表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
部長  運野 良夫  作者: 犬 文男
7/7

最終話 最終決戦編

鬼黒の黒歴史

借入金返済期限まで、約1ヶ月を迎え、

ブラウン商事の期限内完済が、

いよいよ現実味を帯びる中、

鬼黒は、復讐に燃える黒田を使って、

最後の作戦に打って出る。

果たして勝利の女神は

どちらに微笑むのか!



<ヘルスケアセンター 事務室>


[運野]

 最近、うちの前にオープンした

 ラーメン店「腹黒家」

 すごい人気だねぇ。


[土山]

 昼時になると、毎日、

 行列ができてますね。

 行列の中には、うちのお客さんも、

 多数いるみたいですね。


[花子]

 有名な、家系ラーメンが、

 プロデュースしているらしいです。


[運野]

 一度、食べてみたいが、

 あの行列じゃ、無理だね。


[土山]

 ラーメン店が昼休憩に入る直前、

 2時頃なら、大丈夫じゃないですか。

 僕は、留守番していますから、

 どうぞ、二人で行ってきて下さい。


[花子]

 あら、土山君、ありがとう。


[運野]

 それじゃあ、お言葉に甘えるとするか。



午後2時すぎ、運野と花子の二人は、

ラーメン店「腹黒家」に向かう。

土山の言うとおり、この時間になると、

客はほとんどいなくなっていた。

二人は無事、ラーメンを食べ終わるのだが。



<腹黒家 店内>


[運野]

 なんか、腹の調子が悪くなってきた。

 何か、あたったかなあ。


[花子]

 大丈夫ですあ。

 私は、なんともないですけど。


[運野]

 ちょっと、トイレに行ってくる。



<腹黒家 男子トイレ>


[運野]

 あれ、紙がない。

 隣の個室にも、全ての個室にない。

 どういうことか。


[黒田]

 紙なら、ここにある。


[運野]

 黒田! どうしてここに?


[黒田]

 ハッハッハァー。

 この店は、ブラック銀行の系列会社が、

 経営しているんだ。

 俺が、バンダナとマスクをしていたから、

 お前は、気が付かなかったようだな。

 さあ、紙が欲しけりゃ、土下座しろ。


[運野]

 断る。


[黒田]

 土下座しろ、運野。

 俺に謝れ。


[運野]

 う〜、漏れそう、苦しい。


[黒田]

 楽になりたかったら、

 さあ、土下座しろ。



<腹黒家 店内>


店内で、運野を待つ花子。


[花子]

 部長、遅いなぁ〜。大丈夫かしら。

 まさか、男子トイレに

 入るわけにもいかないし。

 困ったわ〜。

 とりあえず、

 部長の携帯に電話してみよう。


花子、電話するが、応答なし。


[花子]

 こうなったら、店員さんにお願いして、

 トイレに様子を見にいって

 もらいましょう。


花子、店員を探すが、

あいにく、誰もいない。

店の厨房に入って探すが、誰もいない。

すると、厨房の片隅に、

超強力下痢止め薬「ストパッパ」の箱が

山積みにされているのを発見する。


[花子]

 なに、これ?

 もしかして、これをラーメンの中に?

 最近、うちのヘルスケアセンターで、

 改善前の症状に戻ってしまう

 お客さんが見受けられる

 ようになってきて、

 不思議に思っていたんだけど、

 もしかして、これのせい?


花子、店内の、ある表示に目が留まる。


[花子] 

 あれ、火元取扱責任者 黒田宅家!

 もしかして、この店は・・・?



一方、この頃、

ブラック銀行 頭取室では、

鬼黒頭取と土屋敷社長との頂上対決が

繰り広げられていた。



<ブラック銀行 頭取室>


[土屋敷]

 久しぶりだな、ツヨシ


[鬼黒]

 今日は、何の用だ。

 もう、借入金返済期限の先延ばし

 には、応じられないぞ。


[土屋敷]

 いや、頼み事をしに来た訳ではない。

 お孫さんの小学校入学祝いだ。

 はい、これ。


土屋敷、おもむろに、鬼黒の机上に

「ウンコ漢字ドリル」を置く。

鬼黒、顔色を変え、


[鬼黒]

 キサマー!


[土屋敷]

 どうやら、お前のウンコ恐怖症は、

 まだ、治っていない様だなあ。


[鬼黒]

 よくも、俺の黒歴史を思い出させて

 くれたなあ。

 あれは、小学6年生の時だった。

 みんなで登校していたある日のこと、

 列の先頭を歩く俺は、

 後輩たちの安全を見守るため、

 後ろ向きに歩いていた、その時、

 大きい、犬のウンコを踏んでしまい、

 さらに、そのウンコに足を滑らせ

 尻餅をつき、体中、ウンコだらけに

 なってしまった。

 それを見たお前は、笑い、さらに

 その時の様子を

 「グニョ、ベチャ、サー」などと

 表現して、皆に言いふらした。

 その後も、やたらと、ウンコネタで、

 俺をディスりまくった。

 あの時の恨みは、一生忘れない。

 お前を俺のシモベにしてやろうと、

 心に誓ったのだ。


[土屋敷]

 そんな昔のことを、

 まだ恨んでいたとは。


その時、鬼黒の机上の電話が鳴る。


[鬼黒]

 はい、鬼黒だが。


[黒川]

 頭取、大変です。

 只今、臨時株主総会が開かれ、

 大株主の末夢マダム玉子タマコ

 「黒のパンツ」の損失の責任を追及し、

 頭取解任の動議を提出しました。

 他の株主からも、釈明を求める声が

 上がっているとのことです。

 至急、総会への出席をお願いします。


[鬼黒]

 わかった。車の用意をしろ。

 すぐに向かう。


[黒川]

 了解しました。


[土屋敷]

 どうした、何かあったか?


