247.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
ガイアスの宣言に呼応するように、闇の塊が爆発的な反応を見せた。
危機を察知した不定形の怪物は、その体積を一気に膨張させ、数百本もの触手と刃の嵐となってガイアスに襲いかかった。
全方位からの同時攻撃。逃げ場など存在しない、死の包囲網。
だが、ガイアスは動じない。彼の神眼には、その全てが「遅すぎて」見えていた。
触手が鞭のようにしなる前に、その軌道となる魔力のラインが視える。
刃が空間を切り裂く前に、その発生点となる座標が視える。
ガイアスは嵐の中を歩いた。
最小限の動きで上体を逸らし、半歩足を引き、首を傾ける。彼の身体を掠めることすらできず、闇の刃は虚しく空を切った。
それは回避というよりは、あらかじめ決められた舞踏のようだった。攻撃が来る場所に、ガイアスは既にいないのだ。
焦燥した闇が、唸りを上げた。
小手先の攻撃が通じぬと悟ったのか、周囲に拡散していた黒い霧が一点に収束していく。
圧縮された闇は、光すら飲み込むほどのどす黒い球体となり、ガイアスの頭上で震えた。
(来るか)
ガイアスは足を止め、頭上の脅威を見据えた。
次の瞬間、球体が弾けた。
それは指向性を持った攻撃ではない。空間そのものを押し潰すような、純粋な魔力の奔流による広範囲殲滅攻撃だった。
回避は不可能。防御も無意味。
だが、ガイアスは待っていた。この瞬間を。
絶大な攻撃を放つその一瞬、霧の中で絶えず移動を続けていた「核」が、その場に固定されたのを神眼が捉えた。
ガイアスは地面を蹴り、奔流の中心へと自らの身体をねじ込んだ。
肌がチリチリと焼けるような感覚。濃密な魔力に当てられ、肉体が悲鳴を上げる。
しかし、彼の視線は一点、闇の深淵に輝く核のみに注がれていた。
肉体を持たぬ霧。物理干渉を無効化する闇。
本来ならば、拳で殴ることも、剣で斬ることも叶わない存在。
――だが、今は視える。
ガイアスの神眼は、物理法則を超えた領域を捉えていた。
魔力が事象を構成する結節点。存在をこの世界に繋ぎ止めている「縫い目」。
形のないものに存在する、唯一の「切れる場所」が。
ガイアスは右腕を振り上げ、その手刀を、何の抵抗もない虚空へと向かって振り下ろした。
「断絶せよ」
ザンッ!!
何かが断ち切られる、硬質な音が響いた。
それは肉を斬る音ではない。世界を構成する理が、強制的に切断された音だった。
「――――ッ!?」
声なき絶叫が木霊する。
ガイアスの手刀は、正確に闇の「核」を両断していた。
核を失った魔力の奔流は、制御を失って霧散し、主を失った黒い霧は、急速にその色を失い、ただの大気へと還っていく。
数秒後。
そこには、静寂だけが残されていた。
あれほど濃密だった闇の気配は、跡形もなく消滅していた。
ガイアスはゆっくりと息を吐き、自らの掌を見つめた。
傷一つないその手で、彼は確かに、形なき概念を斬り裂いたのだ。
(……完成したか)
神眼は、新たな領域へと達した。
もはや彼に斬れぬものはない。たとえそれが、実体を持たぬ闇であろうとも。
ガイアスは掌を握りしめ、再び歩き出した。
目指すは地上。
この眼で捉えられぬものは、もはや何もない。
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