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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第7章

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94.勇者、神の剣を作り出してしまう



 ドワーフの隠れ里にて。

 俺は長老ガンドールの家で、弟のために剣を作った。


 話は数十分後。

 里の外にて。

 俺とガイアス、そしてドワーフのガンドールが揃っている。


「さっそく性能を試させてもらうよ、兄さん」


 弟のガイアスが、ウキウキしながら言う。

 腰には2本の剣がさしてある。


「おう。ただその前に、名前付けてあげないとな」

「名前? なんの?」


「その双剣の名前だよ」

「無双剣でしょ?」


「それはガンドールが付けた通称だろ? こいつはおまえの相棒になるんだから、おまえがかっこいいやつつけてやらないとな」


 俺の言葉に、しかし、ガイアスは理解できていないようだ。


「そんなことに何の意味があるの? 剣は道具だろ?」


「道具でも、これから命を預ける相棒なんだからさ。大事にする意味でも名前いるだろ?」


「そんなのいらないよ。使えればそれでいいんだから。……さて、いくよ!」


 ガイアスは、双剣の柄を握る。

 そして一気に、引き抜いた。


 シャラン……!


「すごい! やっぱり兄さんの剣は最高だ! みて、こんなに軽い……」


 と、そのときだった。


 ズシッ!


「なっ!? きゅ、急に重く……」


 ガイアスが額に汗をかく。

 両腕の筋肉が盛り上がる。


「な、んでこんな重くなって……持て……ない。ぐあああああ!」


 ずしぃいいいいいいん……!


 2本の剣は、地面に深く突き刺さった。


「ぜぇ……! はぁ……! お、おかしい禁術で腕力を強化しても、重くて持てなかった……いったい、どうして?」


 そのときだった。


『当たり前だ、この無礼者が』

「だ、だれだ!? 敵か!?」


『この私を敵と見間違うとは。まったく、愚かなる使い手ですね』


 周囲を見渡すガイアス。

 俺は双剣に近づいていう。


「弟よ、落ちつけ。しゃべってるのはこの双剣だ」

『さすがはわが作り手。慧眼でいらっしゃる』


 脳内に直接、男の声が響く。

 ガイアスは目を丸くして言う。


「うそ……剣が、どうしてしゃべるの?」

「それは当然じゃな」


 俺の隣で一部始終を見ていた、ガンドールが、深々とうなずく。


「古来より、物には意思が宿るという。最強の鍛冶師であるユリウスが真心こめて打った剣じゃ。自我を持つのは至極当然と言えよう。見事な腕前じゃ、ユリウスよ」


 武器職人の言葉を聞いて、ガイアスはいちおう、納得したようだ。


「道具がしゃべるようになるなんて、知らなかった……」


『己の無知を即座に認める、その姿勢は評価してあげましょう。しかしその後も私への謝罪が無いことに遺憾の意を唱えます。謝りなさい』


「なっ!? 道具のくせに偉そうに!」


『道具ではありません。私は誉れ高き創造主ユリウスさまが生み出した無双の剣。相応の敬意を払ってもらわねば困ります。ひざまずきなさい、雑魚よ』


「むかつく剣だな! 誰に似たんだよ!」


ややあって。


「まあまあガイアス。それにおまえも、そんな腹を立ててもしょうがないだろ」


 ガイアスが憎々しげにつぶやく。


「兄さんに最高の剣を作ってもらったけど、こいつ性格最悪で気に入らないよ」

『創造主ユリウスさまには申し訳がありませんが、私はこの雑魚を使い手と認められません』


 うーん、どうやらふたりとも、お互いが気に入らないらしい。


『創造主よ。我があるじとなってはいただけないでしょうか? このものでは私を使えこなせませんゆえ』


「なにぃ!? ふざけんな! お前程度かんたんに使いこなせるよ!」

『大した自信ですね。では言葉でなく行動で証明してもらいましょう。私を引き抜きなさい』


 ガイアスはうなずいて、双剣の柄を握る。


「ふんっ! ふんぅうううううううう!」


 いくら全力を込めても、双剣はびくともしない。


「無駄じゃ。ガイアス。今のお主では、一生かかっても引き抜けぬよ」


「なんでだよ! ふぐぅううううう!」

 

 ガンドールはため息とともにいう。


「おぬし、人が武器を選ぶと思っておるじゃろう?」

「当、然! 武器は道具だ! 使う人がいなければ始まらない! そうだろ!?」


「やれやれ、ユリウスよ。おぬしという傑物の弟だというのに、ガイアスはまだまだ未熟じゃのう」


「その分、伸びしろがあるんだよ」


 俺はガイアスに近づく。

 タオルを創生し、手渡す。


「ちょっと休憩しな。汗を拭け。風邪ひくぜ?」


 里の外は猛吹雪に包まれている。

 ガイアスはおとなしく受け取って、汗をぬぐった。


「なぁ、ちょいと試し切りさせてくれないか?」

『もちろんでございます、わが創造主よ』


 俺は無双剣の許可を得てから、触れる。


 シャランっ!


