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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十九章
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第十九章19-14戦場の惨劇

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


あ~、またおっかない所かぁ~。(マリア談)

 19-14戦場の惨劇


 

 「改めてお礼申し上げますエルハイミ様」



 あの後イルスはここの研究を完全に消去し普通の魔導士として町に戻り復興を手伝うと言う事になった。



 「お礼は良いですわ。それで先程聞きました最近またヨハネス神父が来たと言うのは一体どう言う事ですの?」


 「それは悪魔の神をこの世界に召喚する為の召喚魔法についてここに調べに来たのです。勿論私が今だ生きていた事には驚いていたようですが」



 そう言って最後まで残っていたこの部屋の大きな魔法陣を指さす。


 「奴はこの魔法陣を読み解き異界の神をこの世界に呼び寄せるつもりです。そうなれば女神と異界の神との戦いが始まります。奴はそれに乗じてこの世界を滅ぼそうとしています」


 「しかし、それほどの強力な魔法陣を起動させるには四連型魔結晶石核にお姉さまクラスの魔力があってやっとかなうかどうかですよね? いくら『悪魔王』と融合したとしても可能なのですか?」


 イオマは一番疑問となる所をイルスに聞く。

 するとイルスは首を振りとんでもない事を言いだす。



 「一つ可能な方法があります。大量の贄を準備してそれを魔法陣に入れ召喚の儀式を行うのです。六十万近くの人間の贄があれば可能ではないかと思われます」



 確かにそれだけの人間の魂を使って奇跡を起こせばできるかもしれないけどそもそもそこまでの人間を集めること自体が難しい。

 街一つ丸々潰しでもしない限り‥‥‥



 「それだけの人間を入れる魔法陣もそうだけど術式が始まっても時間がかかるわよね? そうそう簡単にはいかないでしょう?」


 「しかし奴はちょうどいい場所と人数がいると言っていました。あの海峡には今双方合わせて六十万以上の人間が集まっていると」



 海峡?

 そんな僻地に人がそんなに‥‥‥


 いや、待てよ。

 今まさに人が集まっている場所があった!!



 「まさかガレントとホリゾンが睨み合っているあの戦場をですわっ!?」



 「どう言う事よエルハイミ?」

  

 あたしの思いつきにライム様が聞いてくる。


 「あっ!」


 イオマも気付いたようだ。

 そう、あの後確認したけど「狂気の巨人」を封印から解いた「女神の杖」が後二本見つかっていない。

 いまボヘーミャに回収されたのは全部で七本。

 「魔人」の核に使われたのはあたしが破壊したから残り二本が未だ行方不明なのだ。


 そして「女神の杖」の力を使えば魔法陣の作成くらい出来てしまうはず。

 


 「まずいですわ! 一刻も早く戦場に行ってヨハネス神父の企みを阻止しなければですわ!」



 「エルハイミ! あたしも行くわよ!」

 

 「お姉さま、置いて行かないでください!」


 「お母様、お役に立ちます」


 「主よ!」


 「黒龍様が行かれるなら私もでいやがります!」


 「お供させていただきます、主様、黒龍様」


 「暴れられるかな?」


 「ううぅ~怖いけどあたし一人置いて行かれるのやだぁ~」



 すぐにでも戦場に行こうとするあたしにシェルもイオマもコクもショーゴさんにクロエさん、クロさんセキ、そしてマリアも一緒に行くと言い出す。


 「危険な事になりますわよ?」


 あたしがそう言うとみんな分かっていると言わんばかりに首を縦に振る。


 「ま、そう言う事ね。この魔法陣を片付けたら私も一緒に行くわ。エルハイミ、急ぎましょう」


 ライム様に言われあたしはさっさとこの魔法陣を片付けるのだった。



 * * * * *



 「それは本当なのかエルハイミ殿?」



 あたしたちは早速サボの港町にいるガレント、連合軍の本陣に来ていた。 

 そしてそこの指揮官を務めるゾナーに会っていた。


 「ええ、間違いないですわ。このままここに軍を置けば異界の悪魔の神召喚の贄になってしまいますわ!」


 「しかしにわかに信じられません。そこまで巨大な魔法陣を描くなど不可能です」


 ゾナーの参謀のボナパルドさんが唸っている。


 「だがエルハイミ殿の知らせだ、ここは一旦軍を引かせるべきだろう」


 同じくゾナーの腹心であるラガーさんはあたしの意見に賛同してくれる。

 勿論それは容易なものでは無い。

 戦線が海峡によって停滞しているとはいえ、向こうもこちらもすぐにでも戦える体制ではあるのだ。

 更にティナの町からの増援も届いている。



 「軍を引かせるとなれば相応の大義名分がなければ兵たちが納得しませんぞ?」


 連合からもルジェルドさんやガラさん、ルノマンさんも参加している。

 確かにせっかくここまで士気が高まっているのに後退するとなればそれ相応に大義名分が必要となる。



 「それじゃぁ、エルハイミの出番かしら?」


 ライム様はそう言いながらまたお酒を飲んでいる。


 

 この人はぁ~っ!



 「一体どうするつもりですの?」


 「簡単よ、エルハイミが神託を受けて一時軍を下がらせるのよ。最もそれなりの演出は必要だけどね?」  



 一体何をあたしにさせると言うのよ?



 あたしがいぶかしがんでいるとライム様は嬉しそうに言う。


 「貴女に女神が降臨して皆を下がらせその間に『悪魔王ヨハネス』を何とかするのよ!」


 確かに元凶であるヨハネス神父をどうにかできれば異界からの悪魔の神召喚は出来なくなる。

 最悪の惨劇を回避できるわけだ。



 「やるしか無いのですわね?」


 「派手にやりなさい。今の貴女なら本当の女神以上に出来るでしょ?」




 そう言って効果的なやり方をライム様は話し始めるのだった。

  

 

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