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0.4.2.1 ポトフちゃんとケーラン

 さあ創作部屋へやってまいりました。魔法陣の上の水球に手を添えて早速作っていきますよ。


 まずはオレンジ色でねっとりした液体をまんまるに成形して薄ーい膜で覆って、触るとぷにょっと柔らかい黄身の出来上がり。


 その周りには黄身を包むように透明でドゥルンっとした白身とサラッとした白身。本当の卵にはカラザ……あの白い紐みたいなやつが付いてるけど、あれ必要かな?ちょっと調べてみよ。


 ………

 ……

 …


 へー。あれで黄身を固定してるのか。へその緒みたいなもんかと思ってた。いや鳥にへそなんてないし、どこから栄養もらうのって話なんだけど。確かに固定されてないとゆで卵の黄身だって真ん中に来ないよね。


 個人的には、火を通したら気にならないけど、生だったりお菓子に使ったりする時は、やっぱ邪魔だなって思うからどうにかしたい。なくしたらなくしたで黄身が偏っちゃう……と思う。


 とりあえず、さっき作った中身を、卵の殻の内側についてるような薄皮で包みつつ、黄身の両端についたカラザを細ーく伸ばして、先っちょをその皮にくっつける。これで割ったときにはカラザが身じゃなくて、薄皮にくっついて殻の方に残ってくれる……はず。多分。


 そして1番外側。コンコンパカッてやりたいので普通の卵の殻みたいな感じの硬い皮で、片側がやや尖った楕円形にする。そういえば薄皮と殻の間に空気が入ってる場所?みたいなのがあるよね。それも作っとこ。うん。これでパッと見は完全に卵だ。


 今度はこれを植物っぽくしていく。見た目のベースになるのは『エッグプラント』こと『ナス』!

 ナスと言えば紫で細長い形を想像するだろうが、海外では丸くて白い、まさに卵!な形のナスが一般的なんだとか。この辺は前世も今世も変わんないんだなぁ。


 この卵みたいな白ナスを参考に、まずはヘタとガクを付ける。鶏のトサカみたいな赤にしようかな。ナスのヘタって棘があったりするけど、それは消しておこう。で、このヘタと実の......接着面?接合面?は……ただ乗っけてくっつけるだけってのもなぁ。ヘタ......ヘタ......うーん。


 そうだ、ヘタとはちょっと違うけど、ブドウって房から外すと、茎?についていた所にぽっかり穴が出来て身の部分がちょっとだけ見えるよね?そんな風に、ヘタをとったら穴が開くよう殻と一体化させてみようかな。


 実が小さいうちは柔らかい皮に包まれているけど、成長するに連れ固くなる......そんな感じで。

 ヘタの下の部分は柔らかいままにして、引っ張ってプチッと摘むと、穴があく。直径2センチくらい。それだけあれば黄身と白身を分けたい時にもいいんじゃない?


 むしった時に白身が溢れないように空気の空間がある方にヘタをつけて......

 そうだ、カラザの片方はこのヘタと繋げてもいいかもしれない。


 

 ............

 .........

 ......



「よ〜し......これで完成かな?っんん?」


 黙々と卵の実を作り、ついに完成!ぐーっと伸びをすると、ぽふぽふと、ぽぽ達が顔に向かって体当たり!ああ〜構ってあげられなくてごめんね〜。


「お?なんじゃ完成したか?」

「はい!放ったらかしにしてすみません。」

「ふぉっふぉっ。大丈夫じゃよ。お主が作っとる間にわしも他のことをしとったからの。」


 あ、よかった。この場でも出来るお仕事があるみたいですね。


「それで?どんなものを作ったんじゃ?」

「はい!こちら、『ケーラン』です!」


 そのまんま鶏卵からとった。蘭とはなんの関わりもないよ。


「ケーラン、か。これは何かもとになったモノがあるのか?」

「卵ですね。鶏の卵。」

「……なるほど。」


 なんとも言えない顔をしてらっしゃる。


「あくまで『卵の様な見た目と味の植物』ですから。なんの問題もありませんよね?」

「うむ……うむ。そうじゃな。植物じゃな。」


 よし、植えに行きましょう!


 ──────────


 てことで畑に来ました。ケーランの種は黄身の部分。ドロップ以外の入手方法は、黄身だけを取り出して置いておくと乾燥して固くなるので、それを地面に植えると芽が出るよ。


 植えたら〈植物成長〉!ぐんぐん伸びろー。茎の部分は暗い赤で、花に近いところほど明るくなっている。ちっちゃな実ができると、水風船のようにプクーっと大きくなり……そろそろ良さそうかな?触ってみると、硬い!爪でこんこんっと叩いてみるとカッカッと硬質な音が返ってくる。よし!収穫のタイミングは今だ!


「……お主、その短剣……」

「ん?ああ、これはうさちゃんからいただきました。」


 黒曜石の包丁を使って、鈴なりなケーランのヘタのすぐ上の軸の部分をぷちぷち切って収穫していると、ゴインキョさんから神妙な声を掛けられる。そうですよ、あなたのお孫さんにもらいましたよ。


「ポトフ、孫から、いや、うさぎから何か変なことをされなかったか?」

「?……されませんでしたよ。」

「何か要求されたりは?」

「ないですね。」


 何かやったかといえば……頭をもふらせたこととか?でも初めてやったときもぽぽ達を仲間にしたときも私の方から触らせて……あれ……?


「ポトフ!?やっぱりなにかされたか!?」

「セ、セクハラ……」

「されたんか!?」

「わ、私がやりました……」

「んん!?」


 あっ、お話し合いが始まってしまった。甘んじて処分を受け入れます……あ、早。もう終わった。


「ポトフ。」

「はい……」

「満場一致でセクハラではないそうじゃ。」

「えっ?」

「ポトフが嫌でなければ時々撫でさせてやってくれんか?」

「あっ、はい。」


 ゆ、許された……

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