「うそだ……びくともしなかった双剣が、こんなにあっさりと抜けるなんて……」


 両手には、紅玉(ルビー)の剣と、蒼玉(サファイア)の剣。


「美人な剣だ。強さも申し分ない」

『もったいなきお言葉です。創造主よ。さぁ、存分に振るってください』


 俺は双剣を構えて、軽く素振りする。


 赤い剣を振れば、炎の嵐が発生した。

 

 ゴォオオオオオオオオオオオ!!!!


 この吹雪に負けることなく、周囲の雪を、天を焼く。


 青い剣を振れば、全てが凍り付いた。


 業火は時間を止められたように、氷づいている。

 きれいな氷の柱となって、天に伸びていた。


 俺はその後もその場で剣舞をする。


 突けば炎の竜が舞い、切り下せば地面が永久の凍土と化す。


 氷雪に包まれたこの里は、何度も夏と冬を繰り返す。

 炎が天をやいて雪雲を散らせ、氷はまた周囲に吹雪を発生させる。


 ややあって。


「うっし、こんなもんだろ。付き合ってくれてサンキューな。良い剣だったぜ」


『過分なる評価、光栄の至りでございます。さすがは創造主、見事私を使いこなせておりました』


 俺は双剣を鞘に納める。


「「…………」」


 ガンドールと弟は、その場に尻もちをついて、呆然とした表情をしていた。


「え、どうしたふたりとも?」


「いや……兄さんの剣舞が、すごすぎてさ……」

「軽く振るだけで天候を操る剣か。無双剣の名にふさわしい一品じゃ!」


「え、何言ってるんだ? こんなの、こいつに秘めた力の、一部に過ぎないじゃないか」


「「えっ!?」」


 驚愕するふたりをよそに、無双剣に言う。


「こいつは使い手と共に進化する力を持ってるよ。ガイアス、おまえにぴったりの剣だ」


「な、なんでそんなこと……わかるの?」


「え、武器を持てば、その武器が持つポテンシャルが見えるだろ?」

「見えないよ!」


 憤慨するガイアスをよそに、ガンドールが神妙な顔つきで言う。


「一流の武器職人ならば、完成した武器の秘めたる性能を知ることは可能。常識じゃな。さすがはユリウス」


「そ、そうなの……? そういうものなの? なんかもうわからないよ……常識ってなんなの?」


 一方で、無双剣は弾んだ声で言う。


『わが創造主よ。可能ならば私に名をいただけないでしょうか?』


「え、持ち主はガイアスだろ?」


『あなた様にぜひ、付けてほしいのです』 


「……別にいいよ。兄さんが付けて。ボクはその方がいい」


 弟に任されたので、俺はしばし考えて言う。


「じゃあ、【セイバー】。おまえは【無双剣セイバー】だ」


 そのときだった。


 カッ……!


 無双剣が突如、神々しい光を発したのだ。

 

 その光はやがて、人の形へとなる。


 ややあって。


「信じられない……剣が、人間になるなんて……」


 そこにいたのは、無双剣セイバーだ。


 彼は長身の美男子になっていた。


 執事服を着ている。

 長めの髪はアメジスト色をしていた。


 左右の瞳は、赤と青のオッドアイ。


「な、なんということじゃ! 剣が、神格を得たじゃとぉおお!?」


 ガンドールはびっくり仰天して、再度腰を抜かす。


「ど、どういうことなの……?」

「ユリウスと言う上位存在が名前を付けたことで、剣がその存在を進化させたのじゃ。今の無双剣は、神の気が宿っておる。つまり、こやつは……剣の神じゃ」


 弟は目をむいて叫ぶ。


「か、神を作り出すなんて! なんだよそれチートだ! チートすぎるよ!」


 なんか名前付けただけで、大げさに驚いてるなみんな。


「わが創造主よ」


 セイバーは俺の前にひざまずいて、俺の手を取る。


 そして、俺の手の甲に、キスをした。


「わが忠誠、あなた様にささげます。この体、この魂は、貴方のものです」


「ふざっけんなぁああああああああ!」


 切れたガイアスが、セイバーを蹴りつけようとする。


 しかしセイバーはひらりとそれをかわし、すました顔で言う。


「無礼なお人ですね。ユリウスさまの弟でなければ切り殺しておりましたよ?」


「うるさい! 勝手にボクの兄さんにキスするな! 剣のくせに! 道具の分際で!」


「まったく、本当にあなたはおろかですね。教育が必要でしょうか?」

「上等だ! かかってこい!」


 セイバーとガイアスが、俺たちをよそに、バトルを始める。


「うんうん、仲が良くっていいことだ」

「「よくない!」」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] あにうえ、規格外すぎますよ! [一言] 新たなユリウスのハーレムの一員(剣)が!!! ガイアス剣に負けるな!
2020/08/02 18:24 退会済み
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