0,7.1.2 ポトフちゃんと魚料理
・休憩を挟んだと言う文章を追加。前話から午後です。
・白子の名称を変更する下りを追加。以後『シロワタ』になります。
・その他微修正
闇夜さんのテストが終わり、お次はトンさん。滑り出しは順調だね、と思いながら目を離したその瞬間、
『道具はここにしまってあるんですよ〜。』
「ありがとう……あっ!」
驚いた、というよりは何かを見つけた、というような声が上がった。何事かと視線を向けると「なんでもない。大丈夫。」と首を振られる。気になるけど、まあ、本人が大丈夫って言ってるならいっか。
こっちはこっちでウオクサをさばこうと思います。
多少大きい方が切りやすそうだから、とりあえずバスクサをチョイス。
まずはウロコを取る。あるんですよウロコ取り。鉄製の櫛みたいなやつが。ありがとう、うさちゃん。
バスクサを水で湿らせてからまな板へ寝かせ、葉先の細い方から葉元の太い方へ、ウロコの流れに逆らうようにウロコ取りで掻き取っていく。このウロコはなにかに使えるかな?後で使い道がないかみんなにも聞いてみよう。
お次は三枚おろしにしていく。
普通の魚だと、背鰭とかで骨の位置が分かりやすいんだけど……そうだ、中の骨をもうちょっと長くして、外にはみ出るようにしよう。これで皮の上からでも膨らみの位置で骨が分かるぞ。
改造が済んだので、改めておろしましょう。
横にしたバスクサを動かないように上から片手で押さえつけて、ぽつぽつとした突起に沿って皮に包丁を入れ、骨を露出させる。
そして、その骨を目印に中骨まで刃を進める。卵やシロワタが入ってるかもしれないから慎重にね。上下をひっくり返して反対側も同じように。
最後に、中骨に沿って刃を滑らせてゴリゴリっと身を切り取る。裏側も同じように切り取ったら、三枚おろしの完成です!
ひとまず、お刺身にして味付けをしたい所だけど……バス然りアユ然り、淡水魚って生食は危ないよね?
う~ん、食べられないことはないみたいだけど自己責任か。養殖なら安全?それなら、私の農園(本店)で育てるやつは養殖ってことにして、毒なしにしておこう。
皮を剥いで、薄ーく切って口へ運ぶ。
お、意外と美味しいぞ?淡白な味だけど、はるか遠くに甘味を感じる。ほどほどに弾力もあって、ごく普通のお刺身ってかんじ。
ぶっちゃけ火を通した方が美味しいやつだと思う。
ということで焼いたヤツも味付けしよう。皮目を下にして、オイラをひいたフライパンへ投下!白くなるまでしっかりと火を通して……いただきます!
ふかふかした柔らかい身を箸で解し、口内へ迎え入れるとじゅわっと旨味が広がる。
めちゃくちゃ美味い!味こそ淡白だけど……いや、味付けなしでここまで美味しいって、ポテンシャルの塊すぎる……今度はバターで焼こう。そして塩コショウで味付けして、『バスのバターソテー』のできあがりだ
同じように他のウオクサも捌いて、焼いたり刺身にしたりして食べていきましょう。
淡白かと思いきや、意外と脂がのっているワカサギ。小さなボディに旨味が詰まってるね。これは是非とも揚げ物にして、旨味を閉じ込めたいところ。
淡いオレンジのマスは、サケに近いだけあって脂がのっており、とろけるような舌触りがたまらない。これは普通に『マスの塩焼き』にしよう。シンプルイズベスト。
そしてなにより筋子!ツヤツヤとして美味しそう……!
端っこを1口分解して、味付け。おお……プチプチとした食感が楽しいね。溢れ出す濃厚な旨味もグッド!
で、やっぱりトリはこいつですよ、ウナギ。
ウナギの刺し身ってあるのかな……ウナギの血って、毒があったよね?でも、このウナギソウに血は流れてないし……うーん、検索検索っと。
ある!ありますってよ!へえ、血抜きすれば食べられるんだ……
フグが近いとの事なので、薄ーく切っていただきます。
なるほど、独特なコリコリとした弾力は確かにフグ刺しを思い起こす。けど、味はちゃんとウナギだ……脂もしっかりのっていて美味しい。
後は焼いたものも食べる。皮目からしっかりと焼いて、いただきます。
ほう……ふっくらと柔らかい食感に、ウナギ本来の旨味が感じられる。余計な脂が落ちており、あっさりとしていて美味しい。
あ、そうだ。これって『ウナギの白焼き』として出せるか。
さて、一通り味付けは終えました。引き続き、お料理を続けますよ。
基本的には塩で味付けして焼くだけなんだけど、それだけじゃ寂しいのでもう一種。
まず初めに、大量の黄オイラを用意し、火にかけておきます。そう、揚げ物です。
では、材料のご紹介。ワカサギに、マスのシロワタ。バスも入れちゃおうかな。そうだ、ついでにシイタケも用意しよう。
それから、薄力粉と水。薄力粉はボウルにふるっておいて、水は冷やしておく。いや〜冷温庫作ってもらってほんとに良かったわ。
まずウオクサ。ワカサギはそのまま、大きいものは、三枚おろしにしてから、更に食べやすい大きさにきる。シロワタも食べやすい大きさに切って、シイタケは軸を落としておく。
そして、この食材には、薄力粉をうっすらまぶしておきます。この後の工程で、衣を纏わせやすいようにね。
次に、薄力粉の入ったボウルにお冷を入れ、さっくりと混ぜる。粉の塊っぽいのが浮いていても気にしなくていいよ。この液体にワカサギをくぐらせてから、熱したオイラへドボン!
んん〜ジュウジュウパチパチ揚がる音がたまりませんね。そうして、バスを揚げ、シロワタを揚げ、シイタケを揚げ……各種『天ぷら』の完成です!いただきます!
まずはワカサギの天ぷら。サクッと上がった衣を越え、ふわっと柔らかく、旨味の詰まったワカサギが待ち構えている。骨も全然気にならないね。
続いてバスの天ぷら。程よい弾力のある肉厚な白身は、高級魚って言われても納得してしまうような美味さだ。
そして、シロワタの天ぷら。トロトロで濃厚なクリームようだ。美味い!
最後にシイタケの天ぷら。歯を立てると、閉じ込められていたシイタケの香りが鼻に抜ける。プリっとジューシーで最高です!
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テストの方は、そろそろ終盤。トンさん、テンさんも終わり、最後の一人カンさんの味見タイムです。
なにか思うところがあったのか、少女がピザカッターで切り分けている所を見つめて、ぼそっと一言。
「親方が作ってたヤツこんな使い方するのか……」
親方……?いや、ピザカッターを作ったって時点で該当者は1人しかいないんだけど。親方って呼ばれてるのね……トンテンカンの3人が、道具を見たときに「あっ!」ってなってたのはこれかあ。
そうだよね、自分たちがファンタジーな武器作ったりしてる横で、なんかよくわからん道具作ってたら印象に残るよね……




