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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第4章

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55.勇者、理事長に会いに行く



 翌日の放課後。


 俺は地下ダンジョンの入り口にいた。


「兄さん、どうしても、ついて行っちゃだめ……?」


 ガイアスは不安げに俺を見上げる。


「駄目だ。敵は天使を使役してきた。今のお前じゃ荷が重い」


「そう……だよね。ボクがいちゃ、足手まといだよね……これから敵かも知れない、理事長に会いに行くんだから」


 理事長は学園に、魔族を斡旋している疑いがある。


 俺は真相を明らかにするため、理事長に直接会いに行こうとしていた。


「おまえを足手まといなんて、思ったことは一度もないさ。ただ相手は未知数だ。お前の身に何かあったら大変だろ?」


 俺は弟の頭をなでる。


「……それは、兄さんにも言えることじゃないか。何かあったらどうすんだよ?」


「え、なに心配してくれるの?」


「ち、ちが………………そうだよ」


 珍しくガイアスが、反論しなかった。


「心配すんな。大丈夫、何事もなく帰ってくるから」


 ガイアスは俺を見上げていう。


「いってらっしゃい」


「おう、いってきます」


 ややあって。


「なあ学園長さんよ、理事長は本当に、地下ダンジョンにいるのか?」


 俺の後ろを、学園長アリシアが歩いている。


「本当ですよ。理事長室は学園長わたししか場所を知らされていません」


「ふーん……俺に場所を教えて良いの?」

「もちろん。あなたは特待生ですからね」


 そのときだった。


「ブモォオオオオオオオオオオ!」


『ミノタウロス。頭が牛のSランクモンスターだな』


 魔王の解説が終わると同時に、ミノタウロスは肉塊となって、その場に崩れ落ちた。


「素晴らしい……! 刹那の瞬間に剣を作り細切れにしたのですね! さすが勇者神さまです!」


「……あんた、今の動き見えていたんだな」


「ええ、バッチリと! 勇者神の剣術を生で見ることができて、感激です!」


 学園長は、俺が勇者ユージーンであることを知っているのだ。


「先進むか」


 学園長に道案内して貰い、ダンジョン内を歩く。


 この学園は魔王城の跡地ということもあり、出てくる敵は【まあまあ】だ。


 ズバンッ!

 しゅこんっ……!

 ドガアアアアアアアアン!


「出てくる強敵をすべて瞬殺! さすが勇者神! 強すぎます!」


 キラキラとした目を、学園長が向けてくる。


「え、こんなの強敵じゃないだろ?」


「まさか! この衰退した世界において、Sランクモンスターを倒せるものなどおりません。ただひとり、あなた様を除いて」


 うっとりとした表情で、アリシアが俺の後をついてくる。


「……おまえも、倒せるんじゃないか?」

「そんなまさか。あり得ません」


「でも、そうじゃなきゃ理事長室へいけないだろ?」

「普段【隠蔽】魔法を使い、敵から姿を消してこっそりと地下に潜っています」


 俺はサクサクと進んでいく。


「ところでユリウス君。あなたに聞きたいことがあります」


 俺は出てくる無数のSランクモンスター達を蹴散らす。


「あなたから見て、この世界……どう見えていますか?」


 振り返ると、アリシアが真剣な表情で俺を見やる。


「平和で良い世界じゃないか。人間達が魔王や魔族たちに怯えずに、穏やかに暮らせている」


「でもそれは、人間にとってはですよね? 滅ぼされた魔族たちにとって、果たしてこの世界は平和と言えるでしょうか?」


 アリシアは、無機質な声音で俺に問いかける。


「……さぁな。俺は人間だから、魔族の気持ちはよくわからん」


「いいえ、あなた様ならわかりますよね? 異端者の気持ちが」


 学園長は俺のそばまでやってきて、真っ直ぐに見てくる。


「あなたは史上最強の魔王すら凌駕する超越者です。その強大な力故に、周囲から孤立していたことは、容易に想像できます」


 まるで見てきたかのように、学園長が言う。


「平和のために身を粉にしているのに、守るべき人間達から恐れられ、憎くはありませんでしたか?」


「いいや、ぜーんぜん。全く気にならなかったね」


 本心で、俺は彼女に返す。


「……そう、ですか」


 やや落胆したように、学園長が言う。


「無駄な時間を取らせてしまいました。まもなく理事長室です」


 何もない壁の前にたどり着いた。


「この向こうに部屋があります。行くためにはこの特別な鍵を……」


 俺は壁に向かって、普通に進む。


 ドガァアアアアアアアン!


「え、鍵あるの?」


「この堅牢な壁を、ただ進むだけで壊すとは! さすがは勇者神!」


 さっきと打って変わって、学園長はキラキラした目を向けてくる。


「で、あの扉の向こうが、理事長室なわけね?」


 壁の向こうには、廊下が広がっている。

 最奥に、鉄の扉があった。


「いくか」

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― 新着の感想 ―
[一言] とうとうエリーゼや姫さんが登場すらしなくなってて草 ガイアス君くらいしか主人公の目線に合わせることが出来ないし仕方ないね
[一言] ガイアス君がヒロインに?
[一言] 弟が可愛い♡ そしていつの間にこんなデレになった?! 嬉し過ぎるわ╰(*´︶`*)╯♡
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