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0.4.5.3 ポトフちゃんと状態異常

 そんなこんなでドングリ焼けてきました。全体的にぱっくりと縦に亀裂が入っているのそろそろいいかな。お椀に移して殻を剥こう。

 亀裂に爪を引っ掛けて……結構簡単に剥けるね。早速味付けだ。いただきます。


「あ、結構美味しい。」

「不思議な食感じゃのう。」


 弾丸のような見た目の椎の実は、うっすら甘くてホクホクしていて、ちょっとクリっぽい?すごいな、ほんとにエグみがないや。これを粉にしたりするんだよね。乳鉢じゃ難しいかな……すり鉢とかあると良いのかな。まあこれはそのうちやろう。


 ……ありますねぇ。キズの入ったドングリ。殻を剥いて半分に。いただきます。


「……ぅ゛ゅ゛……」

「……!!ぶっほ!!なにこれ!!」


 しっっっっっっっぶゥ~~。舌が蹂躙されるぅ……ゴインキョさんは吹き出してしまったし、中の人出てますよ。


 何とか飲み込むと、視界の縁、体力バーの上で見覚えのないアイコンが点滅してる。何?


ゴインキョ(オインヒョ)さん(ひゃん)体力(あいよう)バー(ワー)()(うえ)になんか(いあんか)ついてるんですけど(ういれうんれうえお)?」

「なんて?」


 ろ、呂律が回らないし伝わらない……触ってみれば詳細出るかな。ポチッと。


 [麻痺(微)] 〈04:15〉

 “体の一部が動かしずらくなる。”


 状態異常ついてる!えっ、ドングリで?ゴインキョさんは吐き出したから無事だったのかな……


「うーん?麻痺がついとるのか?なんじゃろうな……食べても麻痺になったりする設定はしておらんのじゃが……」

はあ(さあ)……」


 なんかすいません……とりあえず治さねば、と治癒魔法をゴインキョさんが探して……お、ぼんちゃんどうしたの?

 私の周りをふよふよ飛んでいた綿毛が寄ってきた。なんだか見つめられている……と思った次の瞬間。

 ぼんちゃんからほわわわ〜んと、薄緑色のオーラが発生して周囲に広がって消えていった……!


「わっ、何?あっ、治ってる!」

「おお、スキルを使ったのか。」

「ぼ、ぼんちゃん……!」


 なんていい子なんでしょう!うりうりと指先でくすぐってやると他の子も寄ってきた。くぉ〜かわいい奴らめ!!!!


「ポトフ、原因がわかったようじゃ。」

「えっ、何だったんです?」

「どうやら、麻痺(微)の感覚と、ドングリを食べたときの渋味で受けた呂律が回らないほどの感覚が非常に似ているようでな。」

「だから誤認して……補完して?ですかね。アイコンが出てきたんですね。」


 なるほど。かき氷を食べたときにキーンってなるあれか。冷たさを痛みと錯覚するってやつ。

 ドングリのステータスに書き加えておこうかな。[麻痺(微)]って。あっクソッこれだとプレイヤーが引っかからないや。




 そろそろお湯につけてたクリを剥いてみようかな。1個取りだしてみる。触った感じはよくわかんないね。

 とりあえずおしりのところを切ってみる。お?さっきよりやりやすいかも。そして鬼皮を剥く。明らかに柔らかくなってる……!渋皮も簡単に剥ける!こっちをレシピに残しておこうか。味は……そんな変わんないな。


 クリを剥き終えたら今度はクルミ。水から取り出して、軽く水気を切ったらフライパンへ。ドングリと同じように炒っていく。今のうちにさっき焼いたドングリ剥いとこ。


 しばらくすると、パキッパキッと音がしてきた。フライパンの前へ戻ると、いくつかのクルミの割れ目の所が開いている。よしよしその調子。一つ手に取って、隙間にノミを刺してひねると簡単に割れた。コレが一番簡単かもね。


 レシピにも書き起こしたので自動作成もできるぞ。てことで下準備は終ーわり。休憩~。


 ──────────


 それでは調理に入ります。まずはクリ。焼き栗ってかまどの火に突っ込めば出来ないかな……無理そうかな……普通にフライパンで調理しよう。クリだけで出来るレシピは~……あ、この蒸すやつ簡単そうだな。

 これにしよう。


 クリの平たい方を下にして、丸みを帯びてる面に十字に切れ目をいれる。渋皮も切るようにね。う~ん固い。これも水に浸しとけばよかったかな。苦戦しつつも切り終わりました。


 切れ目を入れた面を上にしてフライパンに並べ、半分浸るくらい水を注いで火にかける。蓋をして暫く待つよ。結構掛かるから……そうだ、モーチの実の解体のやり直しをしよう。


 …………

 ………

 ……


 か、硬い……外の皮は硬いけど刺さるし、中はモッツァレラチーズなので意外と切れる。だけど種はダメだ……私の力じゃ刃が立たない……やはり力こそパワーか。


「強度を下げるか……薄くしてみたらどうじゃ……?」

「そうします……」


 少し薄くしよう。ボウルとして使いたいから強度はそこそこ欲しい。そんな感じで調節して、再び解体。刃元の顎の部分を振り下ろすとキレイに刺さった。よしこの固さで行こう。


 そうやって試行錯誤して解体を済ませると……なんかフライパンから煙出てる!慌てて火からあげて蓋をとると、切れ目がぱっくりと開いて美味しそうなクリ!多分セーフ!


 一つ取って皮を剥くと、スルッと渋皮まで剥がれてきれいな黄金色!もう一つ剥いてゴインキョさんへ。

 いただきます!


「んん~ほくほくだ~。」

「ほふっ、美味いのう。」


 ホクホクとした口当たりに、蒸すことで引き出された素朴な甘さ……ここからまた潰して、モンブランや栗きんとんにしてもいいよね……

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>だから誤認して……補完して? あまりの美味しさに意識飛んだりポヤァ〜ンとしたりすると幸福(微)や小さな幸せ(微)がつきそうね
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