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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第4章

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58.勇者、弟と共闘する



 地下ダンジョンにある、理事長室にて。

 俺の弟ガイアスが、天井を突き破り、俺たちの元へやってきた。


「そ、そんな馬鹿な!?」


 実は魔族だった学園長が、驚愕の表情を浮かべる。


「地上にはSランクモンスター【魔甲虫】を、2000匹放っていたんですよ!? なぜ無事なんですか!?」


「え、わからないのか、おまえ?」


 俺は笑って、弟の頭をなでる。


「弟が倒してきたに決まってるだろ?」


「あ、ありえない! Sランクですよ!? こんな初級の魔法すらまともに使えぬ出涸らしのクズが! わたしの生み出した使い魔を倒せるわけがない!」


 アリシアは杖を取り出し、俺たちに向ける。

 魔法陣が展開し、黒い巨大なカブトムシ【魔甲虫】を生み出す。


 その数は10。 

 虫はガイアスめがけて、強烈な突進をかける。


 ズバンッ!


 ガイアスの双剣は、10匹の虫たちを、たやすく両断した。


「そんなばかなぁ! 魔甲虫の外皮は、Sランクのなかでも特に堅いのですよ!? それをこんな雑魚の人間(サル)が切れるわけがないんだ!」


 弟の体からは、銀のオーラが立ち上がる。


「それは禁術!? 魔力と闘気を融合させ、莫大なエネルギーを生み出す超高難度のテクニック! なぜたかが人間が使えるのだ!」


「学園長。あなたは人間(ボク)を舐めすぎだ。なんといっても」


 ガイアスは胸を張って言う。


「ボクはユリウス=フォン=カーライルの弟なんだ。これくらいの敵に苦戦していたら、兄さんに申し訳が立たないよ」


 俺は弟の頭をぽんと撫でる。


「学園長、あんたがなんか企んでいることはわかっていた。だから俺はワザと弟を地上に残した。今のガイアスなら、たいていのことはなんとかできるって、信じてたからな」


 愕然とする学園長に、俺は言う。


「ということで、あんたの自慢の使い魔は、俺の自慢の弟によって全滅させられたわけだ」


「ば、ばかっ。人前で変なこと言うなよっ」


 顔を赤らめるガイアスの頭を、俺はよしよしとなでる。

 ガイアスはおとなしくなる。


「そんな……計画は見抜かれ、しかもこんな、ユリウスでもないただの雑魚につぶされるなんて……」


「学園の長の癖に、生徒たちの可能性を信じないんだなおまえ。人間は強くなれる。どこまでも、それこそ無限にな」


 俺の言葉に、学園長がギリっと歯噛みする。


「や、やはり素晴らしいですよ勇者神。あんな雑魚をここまでの逸材に育て上げるとは!」


 学園長がにやりと笑う。


「勇者神……」


 ガイアスが小さくつぶやく。


「そうです! ガイアス、あなたが兄と思い込んでいるそこの化け物は! 赤の他人が憑依した存在なのですよぉ!」


 アリシアは狂ったように笑う。

 どうやら嫌がらせをしたいみたいだ。


「そんなの、とっくに気づいてるよ」


 弟は微塵も動揺していなかった。


「え、そうなの?」

「うん。とっくに。兄さん隠そうとしなさすぎだよ」


 ガイアスは苦笑していた。

 

「許すのか!? そこの男はおまえをずっとだましていたのだぞ!?」


「だますも何も、この人自分から言ってたから」


 やれやれ、とガイアスが呆れたように言う。


「今更正体を告げられたところで、ボクは微塵も揺るがないよ」


 ガイアスは剣を振り上げる。


 スパパパンッ!


 弟の周囲に、数本の触手が細切れになって落ちる。


「動揺させて隙をつこうとしても、無駄だから」


「ってことだ。悪いな、うちの弟はお前が思う以上に強いんだよ」


 ガイアスは嬉しそうに笑う。


 一方でアリシアは悔しそうに歯噛みする。


「くそっ! 計算外だ! まさかここまで弟を強くするとは、勇者神おそるべし!」


「それでどうする? おとなしく降参するか?」


「……仕方ない。こうなったら奥の手を――」


 アリシアが懐に手を忍ばせる。


 スパンッ!


 ガイアスが一瞬で踏み込み、アリシアの腕を切り飛ばす。


 空中には右腕。

 そして手には魔力の秘めた結晶が握られていた。


「兄さん!」

「おうよ」


 俺は魔剣ヴェノムザードを顕現させ、剣聖の技能【虚空剣】を発動。


 万物を切り割く剣で、俺は空間ごと削り取る。


 ズバンッ!


 結晶は、空間まるごと消し飛ばされた。


「ば、バカな……なぜ壊さなかった……あれには天使が封印された結晶、壊せば天使が出現し、殺戮の限りを尽くしたのに……! まさか見切っていたというのか!?」


「え、割ったら掃除が面倒かなって思っただけだけど?」


 アリシアは呆然とした表情で俺を見やると、力なくうなだれたのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 兄弟仲良く人外www
[良い点] しかたねえ、自分も10p入れて一位に貢献しなくては……これ、青くなってる星を白くすればポイント入るの?
2020/07/08 15:53 退会済み
管理
[一言] うーむ おもしれぇw
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