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0.4.5.4 ポトフちゃんと時間のかかる料理

・タイトルの数字を変更。農園から0.4に。

もう一個クリで作れそうなのがあったからつくってみよ。まずはクリの丸い方に、頭からおしりまで縦に切れ目を入れる。あんまり深く入れると、調理に使う塩の味が濃くなっちゃうみたいなので、気持ち浅めに。


次に、塩をフライパンに広げる。ざざーっと底が隠れるくらい入れるよ。


「そ、そんなに使うのか?」

「こんなに使うんですねぇ。」


正直、私もこれで大丈夫なのか心配だけど……塩釜焼きとかあるし大丈夫……だよね。レシピだってこうやって残ってるし。

それから塩を炒る。気持ち小さめの火でね。ちょっと触ってみると温まってきてるので、クリを投入。コロコロ混ぜるよ。


…………

………

……


「すごく時間がかかるんじゃな。」

「そうですねぇ。」


コロコロコロコロ、かれこれ20分ほど転がしている。今まで作ったやつは短時間で出来るものばかりだったし、おんなじ事やってるだけで動きがないから、余計に助長に感じるよね。


「でも、半日以上かけるスープとか、発酵食品なんかは何ヶ月もかかるし……2、30分なんて序の口も序の口なんですよね。」

「……そういうのも作るのか?」

「う~ん……流石に時間がかかりすぎるので現物を作物にしようかなって思ってます。」

「ああ、そのほうがいいかもしれんのう。」


あ、でもインベントリに入れれば時間が止まるわけだし、スープぐらいなら、保存しながら毎日ちょっとずつやっても良いかもしれないね。


さてフライパンの方は。いい感じにクリが割れてるね。ここに砂糖を加えます。引き続き混ぜながら、スプーンで3杯くらい、分けて入れるよ。


…………

………

……


コロコロコロコロまた20分。塩の色が茶色くなってきたので火から下ろして、少しおいておく。蓋もかぶせておこうかな。


「まだ駄目なのか?」

「はい。ちょっと冷めるまで待ちます。」

「ふむ。氷魔法で冷やすか?」

「……ゴインキョさん、初めて作る料理って言うのはね、レシピ通りにやらなきゃダメなんです。一見、意味がなさそうに見える工程にだって、ちゃんと意味があるんです。」

「そ、そうなのか。」

「ゲームだってそうでしょ?壁にぶつかりながら歩いてたら隠し通路を発見したり、序盤に拾ったアイテムが終盤で思わぬ活躍をしたり……」

「なるほど……伏線みたいなものか。」


概ねそんな感じです。というか、現実じゃ氷魔法なんてないので想像しづらい工程を挟みたくないというのもあります。団扇とかであおぐくらいならいいかもね。


ぶっちゃけすぐ剥いてもいいとは思うんだけど一応ね。5分ぐらいたったかな?蓋を開けてみる。多分大丈夫でしょう!『甘栗』できました!いくつか手にとり、剥いてから塩をはたいてから口へ運ぶ。


「んん〜!」

「ん!甘さとしょっぱさが両立しておる……!」


口に入れた瞬間広がる塩味はそれほど強いものではない。むしろ砂糖の甘さと、ホクホクとした食感の後にくるクリ本来の甘味を最大限に引き立てている……!美味……!



さて、次の料理、を作る前にこの塩。再利用出来るみたいなんでインベントリに片付けておきます。量が量なんで勿体ない。


お次はクルミ。クルミといえば素焼きとかローストとか聞くよね。なので乾煎りするよ。フライパンに入れて火にかける。弱火がいいらしいので少し浮かせて、ゆすったり木べらでかき混ぜたりする。

お、そんなに時間はたってないけどいい匂いがしてきた。そろそろ良さそうかな。ひとつ味見。


「ん、いい感じ。」


ゴインキョさんもどうぞ。


「おっ、軽い食感がいいのう。」


焼いたことによる香ばしい風味。ほんのりした甘さに、ぽりぽりとした食感と、少ししっとりとした中心の食感がこれまたいい。


クルミといえばでもう一つ作るよ。フライパンに水と砂糖を入れて火にかけて溶かす。ふつふつしてきたらクルミを入れて絡め、カラメルっぽくなってきたら火からおろす。そこにバターを入れて溶かして混ぜ混ぜ。あとはこれをクッキングシートに……無いんだよね。皿にバター塗ったらくっつかなくなるかな?とりあえずやってみよ。


バターを薄く塗った皿に先程のクルミをバラけさせるように広げる。あとは置いといて固まるのを待つだけ。


その間にドングリ料理を作っちゃおう。ドングリ料理ってなんだ……?まあ無難にバターで炒めてみよう。


火にかけたフライパンにバターを落とし、溶けてきたら殻を剥いたドングリを投入。もう火は通してあるから炒めるのは短くていいかな。

塩と胡椒を振りかけてささっと混ぜたら完成。バターピーナッツならぬ、『バタードングリ』お椀に移していただきます。


「ん〜美味し。」

「おお。バターは甘くない味付けでも美味いんじゃのう。」


焼けたバターの香ばしい香りと塩コショウのシンプルな味付け。ただそれだけだけど、これで十分だ。何個でもポリポリいけちゃうよ。


…………

………

……


作ったものをつまみながら、レシピを書き起こして暫く。

さて、『クルミのキャラメリゼ』はどうかな~?いい感じに固まってきてるね。ちゃんとくっつかないねよしよし。キャラメルの甘く焦げた香りと、バターの香りが混ざりあった匂いだけで、よだれが止まらないよ……いただきます!


「ん~!美味しい!」

「おお~、カリカリしとるな。」


凸凹した溝に入り込んだ、カリッとした飴と、ポリポリとしたクルミの食感のコントラストが何とも楽しい。手が止まりませんね……そうだ、ここでバタードングリを一つまみ……


「ああ~最高。」


しょっぱいのと甘いのを交互に食べる作戦。成功です。


「これは手が止まらなくなるのう。」


ゴインキョさんも真似してカリポリ。大成功です。


──────────


今日のレシピを記録したり、オムレツや卵焼きを木べらを使って作り直したり……そんなこんなで、就業時間も終わりに近づいてまいりました。


「おお、そうじゃ。明日はわし休みじゃが、誰か来てほしいスタッフはいるか?」

「来てほしいスタッフ?」


そりゃ、うさちゃんに来てほしいけど……他はななさんとローラ様くらいしか会ったことないよ?


「うむ。なにか欲しいものはないか?明日は家具制作スキルや、陶芸スキルを持っとる者もおるぞ。」

「あ、そういう……じゃあ、うさちゃんに会いたいです。いますかね?」


お鍋欲しいです。あ、泡立て器も欲しいかも……あとかまどの増設?きっと、うさちゃんならやってくれるはず。


「ちょうど明日おるぞ。ポトフが会いたがってると伝えておこう。」

「お願いします!」


明日が楽しみだ〜!それじゃ、本日もお疲れ様でした!

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― 新着の感想 ―
ナッツ系のお菓子って手が止まらなくなりがち。 ほかを知らんとはいえうさちゃんへの厚い信頼にこにこする〜
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