だ。


 大体の形は出来てきたね。ただ、鶏モモの骨が下にぴょろっと出てるのがちょっと不格好だなあ。手羽元みたいに骨を上にしてみよう。

 丸みを帯びた、下向きに伸びる円錐形……この形は……イチゴ!ブツブツとした表面もそれっぼいかもしれない。


 全体像はこれでよし。でも、鶏モモを逆さにしたことによって、元々肉が詰まっていたところにスペースができてしまった。んー……レバーを詰めるか。よし。中身が出来たので、全体を鶏皮で覆う。


 最後に、皮の上に羽をつけていく。白くてふわふわな羽毛だ。手羽先の部分には風切羽みたいな大きい羽をつけて、完成。鶏肉は木に実らせよう。羽毛があるとはいえ、皮が土で汚れないようにね。私でも、もぎやすいように低めの木にしようかな……


「出来たのか?」

「わっ!はい、出来ました!完成です!」

「それじゃあ、少し休憩するか。もう昼だし、集中してたから疲れただろ。」


 ほんとだあ、お昼過ぎてる。それじゃ、完成品のお披露目はまた後ほど。


 ────────


 それではお披露目タイムです。まずはうさちゃんの作ったものから。


「ちょっと歪だから恥ずかしいんだが……」


 そう言って見せてくれたのは、きれいな丸いお皿。歪みなんてわからないけど……職人のコダワリってやつだね。それから、お椀に、マグカップみたいな、持ち手のついたコップ。


「一つ、こういうのも作ってみたぞ。」

「これは……ガラスですか?すごい……」


 透明な円筒形のそれは、いわゆるタンブラーグラスというやつだ。こんなものまで作っちゃうなんて……生産職やるって言ってたし、うさちゃんって、根っからこういうものづくりが好きなんだねえ。有難く使わせていただきますよ。


 そして、今日のおねだりの大本命、すり鉢。

 すごい、ちゃんと細かい溝がある!触ってみた感じもザラザラしていいね。よし、ひとつ試してみるか。何かいいのがあったかな……あ、皮をむいたクリがある。これで試してみるか。


「ポトフ、これもいるだろ?」

「あっ、すりこぎ!ありがとうございます!」


 セットで作っててくれたんですね、助かる〜。


 それでは、クリを投入して粉にしますよ。

 上からトントンついて潰すように砕いて、小さい欠片になってきたらゴリゴリとすっていく。

 うんうん、なかなか良いんじゃない?水分があるからサラサラはしてないけど粉っぽくなってる!


「どうだ?」

「良いですね!使いやすいです!」


 このクリは……まあ、そのうちなんかに使います。


 お次は窯。


「ピザ窯ってやつを参考に作ってみたんだ。火も入れてるから、中も見てみてくれ。」


 レンガでできた、丸いドーム型の窯。煙突と、オーブンのように縦に開く扉もついている。すごい、なんか漫画とか動画で見たことあるやつだ。

 中を覗いてみると、結構広い。奥で薪を焚いてるけど、焼くスペースもしっかり確保できてるね。火加減が難しそうだから、色々試してみなきゃ。まあ、それはまた今度ってことで。


「バッチリ焼けそうです!」

「それはよかった。ああ、ここじゃ使いづらいだろうから移動させるか。」


 てことで、キッチンの近くに動かす。

 ついでにもう一つ作ってもらったかまども設置します。元々あったかまどの隣に並べよう。


「んー……少しいじるか。」


 うさちゃんは何か気になる事があったのか、かまどをいじり始めた。

 2つのかまどの間、『Y』の字のような隙間がどんどん埋まっていき……最初から2つで1つだったかのような作りになった。


「よし、これで2つくっつけて設置するとこの形に変形するようになったぞ。」

「おお、シームレスに繋がるんですね。」


 地味だけど嬉しい変化だ。



 さて、うさちゃんの成果発表が終わったので、私の方も……


「こちらの大きい方が『ウシカボチャ』です!」

「デカイな……流石に持ち運ぶのも難しいぞ……」


 私が抱きついても、手が回りきらないほどでっぷりとして大きな実!うさちゃんならワンチャン……?

 このゲーム、持てる量に上限はない。が、ちょっとした制限があり、荷物を持ちすぎると移動が難しくなってしまう。


 具体的には、スタミナの数値が目安。スタミナが10あれば、10キロまでなら軽々と運ぶことができ、そこから20キロまでは歩きでしか運べなくなり、さらにそれより重いと身動きがとれなくなる。


 一応、小ワザ的なものがあって、騎乗モンスターに乗れば重さに関係なく動けるよ。街中じゃ乗れないから、フィールド上でしか使えないけどね。


 ちなみに、私のスタミナは300越えてるので、持ち運びはできる。他にも荷物を持ってるから歩きだけどね。うさちゃんの方は、私よりスタミナは多いけど、持ってる物も多いので私同様に徒歩である。


「これもお店に並べようと思ってるんです。流石にこのままだと大きいし、値段も高くなりそうなのでディスプレイ用みたいな感じになりそうなんで、中身を切り分けた物も売ろうかなって。」

「ああ、分割して売るのか。確かにその方がいいかもな。」


 あ、ブタモモみたいに部位ごとにわけた小さなウシカボチャを作ろうかな。ウシカボチャを育てている畑に確率でこのクソデカウシカボチャが生える……みたいな。うん。ブタモモもそうしよう。鳥は……元が小さいからいいかな?


「それで、そっちの白いのは?」

「これは、『トリイチゴ』です!」

「……ふわふわだな。」


 ふわふわです。それじゃあ畑に種を植えに行きましょう。ウシカボチャをインベントリに入れて……おお、体が重い……速く動かそうとしても動かない……


 のそのそと歩みを進める……普通の歩きより遅い気がするな。このペースでお店まで行くとなると、日が暮れそうだ……


「俺が持つか?荷物をいくつか置いていけば、持てると思うんだが……」

「そ、そうですね……」


 その時、ふと閃く。

 ──モンスターに乗っていれば、この重さを無視できる……じゃあ、人に乗ったら?──


「うさちゃん……」

「ん?」

「私のこと抱っこしてください。」

「んん????」


 困惑するうさちゃんに、かくかくしかじか説明。


「な、なるほどな……人に乗る……か。」

「はい、そこんとこどうなってますか?」

「ん……試してみるか。」


 ということで実験。うさちゃんに抱えてもらいます。太ももの裏に腕をまわされ、ヒョイっと抱えあげられるので、うさちゃんの首元に抱きつく。おお、すごーい、高ーい、あったかーい。


「どうですか?」

「……ああ。問題なく歩けるな。」


 トットッと駆け足でも問題なさそう。とりあえず、完成品のオリジナルウシカボチャとトリイチゴを地下室へ並べに行きましょう。


 ……あっという間についちゃった。


「うさちゃん、1度降ろして貰ってもいいですか?」

「……ああ。」


 しぶしぶといった感じで降ろされる。

 ……ふわふわが近くにあるのが嬉しかったのかな?しょうがないなあ……


「後でまた、ウシカボチャを運ぶときに抱っこしてくれますか?」

「ああ!」


 即答だあ。

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人誑しなポトフちゃん
ポトフちゃん無意識でやってるってマ?
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