25.勇者、国王から娘の不始末を謝罪される
俺は国王に連れられ、応接室までやってきた。
ソファに座る俺の前に、国王が跪き、頭を下げる。
「こたびは、わが娘が多大なるご無礼を働き、すまなかった!」
何度もぺこぺこと、国王が頭を下げる。
「いや、別に迷惑なんて思ってないけど」
そもそもヒストリアに何かされたっけ、俺?
「今回のこと、謝ってすむ問題ではないことは重々承知している。しかしどうか、気を静めて頂けないだろうか?」
「え、別にいいよ」
国王の眼が点になる。
「こ、殺されかけたというのに?」
「え、そんなことされたっけ?」
死にかけたのは、前世の魔王戦くらいだよな?
「で……では、娘の非礼を許す、と?」
「ああ。まあこの間弟をバカにしたのは腹たったけどな」
国王は深く、安堵の吐息をつく。
居住まいを正し、真剣な表情で言う。
「……ユリウス殿、今この場で聞くことではないかもしれないが、わが娘との婚約、改めて結んでいただけないだろうか?」
「え、無理」
「……そうか」
国王は深々とため息をつき、がっくりとうなだれる。
「そなたの不興を買ったのだ。こうなるのは致し方あるまい。ならばほかの王女との婚約はどうだろう?」
「いや、さすがに無理だよ」
会ったことのない相手との婚約なんて、という意味で言った。
「そんな! か、考え直してくれ!」
がっ! と国王が俺の腰にしがみついてくる。
「カーライル家はこの国の基盤を支える大貴族! そなたに抜けられるとこの国は瓦解する! どうか! お考え直しを!」
この親父、何言ってるの?
と、そのときだった。
「それは無理やわぁ。なにせユリウスは、うちの旦那様になるからなぁ」
ドアを開けやってきたのは、皇女サクラだった。
「ま、まさか!? きょ、極東の姫君と、すでに婚約を結んでるだと!?」
サクラはニコニコしながらやってくると、俺の隣に座り、腕にしがみつく。
「うちら極東は、この素晴らしい殿方であるユリウス殿を婿に迎えることにしたんやわぁ」
「俺、了承してないんだけど」
「ええやん、だっておにいさん、別にこの国に執着しとらんやろ?」
「そりゃまあな」
国王は、ハンマーで頭を殴られたような顔をする。
「ならええやん、うちの婚約者になってくれへん?」
「いや、急すぎて答えられないよ」
「じゃあお友達からはじめましょう?」
「それならいいよ」
サクラが手を伸ばし、俺はその手を掴む。
「カーライル家が、隣国と手を結ぶなんて……ならん! ならんぞぉ!」
国王が声を荒らげる。
「ユリウスは我が国に必要な人材だ! 手放すわけにはいかん!」
「国王はん、そりゃ無理なはなしやで」
すぅ、っとサクラが目を細める。
「あんたの娘は、明確に殺意をユリウスはんに向けた。これはカーライル家への明確な敵対行為やわ」
「いや! あれはバカ娘が勝手にやったことだ! この国は関係ない!」
「その理屈、ほんまに通ると思っとるんか?」
静かなる殺意を、サクラが国王に向ける。
彼は気圧されて、へたり込む。
「あんたの娘がやったことは、カーライル家が離脱するに足りる十分な非道や。その父親が、彼を引き留める権利、ほんまにあると思っとるん?」
「ぐ、ぐぐぐ……」
がっくり、と国王がうなだれる。
「え、っとまったくついていけてないんだけど?」
サクラはにこりと笑って言う。
「あんたは気にせんでええよぉ。それより、今度うちに遊びにこぉへん?」
「お、いいな。極東って一回遊びに行ってみたかったんだよ」
旅行の予定を立てている一方で、国王が悄然とつぶやく。
「……ヒストリアの馬鹿娘が。おまえのせいで隣国に大貴族を取られて大損だっ。覚えていろよぉ!」
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