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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第6章

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90.ラファエル、復讐しようとして天界半壊



 転生勇者ユリウスにより、ラファエルが倒された、その日の夜。


 大天使ラファエルは、天界にいた。


 なにもない白い空間にて、ひざまずき、自分の主たる【神】に報告をする。


「パパ。蘇生させてもらってすぐにで悪いんだけど、【終末の神笛】の使用を許可してよ」


 それは、天界が保有する、強力な神器のひとつだ。


 天使が吹くことで発動する。

 その効果は全人類に、強制的に命を奪う。


 世界から人間を一掃する、とてつもなく危険なものだ。


 ――許可セヌ。


 脳内に、主からの命令が下る。


「どうして駄目なのさ! あの大悪魔ユリウスを殺すには、全人類を必ず死に至らしめるこれしかないんだ!」


 ――不要ナ人間マデモ死ヌ。我ノ本意ニ有ラズ。


「人間なんてこの際まとめて掃除しちゃうおうよ! また作ればいいんだし、簡単だろ!?」


 ――不許可。立チ去ルガヨイ。


 ラファエルは、主の元を追い出される。

 ギリ……と歯噛みする。


「くそ! パパの分からずやめ! きっとあの悪魔にびびってやがるんだ! 下等生物ごときに、神が何怯えてるんだよぼけが!」


 天界の廊下を歩き、やってきたのは、宝物殿だ。


「ラファエル様、いかがいたしましたか?」


 見張りの天使が、問うて来る。


「終末の神笛を取りに来た。どきなよ」

「神による許可が無い以上、通すことはできません」


「うるさいよ。【死ね】」


 言霊が発動し、見張りがその場に崩れ落ちる。


「下級の天使ごときが、ぼくに逆らうからこうなるんだ。ふんっ!」


 宝物殿のなかに入る。

 数々の神器が、額縁に飾ってある。


 神剣、神盾など、神の力が宿る、神々しい色をした武器がずらりと並んでいた。


 目当ての神器は、宝物殿の最奥にあった。


 神の形をした像。

 その1つに、黄金の笛が握られている。


「これが【終末の神笛】。これを吹けば……いくらあのユリウスが強かろうと無意味! なにせ、全人類を滅ぼす笛なのだから!」


 狂喜の表情で、ラファエルは叫んだ、そのときだ。


「何をしているのです、ラファエル!」


 6枚の翼を生やした、女の天使が、宝物殿にやってきたのだ。


 長く美しい髪に、誰もが見とれるほどの美貌をそなえた天使。


「【ガヴリール】……ぼくに何の用?」

「その笛をどうするつもりなのです!? まさか使うつもりではありませんね!」


「うるさいなぁガヴリールのがみがみババア。【すっこんでろよ】」


 その瞬間、ガヴリールは背後に吹っ飛ばされる。


 壁に激突し、ずるりと倒れる。


「だ、駄目です……それを使っては」

「いいじゃん別に。人間なんて何回でも作り直せばいいだし」


「そうじゃない……あなたは、わかっていない。お父様が、その笛を使わない、本当の理由を」


「本当の理由? なにそれ?」

「……あなたは、若い天使だから知らないのです。彼の、勇者ユージーンの、恐ろしさを」


「はぁ? なに言ってるの。ガヴリール。勇者がなんだっていうんだよ。人間である以上、この笛の効果は絶対。やつを死に至らしめることが100パーセントできるんだぜ?」


「それは、傲慢ですよラファエル。あなたはわかっていない。この世の理に収まらない、本物の、化け物がいることを。あなただって一度負けて思い知らされたでしょう?」


「う、うるさい! ぼくは負けてない! 天使が、人間ごときに、負けるわけにはいかないんだ!」


 終末の笛を、ラファエルはくわえる。


「ばいばい、人間(うじむし)ども! 恨むならぼくにさからったユリウスを恨むんだね!」


 思い切り、息を吹き込む。

 その瞬間、この星を美しい笛の音が通り抜ける。


 ともすれば鳥のさえずりに聞こえるそれは、しかし死をいざなう死神の旋律。


 ラファエルは笛から口を離す。

 宝物殿にあった、遠くをみわたせる、鏡の神器を手に取る。


「ふふ! はーっはっは! 素晴らしい威力! これぞ神の力だぁ!」


「ああ……そんな……なんてことを……」


 鏡に映っているのは、地面に倒れ伏す、人類の姿だ。

 地上に存在する人間はすべて、終末の笛の効果により、全滅した。


「勝った! ぼくはユリウスに勝ったんだ! 思い知ったかぁ!」


 そのときだった。


「なにをだよ?」

