ルブラン教会の謎 3
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翌日、シオンとアークはルブラン教会を訪れていた。
護衛のためにオルフェリウスに手配してもらって兵士たちに、教会の周りや墓地のあたりを調べるよう頼み、シオンはアークと教会の中に入る。
教会の中も外も、相変わらず誰もおらず閑散とした雰囲気を醸し出している。
カツンカツンと歩くたびに足音の響く教会の中を歩きながら、シオンはふと違和感を覚えた。
「アーク、そう言えば、フランク神父はしばらく教会に来ていないのだろうか?」
違和感――そう、いくらあまり人が立ち寄らないとはいえ、人の気配がなさすぎる。常駐しているはずの神父の気配もないのだ。
(ローデル男爵に殴られたという怪我は、入院が必要なほどではなかったと思うが……)
念のためと、一時的に病院にいたとしても、さすがにもう戻っているはずだ。
「もし、神父がしばらく来られないと言うのならば、教会から誰か代理がくるはずです。代理も来ないのであれば、普通は教会を締め切るはずですが」
「そうだよな。――フランク神父ー?」
シオンは試しに大声でフランク神父の名を呼んでみたが、やはり反応はない。
もしかしたら、地下室にいて声に気がつかないのだろうか。
シオンとアークは、以前案内されたことのある地下の倉庫のような部屋に向かうことにした。
埃っぽい階段を下りて、小さな部屋に入る。倉庫は薄暗かったが、あらかじめ予想していたためランタンを持ってきていた。
フランク神父はいないらしい。
ランタンを近くのテーブルの上において、シオンとアークは地下室を物色しはじめるが、物置がわりに使われている地下室には、使われなくなったものや本などがおかれているのみで、特に珍しいものも、シュゼットの手掛かりになりそうなものもない。
シオンは落胆して、古びたタペストリーのかかっている壁に寄りかかった。
「え? うわっ!」
だが、そこにあると思っていた壁が、なぜか後ろにさがって、シオンはうしろ向きに倒れこむ。
「シオン、どうしました?」
「いてて……、アーク、この奥に何かある」
シオンが腰をさすりながら、タペストリーをよけて奥を見ると、壁だと思っていたところに扉があり、どうやらきちんと閉まっていなかったのか、シオンが寄りかかったことで開いてしまったようだ。
「……この奥に、まだ部屋が?」
アークがランタンを持って、シオンとともに奥の部屋に入る。
奥の部屋はさらに薄暗く、アークがランタンをかざして部屋の中を照らしたそのとき――、シオンは大きく息を呑んだ。
アークも茫然と目を見開き、立ち尽くす。
「なんだ……、これ……」
シオンの口から、絞り出すような低い声が漏れた。
――部屋の中には、複数の少女の遺体が、幾重にも折り重なっていた。




