0.4.3.3 ポトフちゃんのバナナ料理
それではバナナ料理を作っていきましょう!
まず一つ目!かまどに火を起こします。そこにバナナをぽいぽいぽい。
「以上です。」
「ン?こんだけか?」
「そうです。あとは皮が黒くなるまで焼きます。」
焼いてる間に次の準備。材料を並べておこう。あ、そうだ。
「ゴインキョさん、このミルクって凍らせたり出来ませんか?」
「凍らせる?なにか良い魔法があったかのう……」
考え込んじゃった……スキル欄見てるのかな?全部の魔法が使えるって言うのも選択肢が多すぎて大変なのかもね。
「検索とかお気に入り登録できる機能があると便利かもしれないですね。」
「あ~。そうだな。今も増やしてるトコだしな……ん?……ゴインキョ!」
「なんじゃ?」
「氷魔法の中に〈凍結〉ってのがあるらしい。それ試してみてくれ。」
「おお、わかった。」
どうやら他のスタッフさんがローラ様に伝えてくれたみたい。ありがとうございます!
「よし、いくぞ。〈凍結〉!」
ゴインキョさんがスキル名を唱えると、パキパキと音を立てて凍った!おお~固〜い!冷た~い!
「どうじゃ?」
「いい感じです!」
「普通の氷より溶けやすいから、必要になったらまた言うんじゃぞ。」
「分かりました!」
まあ本来なくても良い工程だし、大丈夫大丈夫。出来上がった氷を包丁でざっくり切って……他のミルクの入ったお椀に浮かべておく。これでちょっとは冷えるかな。
さてさてバナナは焼けたかな?かまどの中を覗くと、いーい感じに黒くなったバナナが。甘い匂いもしてきたね。それじゃ取り出しますか。なんか掴むものは……あ、なくてもいけるか?
「オマエ……素手で……」
「それは他の者には真似しづらいかもしれんのう。」
「あ、そういえばそうですね。」
無効化あるし〜と手でひっくり返したけど、そうだった普通はダメージ受けるよね......。大人しく箸使います。
全体が真っ黒になったら取り出してお皿の上へ。完成!
「できました。『焼きバナナ』です。」
「そのまんまじゃな。」
「火にツッコんで放置するだけなのは楽でいいな。」
それじゃ次の料理。
材料はバター、塩、砂糖、バナナ!
バターには塩をちょっとだけ混ぜて練っておいて、バナナはとりあえず3等分にぶつ切り。
熱したフライパンにバターをスプーン3杯入れて、溶けてきたらバナナを入れる。
「あ〜いい匂い。」
「コッチまで匂いがするな。」
「い〜い香りじゃのう。」
バターのかおりプンプンですよ。危ない危ない、よだれでちゃうよ。
コロコロ転がし焼き目がついてきたらお砂糖を投入。これもスプーン3杯。溶かして絡めて絡めて〜ちょっと茶色っぽくなったら完成!
「『焼きバナナ』の完成でーす。」
「なんとも芳しい……さっきと同じ名前じゃな?」
「あっちは、野営地の焚き火で作れる隠し要素みたいな感じでいいかなって......」
「スゲェ茶色くなったな……」
「美味しいものって往々にして茶色いものですよ。」
「なんだソレ……」
さてお次。皮を剥いたバナナを適当に輪切りしてお椀へ。
「ン?完成か?」
「もうちょっとかかりますよ〜。」
皿に盛ったからって完成じゃないんだなこれが。フォークを取り出して潰していきます。今回使ったバナナは、あんまり熟していないちょい柔なやつなので、途中で砂糖をパラパラっと混ぜ込みますよ。
形がちょっと残るくらいの、ねっちょりしたペースト状になったら、お椀に半分ほど移して上から冷やしておいたミルクを注いで混ぜる。残ったほうも同じようにまぜまぜ。
「出来ました!『バナナジュース』です!」
「おお、これは飲み物か。」
「これも簡単に出来そうだな。」
3品完成したので机に並べますよ。あ、焼きバナナ冷えちゃってる……やっぱ1品ずつ味見してったほうが良かったかな。このゲーム、かまどの火はほっといても消えるし、氷にしたミルクだって溶ける。ちゃんと時間経過が再現されているのだ。
なので温かい料理も冷えてしまう。出来立てのまま保存できたらいいんだけどなー。
「デキるぞ。」
「できるんですか?」
「オウ。インベントリにツッコみゃいいんだよ。入れたときの状態そのままで保存されるからな。」
「は〜、そうだったんですね。」
最初っから時間停止機能はついてたわけか。そうだよね、そうじゃないと中に入ってる作物たち腐っちゃうよね。
「あー、そうだな実際腐らないぞ。」
「そうなんですか?」
「ああ。なんというか……収穫した時点でそれ以上成長しなくなる、感じか?細かく言うとパラメータが固定されるんだよ。あとはまあ……食べ物自体実装されたのがオマエが来てからだしな……」
「なるほど……」
つい最近実装されたばっかりだもんね……収穫云々も薬草のとこから設定を持ってきてるって聞いたな。
「農園のヤツは別として、森の中にあるヤツは、実が落ちて腐ったりしてるみたいだし……そういうシステムを作れなくもないケド、ポトフ、欲しいか?」
「う〜ん……」
腐る……腐る……流石に手持ちのモノが腐っちゃうのはいやだな。あれ?でも発酵食品って腐らせて出来るんだっけ?
発酵といえばパンとかもそうだよね?NPCが食べてなかったっけ……ああ、背景なのか……腐って落ちる実と一緒か……うーん……よし、発酵させる作物を作ろう。発酵って時間かかるよね?短時間で効果が出る酵母の実みたいなやつがあるといいかな。そうしよう。
ただ、追熟とかはできなくなるかな。まあ、農園があるし、収穫すれば腐らないし、十分に熟してから採ればいいか。
「今のところは必要なさそうです。」
「そうか。」
そうだ、追熟で思い出した。これはローラ様に伝えておかねば。
「ローラ様、バナナって、茶色い斑点がある方が甘くて柔らかくて美味しかったりするんですよ。」
「な、に……!?あれって腐ってるんじゃないのか!?」
「剥いてみて、中身の色が白ければ問題ないです。半透明だったり、茶色かったりするとやめたほうがいいかもしれませんけど。
「そう、だったのか……アタシは……アタシは今までいくつのバナナを見逃してきたんだ......?」
な、なんかショック受けてらっしゃる。ローラ様が出していたバナナは、一点の茶色もないものばかり。複数つながった房になっておらず一本一本が孤立している。厳選して採ってたんですね……でも、それだけでテーブルに小山ができていたんだもの相当な数見逃してるでしょうね……
「そろそろ食べんか?」
「そうですね。」