「な!? ゆ、ユリウスぅううううううう!?」


 宝物殿に、転生勇者ユリウスが、突如として現れたのだ。


「そんな馬鹿なぁああああああああ! 全人類を滅ぼしたんだぞぉおおおおおおお!?」


「……愚かですね、ラファエル。かの勇者神を、人類に分類するなど」


 ユリウスは冷たい表情で、腰を抜かすラファエルを見下ろす。


「忠告したよな。狙うなら俺だけにしろって。無関係なひとたちを、巻き込むなって」


「は、はん! お、おまえの言うことなど誰が聞くもんか! それに、ねえ今どんな気持ち? 守るべき人たちを皆殺しにされて?」


「最低の気分だよ」


 すっ、とユリウスが手を伸ばす。

 魔法陣が展開する。


「ぼ、ぼくを怒らせるのがいけないんだぞ! そのせいで滅んだんだ!」


「なにが?」


「だから人類が……って、なにぃいいいいい!? い、生き返ってるだとぉおおおお!?」


 鏡には、さっきまで倒れ伏す全人類がうつっていた。

 しかし今、地上の生命は、全員が生き返っている。


「死者蘇生の魔法!? そんな! こんな大量の命を、生き返らせるだなんて!?」


「2000年前は、この星まるごと破壊する敵がごまんといた。勇者(おれ)はそのたび星と生命の全てを治していた」


 ユリウスは極大の治癒魔法陣を閉まい、無機質な表情のままいう。

 

「人類すべてを殺した程度で、調子に乗るな、三下てんし風情が」


 その瞬間、ラファエルは失禁した。

 理解したのだ。


「あ……ああ……ば、化け物だ……正真正銘の、規格外の、化け物なんだ……」


 彼我の実力差が、天地、否、銀河のかなたほど離れているということを。


 今更理解したところで、もう遅い。


「さて……と。言ったな。二度はないと」


 ユリウスの髪が、黒から金髪に変わる。

 それは霊装と呼ばれる技術だ。


 人の身で、神となる最高峰の戦闘技術。

 

「おまえらを、皆殺しにすると」

「う、うわぁああああああ!」


 ラファエルは立ち上がり、めちゃくちゃなフォームで、殴りかかろうとする。


 ユリウスはその手に光の剣を、聖剣を出現させる。


 神々しい光が刃に集い、巨大な光の剣へと変わる。


 振り上げた聖剣を、ユリウスは一回転させた。


 ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 高エネルギーの光の斬撃は、周囲に拡散する。


 それは宝物殿にあった神器をすべて破壊した。


 さらに、宝物殿は倒壊。

 破壊の光はさらに広がり、天界中の建物すべてを消し飛ばす。


 天界を支える白雲はすべて消え去り、天使や神は足場を失う。


「は……はひ……はひぃ……」


 あまねくを破壊しつくしたというのに、しかし、天使ラファエルは生きていた。


 それだけではない、天使も、神すらも、誰も死んでいなかったのだ。


 空中に浮かぶ天使たちは、呆然と、聖剣を持つユリウスを見上げる。


「これでわかったか? 俺はいつでもお前らを皆殺しにできる」


 全員を殺すことは容易いと、あえて誰も殺さないことで、ユリウスは自分の言葉が本当であると証明したのだ。


「俺を殺そうとするなら好きにしろ。いつでも相手してやる」


 ただし……とユリウスが続ける。


「人々の平和をおびやかすやつらには、誰であろうと、俺は容赦しないからな」


 ごく静かに、彼は言った。

 だがその言葉は、天界に、地上に住まう神々すべてに、行き渡る。

 

 ラファエルは、再起不能になるほどの、強烈な恐怖を魂に刻み込まれた。


 彼だけでない。

 天使、神々、そのすべて。


 程度は異なるが、ユリウスという、人類最強の存在きょういを、はっきりと認識した。


「ユリウス=フォン=カーライル……絶対的な強者よ。さすが……人の身で、神になった存在は、格が違います。ああ、なんと素晴らしい……」


 ガヴリールだけは熱っぽくそうつぶやく。


「要件はそれだけだ。そんじゃな」


 彼は転移の魔法を発動させると、何事もなかったかのように消える。


 天界のあった場所には、驚くほどの静けさだけが残った。


 あたかも、黒い暴風が、通り過ぎたように。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無駄無駄無駄無駄ァ!!みたいな感じですね。 [一言] なるほど、町の少年サッカーチームと銀河軍団くらい差があるんですね(ちと古い。今はバルサの時代・・)
[一言] 天使からも化け物扱いされたユリウスやばい。
2020/07/29 18:38 退会済み
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