0.7.1.3 ポトフちゃんのお魚パーティ
・卵の所を種に変更
カンさんのテストプレイも終わったので、他の作業場でお仕事をしていた人達に集合してもらい、料理の反省会。
ピザの食べ方以外にも、色々と問題点を上げてもらいます。薄切りにするとき端っこが切りにくいとか、火加減がわかりづらいとかね。
端っこは……細かくできればいいので、みじん切りみたいに適当に切ってもいいことにしよう。
火加減は確かにわかりづらいね。私もなんとなくでやってるし。もっと薪の本数を厳密に決めるか。1、2本で弱火、3から5本で中火とか……うん。そうしよう。
その他諸々、修正しまして。これにて、テストプレイ完了です!おつかれ!
残った時間は、各々の作業場で、いつも通りのお仕事。といっても、もう夕方なので出来ることは少ない。
とりあえず、ゴインキョさん達が来る前に、もう1品ぐらい作っておこうかな。
用意するのは筋子と醤油と塩。今回は2種類作るよ。
まずは筋子をほぐす。私の作った筋子は、薄い膜の中に卵が詰まっているスタイル。
そう、膜にくっついてる訳じゃないんです。膜の端っこに穴を開け、卵の詰まっている部分を押してやれば、ドゥルドゥルと簡単にイクラがでくるんです!
次に、このイクラをサラシの上に広げて転がし、表面の水分を取り除く。味が染みやすいようにね。
最後に味付け。2つのお椀に分け、片方には醤油、もう片方には塩を振り、優しく混ぜる。
そして、ラッ葉を被せて冷温庫へ。冷蔵庫モードで1日漬け込みます。
あっという間に減っていくタイマーの数字を眺めていると、調理室のドアが開く音が耳に届く。
「ポトフ、お疲れ様じゃ。」
「あっ!お疲れ様ですゴインキョさん!」
お仕事のほうが一段落ついたみたいですね。ナーイスタイミング。丁度最後の料理も終えるところですよ。これから試食タイムだけど、せっかくなので……
「他の班の人たちも呼んでいいですかね?せっかくなので一緒に食べませんか?って。」
「おお、それはいいのう。わしが知らせておこう。」
「お願いします。」
よーし。皆が来る前に、イクラの味付けを済ませちゃおう。冷温庫から取り出して、ラッ葉を外す。んん〜小粒なイクラがツヤツヤとルビーのように輝いてるね!早速いただきます!
ひと匙口に含むと、小さな粒たちが舌の上で踊る。プチュリと歯で膜を突き破ると、塩味に包まれた濃厚な旨味と甘みが口内に溢れ出る。
マイルドな『醤油漬け』もシンプルな『塩漬け』も最高です……お米炊かなきゃ……
料理を調理台に並べ終えたところで、全員集合しました。
鍛冶班、服飾班の皆さんと、ゴインキョさん。それから、それぞれの班の引率として、メリーちゃんと……うさちゃん!
「お疲れ様ですわ〜。」
「ポトフ、お疲れ。今日も沢山作ったな。」
調理室へ入ってきたうさちゃんは、まっすぐ私の方へ歩み寄り、私の帽子とぽぽ達を撫でまわしに来た。人前でやられるとチョットハズカシイ……
(ボ、ボク、親方のあんな顔初めて見たんだけど……!?)
(なんかポトフと距離近くない?ピッタリくっつきすぎじゃない?)
(アレ、キャラ設定外れてんじゃねえか?)
ちらっと視界の隅に映ったドワーフの皆さんは、何やら顔を寄せ合いなにやら内緒話をしている。やっぱ仲いいね〜。
それでは、試食会を始めましょう。今日はお魚パーティですよ!
立食のバイキング形式なんだけど、多分皆さん分からないと思うので、まずは私がお手本を見せます。
片手にお皿を持ち、気になった料理をその上へ乗せる。ソテーを一切れ、天ぷらにはパラパラっと塩を振って……端っこにはご飯とイクラ。
取り終えたら、次に料理をとる人の邪魔にならないよう、調理台から2、3歩下がった場所で、いただきます。
さあ、皆さんもどんどん食べちゃって下さい!
「……これは、決まった順番はあるのか?」
「特にないですね。好きな物とか、気になったものからどうぞ。あ、強いて言うなら、醤油とかの汁気のあるものが、垂れて他の料理につかないように気をつけてください。」
「ふむ……」
先陣を切ったのはゴインキョさん。恐る恐る皿に乗せ始めたのを皮切りに、他の人も料理に手を伸ばす。
「このバターソテー、ですか?ふわふわで美味しいです!」
「これはイクラって言うの?見た目が美しいね。」
一度食べ始めると、もう止まりません!
これが美味しい、これ苦手かも、なんて話ながら次々と口に運んでいきます。
よーし、二周目行っちゃうぞ~。
おっ、天ぷらゾーンでは闇夜さんが食べ比べをしてますね。
「ん、美味……これって何の天ぷら?」
「ああ、それはマスクサの中にある、しら、シロワタって部位の天ぷらですね。」
「へぇー。マスクサね。」
そう返すと、会話が聞こえていたのかスタッフさん達が、マネキンの様に固まってしまった。心なしか、顔が青い。
「どうしたんですか?」
「ああいや、その……」
「あー……」
言い淀む御三方の中からお前が聞け、と言わんばかりに押し出されるうさちゃん。あー、だの、うー、だの唸っていたが、おもむろに私の耳元に顔を寄せ、「あれって白子?だったやつだよな?」と尋ねられる。そうですよ、と答えると、そうか……と呟いて口をつぐんでしまった。
ああ、白子が何か知ってるんだっけ……白子ってセクハラに入る……?いや、名前変えてね、としか言われてないし、大丈夫かな。
「食べてみませんか?」
「き、今日は遠慮しておこうかのう……」
「気分的にちょっと……な……」
「今の私達にはまだ心の準備が出来ておりませんので……」
試しにおすすめすると、ブンブンと首を左右に振られ、拒絶の意。そういえば、ここにいる3人とも男性だね……そりゃしょうがないか……
………
……
…
試食会も無事終わり、今日の締めに入ります。
料理は食堂で、ウオクサは農園で販売して貰って……
「焼きシイタケみたいに、串に刺して焚き火で焼けるようにします。」
「ほう。それはいいのう。」
「それから、ウオクサは水中に生やしたいので、湖とか、川とかに植えに行きたいです。」
「うむ。明日には調整も済むじゃろうから、明後日見に行くか?」
「はい!」
こんなところかな。そうして、ゴインキョさんと話し終えた所で、ドワーフ三人衆と話していたうさちゃんがやって来ました。
「ポトフ、明後日の予定は決まったか?」
「はい!ウオクサの生え方とかを決めようと思ってます。何かありましたか?」
「ああ、火山の国に来て、料理を作ってもらおうと思ってたんだが、予定が入ってるなら大丈夫だ。」
おっと、そうでした。火山の国の作物とか、名物になりそうな料理とか作らなきゃでしたね。
「あ、多分行けますよ。ウオクサの設置にはそんなに時間かからないと思います。」
「そうか?」
「はい。終わり次第うさちゃんの所へ向かいますね。ゴインキョさん、それでいいですか?」
「うむ。構わんぞ。」
それじゃあ、明日は……調整がまだあるなら、下手にログインしない方が良さそうかな?部屋でゆっくり休もう。
ではまた明後日!今日も1日お疲れ様でした!




