0.7.0.4 ポトフちゃんのピザ
まずは窯に火を入れておきます。薪を多めに入れてガンガン焚くよ。
そういえば、窯にも時間飛ばすやつ付けられますかね?あ、付けられる?じゃあ後でお願いします。
そして、インベントリからパン生地を取り出す。
ラッ葉をひろげ、そこに打ち粉を振って、その上で生地を置いて、むにむにと円形になるように指で押し広げる。縁にはちょっとだけ生地を寄せて分厚めに。
ピザ回し?流石のポトフさんでも難しいです。
直径が20センチくらいを越えたらいいかな。お次はトッピング。
生地の上にはトマトソースを広げ、モッツァレラチーズを、たーっぷり散らす。
最後に、バジル……っぽい葉っぱをのせる。多分バジル。恐らく。この爽やかな香りは合ってるはず。
そしてこの生地を崩さないように、ラッ葉を引っ張って、まな板にスライドさせながらのせる。
……今度うさちゃんに運ぶためのスコップみたいなやつ作ってもらおうかな。
そーっと窯に入れ、そのまま1分!チーズがグツグツ煮え立って、美味しそうな香りも漂ってきた。
焦げないうちに、ラッ葉を引っ張って取り出します。
出来上がったのはピザ!『マルゲリータ』!はあ、なんて香ばしい匂い……チーズも溶けていい感じ。これは“アレ”が期待できそうだぞ……!
調理台へ移し、アツアツなうちに切り分けよう。ピザカッターで!作ってくれてありがとう、うさちゃん!
くるくるーっと刃を入れて6等分。1ピース持ち上げると……
「「おおーっ!?」」
のび〜るチーズ!これだよこれこれ!ちょっぴりお行儀悪く、垂れ下がったチーズをお口でお迎えして……あ、美味。いただきます!
土台はやや薄めの生地。そこへ、トマトソースの酸味と、モッツァレラチーズのミルキーで濃厚なコク。さわやかなバジルが加わり、見事に調和している。口元からピザを離すと、口とピザを繋ぐ、チーズの橋が現れる。見た目も面白い最高の逸品だ。
「はふっ、美味い!」
「んむっ、んん~。凄いですわ〜遊び心もあってこんなに美味しいなんて!」
伸びるチーズを見てそわそわしていた二人。私からのGOサインが出ると、素早く手をのばして、チーズの垂れたから口に入れていく。ああ……そこは真似しないでいいんですよ。
ともあれ、口にあったようでよかった。
さて、このピザ作りをチュートリアルにする訳ですが。ここもヘルプ用のNPCに手伝って貰います。なので、その子の設定を決める。
そうだなあ……やっぱり、たんぽぽ族の子で……ギルド内で時々料理教室を開いてるってことにしよう。
これなら、初心者向けの方に、『次の料理教室の準備中に見慣れないプレイヤーが入ってきたから、初心者だ!囲え!の精神でお節介を焼く。』……っていう流れが作れる。材料もこっちで用意しちゃおうかな。
あとは、2人に協力して貰い、実際にどう動くかシミュレーション。
プレイヤー役をやってもらって、ガレットとピザを作って貰います。躓きそうなところの説明や、想定される質問への返答をNPCに教え込ませていくよ。
「ほっ、あっ……そのままひっくり返すのはちと難しいのう。」
「あ、折れちゃいましたか。うーんと……そうだ……こうやってお皿に移して、上からフライパンを被せて……」
「縁を分厚くするのは何故かしら〜?」
「こうすると、上に乗せる具材がはみ出ないんですよ。」
「この葉っぱは何枚乗せればいいの〜?」
「少し癖があるので、最初は3、4枚乗せてみてください。もし気に入られたなら、沢山乗せてもいいですよ。」
………
……
…
そんなこんなで、チュートリアル完成!
「今日は本当にありがとうございました。おかげでもっと色んな料理が作れそうです。」
「それは良かったわ〜。」
本当ありがたいね。これで、時間が掛かりすぎるから……って避けてた料理が色々できるぞ!
「何かお礼がしたいんですけど、作ってほしい料理はありますか?」
私に出来ることなんて料理くらいなんで……
「あら〜、気にしなくてよろしくってよ〜。今日作った道具でたくさん料理を作って、レシピを発表してくれたらそれだけで嬉しいわ〜。でも、そうねえ〜。強いて上げるなら、湖の国の名物になるようなものが欲しいかしら〜。」
「湖の国の名物ですか……」
「ええ、首都のようなものだから、色々な物が流通していて、大抵のものはあるのだけど……湖の国といえば!と言われると……ね〜。」
なるほど……確かに。
湖のど真ん中に浮かんでいる関係上、畑や森などがないためか、街中で見かけた農作物は他の国で見かけたことのあるものばかりだった。
何か追加できるとすれば、この国を浮かべる“湖”か。
「ここの湖の中……水中に作物を作るのはアリですかね?」
「“アリ”ですわね〜。」
このゲーム、水中までちゃんと作り込まれてます。
この湖も、水底まで潜ることが出来るようになってるし、そこでしか採れない土や鉱石の素材があるらしい。
ただ、国の中央に近い場所は、地下にも建物を広げてあり、結界で近づけないようになっているとのこと。
まあ、そこ以外はかなり自由に泳げるそうだから特に問題は無い。
「それじゃあ、湖の国の特産品色々と考えておきます!」
「楽しみにしておりますわ〜。」
それでは、今日のまとめ!
「ガレットとピザは食堂に。ピューレと、ソース各種は農園の方に置きます。それから……注文するときに、この食材抜きで、って言ってもらえれば、その食材が入っていない物を提供出来るようにしたいです。ニンニク苦手な方がいるみたいなので……」
「うむ。そうするか……そのスタッフも喜んでおるわ。」
「そういえば、ピザソースは使いませんでしたわね〜?」
「ピザソースはパンとかに塗って、焼いて食べると美味しいですよ。」
そうだ、パン、トーストにしておこうかな。多分スタッフさん達試すでしょ。
丸パンを真っ二つに切って、断面を上に。ラッ葉に乗せて、片方はそのまま、もう片方にはピザソース。おっと、チーズも単体で焼いとかないと。端っこにちぎって置いておこう。
そのまま窯に入れてサッと焼く。うーん、いい焦げ目。
トーストを手に、2人の元へ戻ると、なにやら話し合い中。その間に味付け済ませちゃいます。ん〜、美味。チーズを後から乗せるのもなかなか乙なものです。
ちまちまかじってたら、話し合いが終わったみたい。途中からチラチラ見られてたのは知ってます。2人の分もありますよ。
「うむ、美味いな。それはそうと、明日の予定なんじゃが。」
「あ、はい。」
どうやら、明日はゴインキョさん同行できないらしいです。先行プレイに向けて、色々とやることがあるんだそう。スタッフさん総出で調整するらしく、忙しいみたい。
でも、ゴインキョさん側から、私の様子を確認できるらしいので、やることはいつもと同じで、大丈夫みたい。
ただ、私が1人になってしまうこと、そして、単純に1ヶ所にまとまってくれてたほうが、管理しやすいということで、他のチームとまとまって行動することに。
明日いるのは、服飾班と鍛治班なんだって。花菱さん達いるのかな。知り合いがいると心強いんだけど。
ご飯を食べに来る時間ぐらいはあるみたいなので、ゴインキョさんの分も取っておきましょう。
明日の予定も決まったところで、そろそろ終業時刻です。
今日も1日お疲れ様でした!




