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ライブカメラ


 遂に始まった。


 翔君の世界挑戦。

 ううん、違う……怪我をしてから心に秘めた想いを、理想を、夢を叶える戦い。

 それが今始まった。


 そしてそれは全部私のせい……だから私はここで、日本から離れた異国の地でそれを見届ける。


 まず最初は記録会から、記録会と言っても公式審判のいる正式な物でもしも世界記録が出たとしても正式ても認定される。

 つまりここで記録を出せば、世界選手権の出場権利を獲得出来る可能性が高くなるのだ。


 その目標タイムは10秒フラット。


 高校生でこのタイムは正直かなり大変だ。

 勿論出せれば当然高校生での日本新記録。


 つまり翔君は小学生以来の日本記録に挑戦となる。


「へえ、これって生配信?」

 

「うん、かなり話題になってるからね」

 私は部屋のベッドに横たわり大きなお腹をスマホスタンド代わりにして、動画配信を見ていた。

 

 少しだらしない格好だけど、赤ちゃんに少しでもお父さんの活躍を知って欲しいと思ってこの態勢で観覧している。

 

「それにしても……現地に居なくて良かったわあ、凄い人だかりね」

 ベッドの横に座り私のスマホを覗き見しながらキサラ姉さんはそう呟いた。


「走り幅跳びと100mの両方で世界を目指すって宣言しちゃったからねえ~~」


「高校生が何バカな事をって、ネットじゃあ~~かなり荒れてたわねえ」

 ケラケラと笑うキサラ姉さん。


「そう! 翔君が直接言ったわけじゃないのに!」

 あの翔君のコーチって人がマスコミにそう宣言したのだ。

 その後ネットではかなり叩かれた。

 そしてその二刀流デビュー戦が今日なのだ。


「でも……このタイムスケジュールはかなり厳しいわね」


「うん、まさか幅跳びの最中に100mが入るなんて」

 走り幅跳びは試技3本を行い上位12名が更に3回跳べる。

 100mは記録会の為、予選無しの一発勝負。

 翔君はこの状況で供に世界標準記録を狙わないといけない。


「とりあえず幅跳びから、最初の試技で12位以内に入れる記録を出さないと厳しいかも、できれば一発で標準記録が出れば……」

 信じている……でも、と、私は願う様に、祈る様に翔くんの一挙手一投足を見守る。

 ライブカメラは翔君と……綿密に打ち合わせをしている生徒会長、いや、元生徒会長を映し出していた。


「っ……ち、近い」

 彼女は持っていたファイルを翔君に見せ、顔をかなり近付け何やら話をしている。

 恐らく周囲の応援や、ざわめきの為に声が聞こえづらいのだろう……そう、そうに違いない。


「あらあら」

 私の見ているタブレットの画面を覗きながらキサラ姉さんはクスクスと笑いながらそう言った。


「べべべ、別に気にしてないもん」

 

「今、彼女が翔君のマネージャーをしているのよねえ、毎日一緒にいるらしいわよ」


「だから気にしてないって言ってるでしょ?!」


「全く素直じゃないんだから」


「ふ~~んだ」

 私は姉さんに向かって舌を出し再びタブレットを見つめる。


「でも……大変だなあ」

 陸上の試合には他の競技にはあまり無いある特徴がある。

 それはコール『招集』という物だ。

 大会にエントリーしただけでは出場出来ない。

 各種目が始まる前にユニフォームにゼッケンを付け招集場所にて係員に提示しなければならない。


 大きな大会になると一次コール、最終コールと何度も足を運ばなければならない。

 恐らく翔くんはマネージャーにコールの時間の確認をしていたのだろう。


 定められた時間に間に合わなければDNS(Did Not Start)つまり欠場となってしまう。

 当然どんな有名選手であろうと、どんな大会であろうと、多少の違いはあれどそのルールは変わらない。


 通常はそれぞれのコールに応じなければいけないのだが、翔くんは2種目同時に出場するので今回は恐らく幅跳びの最終コールの時に100mのコールを係員に伝えるという措置が行われる筈だ。

 


 そして暫くすると幅跳びのウォーミングアップが始まった。

 跳躍競技のウォーミングアップは、いわゆる準備運動とは違い選手はスタート位置や途中に目印(マーカー)を付けていく作業が入るのだ。

 

 ルールでは一人2ヶ所迄、走路外に目印を設置する事が出来る。

 翔くんはスタート位置と中間地点にマーカーを置き、それに合わせて助走を開始し歩幅あやスピードを合わせていた。


「ウンウン調子良さそう」

 久しぶりに見る翔くんの美しく走る姿に、改めて惚れ惚れしてしまう。

 

 そしていよいよ競技開始。

 翔くんはこの後100m走が待っている。

 試技は良くて2回、100mの準備を考えれば1回目で上位8位に入れる記録を出さなければそれで終了してしまう。


 ある意味『宮園潰し』とも取られないこのタイムスケジュールに憤りを感じてしまう。


 昨年の走り幅跳びの記録で一番は勿論翔君。

 最初に跳べれば時間的に余裕が出来るが、走り幅跳びの跳躍順は持っている記録が悪い順なので翔君は一番最後になってしまう。


 チャンスは1度と言っても良いだろう。


 そして試技が始まった。


 行け! 跳べ! 私とお腹の子の想いを乗せて!



お久しぶりです。

色々あって休んでいました。

暫く書いて無いので、感覚で書いている自分としては中々進まなく

この回を書くのに2週間も掛かってしまいました。


これから戻して行ければと思っておりますので宜しくお願い致します。


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