[鬼黒]

 まさか、お前と玉子が、

 ツルンでいるんじゃないだろうな。


[土屋敷]

 なんの話だか、

 よく理解できないのだが。


[鬼黒]

 もういい。急用ができた。

 お前をかまっている場合じゃ

 なくなった。


[土屋敷]

 そういうことなら、

 私はこれで、失礼するよ。


土屋敷、退室する。

扉には、いつの間にか

ウンコマークが描かれた

紙が貼られていた。

鬼黒、恐怖のあまり

扉を開けることができない。


[鬼黒]

 うぅ〜、ウンコ〜。

 くっそー、土屋敷のヤツ、

 いつの間に、こんなものを。



<腹黒家 男子トイレ内>

 

片手にトイレットペーパーを持ち、

執拗に、運野に土下座を迫る黒田。


[黒田]

 さあ、早く、土下座しろ。

 実は、当店オープン以来、

 ヘルスケアセンターの客と

 思われる人には

 ラーメンに、超強力下痢止め薬

 「ストパッパ」を入れておいた。

 皆、便秘になり、そろそろ、

 クレームの嵐が起こることだろう。

 会員数は、激減するハズだ。

 逆にお前のラーメンには、

 便秘にめちゃ効く薬を入れておいた。

 だから、お前は今、

 もよおしている訳だ。


[運野]

 卑怯な真似を、しやがって。

 薬物混入、犯罪でしょう?

 

[黒田]

 黙れ、毒物ではないから、

 大した問題ではない。

 来月には、お前は俺の配下に下るのだ。

 だから、サッサと、土下座して

 これまでのことを、詫びろ。


その時、腹黒家の店員が

慌てた様子で、やってくる。


[店員]

 店長、大変です。

 保健所の抜き打ち検査が入りました。

 至急、立会いをお願いします。


[黒田]

 なにぃ〜!

 

黒田、トイレットペーパーを床に落とし、

慌てて、店内へと向かう。


[運野]

 ハァ〜、助かったあー。



<ブラック銀行 頭取室>


頭取室の扉に、いつの間にか貼られた、

ウンコマークのため、

扉を開けることができない鬼黒。

携帯で、車で待機している

黒川を呼び出す。


[鬼黒]

 悪いが、頭取室に来てくれ。


[黒川]

 どうかなされましたか?


[鬼黒]

 訳は、後で話す。


[黒川]

 わかりました。

 今、すぐに、そちらに向かいます。


しばらくして


[黒川]

 失礼します。


[鬼黒]

 入れ。


[黒川]

 実は、警察の方が2名、今、一緒に

 お見えになってます。


[鬼黒]

 警察?


警察官は、扉を開け、警察手帳を見せて、


[警察官A]

 警察の者です。鬼黒強頭取ですね。


[鬼黒]

 そうですが。

 

[警察官A]

 ラーメン店「腹黒家」の

 薬物混入疑惑の件で、

 お話を伺いたいと思います。

 署に、御同行、願います。


[鬼黒]

 いや、私はこれから、

 株主総会に出席しないと・・。


[警察官A]

 黒田が全て、ハキましたよ。


[鬼黒]

 わかりました。


鬼黒、警察官に連行されていく。

もう一人の警察官が、

扉に貼られた、ウンコマークを見て、


[警察官B]

 銀行の頭取室に、なんで、

 こんなものが、貼られているんだ?

 さらに、頭取の机上には、

 「ウンコ漢字ドリル」が。

 もしかして、ここの頭取は

 ウンコフェチか?

 だったら、いっその事、

 ウンコ銀行に改名しちゃえばいいのに。

 預金通帳、キャッシュカードにも

 ウンコのマーク。

 おっと、こんなバカなこと

 言っている場合じゃない。

 仕事、仕事。



臨時株主総会に提出された

鬼黒頭取解任の動議は可決され、

薬物混入疑惑も相まって、

鬼黒は、銀行を辞めることになった。


そしてついに、ブラウン商事は、

期限内に借入金全額返済を果たす。



<ブラウン商事 財務部 事務室>


[運野]

 社長、また新たに、ブラック銀行から

 融資を受けたと聞いたんですが、

 本当ですかあ?


[土屋敷]

 もちろん、本当だ。


[花子]

 せっかく、全額返済したばかりなのに。


[土屋敷]

 会社経営というものは、

 常に拡大を目指して、

 活動しなければならない。

 止まってしまっては、

 そこで、おしまいだ。

 もちろん、拡大を目指して、失敗して、

 そこで終わる場合もある。

 だが、失敗を恐れて、止まることは

 許されない。


[土山]

 じゃあ、また、場合によっては

 乗っ取られる危機にさらされる

 ことも、あるのですね。


[土屋敷]

 もちろん、その可能性はある。

 しかし、その時はまた、

 運野君の運の強さと、

 君たち、若い二人のガッツで

 また、乗り切れると信じている。

 みんな、これからも

 頼りにしているぞ。


(三人同時に)

 ハイ!


      < 部長 運野良夫  完 >


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、キネノベなんだ(今さら)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