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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第4章

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47.国王、娘をダシに勇者の同情を引こうとし失敗




 転生勇者ユリウスが、弟とともにゴブリンの巣でトレーニングを行った。


 話はその日の夜。

 王城は、とある話題で持ちきりだった。


『逃亡した第8王女ヒストリアが、ゴブリンの巣で発見。ユリウスの手で保護された』


 父親である国王は、その話を聞いたとたん、小躍りした。


「(なんたる僥倖だ!!)」


 国王はヒストリアの部屋に向かいながら、内心でにやりと笑う。


「(国外追放を恐れて脱獄した、と聞いたときはあまりの愚鈍さに、こいつを産ませたのは間違いだったと悔いたが……今となっては本当に良くやったぞ!)」


 部下によると、どうやら娘はゴブリンの慰み者にされていたらしい。


 そこへ、ユリウスが偶然ゴブリンの巣へ赴いた際に、彼女を発見したという。


「(ユリウスは善人だ。元とはいえ婚約者がゴブリン達から酷い目にあったと知れば、同情することだろう。そこにつけ込めば、彼は娘を捨て置けまい。さすればユリウスは我が手中に……)」


 一国の王とは思えないほど、邪悪な笑みを浮かべる。


 国王はユリウスを全く諦めきれていなかった。


 娘を利用して、カーライル公爵家との繋がりを修復させ、利益を得ることしか考えていなかった。


 ややあって。


 第八王女の部屋の前までやってくる。


「おいそこの衛兵、ユリウス殿は中にいるのだろうな?」


「ハッ! おります!」


 部屋の出入り口を守っていた衛兵。

 彼の返答を聞いて、国王はよしよしと思う。


 国王は大げさに、さも急いでやってきたという感じに、ドアを乱暴に開ける。


「ヒストリア! いとしの我が娘よぉ!」


 ベッドではヒストリアが寝ている。


 ちらり、と国王はユリウスを見た。


 彼は娘のそばに立ち、【何か】をしていた。


 国王はユリウスの存在をきちんと認識した後、娘のそばまで走る。


「あぁ! なんという変わり果てた姿だろうか!」


【ヒストリアの方など一瞥もくれず】、ユリウスの様子をうかがう。


 彼はきょとんとした表情をしていた。


「おぉ神よ! なんと残酷なことをしてくれたのか! 娘は小鬼どもの慰み者にされ、心身ともに傷付いて生きる希望もないような状態……あぁ! なんて可哀想なんだ、我が娘は! せめて誰かが心の支えになってくれれば……」


 と、そのときだった。


「う、うぅ……」


 ぱちっ、とヒストリアが弱々しく目を覚ます。


「(チッ……! おまえは一生目覚めなくて良かったのに。むしろ意識を取り戻さぬ方が都合が良かったのだが、まあいい)」


 ユリウスの同情を引き、カーライル家をこの国に縛り付けることができればそれでいいのだ。


「おお! 我が愛しい娘よ、目をさましたか、良かった……」


「え!? なんで城にいるの、アタシ!?」


 ヒストリアは目をむいて叫ぶ。


「一体何が起きてるの!? アタシ、城を出てユリウスに媚薬を飲ませにいったはずよね……」


「なっ!? 何を言ってるのだこの馬鹿娘!」


 国王はヒストリアの肩を掴んで揺する。


「あぁお父様! 違うの聞いて! アタシお父様のために! ユリウスを薬で惚れさせようと……」


「俺が、なんだって?」


「ユリウス!? なんでここに!?」


 娘は置かれてる状況が、理解できないようだ。


「おまえ、ゴブリンの巣のなかにいたんだ。結構ボロボロだったから、知り合いのよしみで【時間遡行タイム・リバース】の魔法を応用し、巣へ来る前の状態の体と記憶に戻してやったんだよ」


 さぁ……とヒストリア、および国王が青い顔をする。


「ゆ、ユリウス殿! 娘が大変失礼なことを! 申し訳ない!」


「いや、まあ未遂だったからいいけどよ。……しかしおまえ、最低だぞ。別れた相手に媚薬を飲ませようとするなんて」


「違うの! これは違うのよぉ! ねえ信じて!」


「そ、そうだ! 娘を信じてあげてくれ、ユリウス殿ぉ!」


 ふたりして、ユリウスの足にしがみつこうとする。


 だが彼は一瞬消えて、別の場所に現れる。


「元婚約者ってことで助けた。だが二度はない。それと……おまえらもう二度と、俺の前に姿を現すな」


 ギロッ! とユリウスがにらみつける。


 ふたりは腰砕けになった。


「娘使って一服盛るつもりだったんだな。……汚いマネしてくれるじゃないか」


「誤解だ! このクズ女が勝手にやったこと! わしは無関係だぁ!」


 ユリウスは国王を無視して、転移した。


「余計なことをしよって、このバカ娘が! おまえのせいで完全にユリウスが離れてしまったではないか! くそ! 最悪だぁ!」


 国王はガリガリと髪の毛をかきむしりながら、慟哭するのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] こいつら見てるとガイアス君が愛しくてたまらなくなってきますね…… あ、いつも更新早くてほんと嬉しいですっ!
[一言] ガイアスはいいけどこいつらは駄目だな。
[一言] そりゃ怒るよ!w ヒストリアじゃなくて国王様の対応がもう、もう……w
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