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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十五章
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第十五章15-9もう一つの素体

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


ふむ、良い刀だ(ショーゴ談)

 15-9もう一つの素体



 ティアナの要望で「鋼鉄の鎧騎士」は零号機に続き初号機が作成される事となった。



 「しかしよく陛下もすぐに認可を下ろしてくれましたわね?」


 あたしは執務室でエスティマ様とティアナが風のメッセンジャーでガルザイルの城からの回答を聞き、陛下からの認可が下りた事を聞いた。



 「それだけ中央も重視していると言う事ですよ、エルハイミ殿」


 エスティマ様はあたしにそう言って資料を見ながら予算と部材確保で頭を悩ませている。

 最終的には中央からの支援金は有るものの先行して制作を始める場合は立替で先に資金を捻出する必要がある。

 

 メインフレームの素材は鉱山で採掘出来てあたしが【創作魔法】を駆使すればなんとかなるだろうけど、連結型魔晶石核はそうもいかない。

 すでに動き出しコルニャから魔晶石を仕入れる手はずはついている。

 あと二、三日すれば品物が着くだろう。


 今回もアテンザ様には動いてもらっている。



 こう言う所は頼りになれる姉なんだけどなぁ。



 あたしはとりあえず素体の制作をする為に工房に行くのであった。



 * * * * *


 

 「ほんっとうにエルハイミさんがいるといつも忙しくなる!」



 ルブクさんはそう言いながらキャリアーハンガーの二台目を作っている。

 次の初号機を組み立てる土台を準備しているのだった。



 隣のキャリアーハンガーを見ると既に外装がほとんど取り付けられた零号機がいる。


 「零号機はあれで出来上がりなのですの?」


 「いや、アンナさんが剣と盾を装備すると言っているからこれから剣と盾を作るんだよ。しかしこれが問題でね、そんなでかい炉が無いんだよ。これじゃぁこいつ専用の剣が打てねえ」



 確かに身の丈六メートル以上ある「鋼鉄の鎧騎士」に合う剣なんてそうそう作れない。

 この世界の剣の作り方は基本鋳造式である。

 魔剣とか名剣何て言われるのは秘密の製法、打ち出しをしているのだけどそもそもその技術を知る人が少なくしかも手間がかかるからなかなか普及しない。


 手っ取り早く生産性を考えるならやはり鋳造の剣が早い。


 でもルブクさんは「鋼鉄の鎧騎士」には鋳造ではなく打ち出しの剣を持たせたいらしい。

 理由は強度の問題だ。

 それだけ大きな剣は自重も勿論、鋳造の様な密度の低い物では振っただけでぽっきり折れてしまう。

 なので強度の出る打ち出し方式なのだけど、それを温めて打ち出す程の大きな炉は無い。



 うーん、その為だけに炉を作るか?

 と、あたしはショーゴさんのなぎなたソードの修理も思い出していた。



 ん?

 密度と強度‥‥‥

 そして今ここには魔鉱石が有る‥‥‥



 「ショーゴさん、セブンソードとなぎなたソード出してくださいですわ!」


 「それは構わないが、主よ何をするつもりだ?」


 「ちょっと試したい事が有りますわ!」


 あたしはそう言ってショーゴさんのセブンソードとなぎなたソードを並べる。

 そして魔鉱石を取り出しまずはセブンソードから【創作魔法】と【圧縮魔法】を駆使して錬成を始める。



 まずはミスリルで出来ているセブンソードの短剣の刃の部分を高密度に圧縮する。

 刃の幅が半分くらいにまで細くなってしまったがこれで重さはそのままでかなりの強度が保てるはずだ。

 そして魔鉱石を「エルリウムγ」にしてその上に刃型にクロスバンド構造で成形しながらある魔法を練り込む。


 それは『魔力喰らい』だ。


 どう言う事かと言うと触れるモノの魔力を吸収して自信を強くするものなのでこれが成功すればこの世界に有る物質は理論上ほとんど切れると言う事になる。



 あたしはセブンソードをそうして作り上げ出来た短剣をショーゴさんに渡す。



 「これは触れる物質の魔力を吸い取り自身を強化する短剣ですわ。理論上この世界の物質はほとんどが切れるはずですわ!」


 

 ショーゴさんはそれを受け取り近くに有った鉄骨を試し切りする。



 しゅっ!



 きんっ!



 ずるっ

 ごとっ!



 「うおぃ! 何だこれ!?」


 ルブクさんは驚いている。

 うん、うまく行ったみたい。


 「主よ、これはすごい。ほとんど抵抗なくすんなり切れたぞ?」


 「セブンソードの性能もありますがやはりショーゴさんの腕もありますわよ? ここまできれいに切れるとは私も思ってもみませんでしたわ」



 そう言ってあたしは最後に残ったなぎなたソードのこぼれた刃を直してからその表面に同じように、魔鉱石から作った「エルリウムγ」の刃をのせて行く。

 

 なぎなたソードだけはもともと超高圧圧縮金属ミスリルで出来ている。

 それに魔晶石で魔力付加して切れ味を増していたのだったが今回はその逆になる。

 魔晶石が取り付けられるスロットは無くし、セブンソードの短剣と同じように魔力吸収と自己強化を行った。


 そして出来上がったなぎなたソードは以前より魔晶石スロットが無くなった分すっきりとしたフォルムになる。



 「さあ、こちらも出来ましたわ。 そうだ、これを試し切りしてもらいましょうですわ!」



 あたしはそう言って魔鉱石を『エルリウムγ』のメインフレームにしてみる。


 「主よ、しかしこれは以前切れなかった。いくら強化したこのなぎなたソードでも‥‥‥」


 「論より証拠ですわ、とにかく切ってみてくださいですわ」



 あたしに言われショーゴさんは仕方なく構える。

 そして気合一閃メインフレームになぎなたソードを叩き込む!



 きんっ!


 ぐっ!



 「くっ! しかし!!」


 ショーゴさんはメインフレームを半ば切った形で止まっている。

 見ればメインフレームは半分まで切られなぎなたソードの刃を止めていた。



 「それでもすごいですわ! 『エルリウムγ』のフレームを半分まで切れるとは! ルブクさん、これで行きましょうですわ!!」


 「はぁ? エルハイミさん、何を言っているのだ!?」



 あたしはポーチから素材を取り出し【創作魔法】を駆使して長さ三メートル弱の剣を作り上げる。

 しかもこれは超高圧圧縮金属ミスリルで出来た剣だ。

 あたしは更にその表面に「エルリウムγ」で例の刃を作っていく。


 そして出来上がった剣をルブクさんに渡す。



 「これで零号機の武器は出来ましたわ! 多少の技量差が有る人が使っても切れ味は凄まじくいいモノになっていますわよ!」


 「こりゃすげえ! エルハイミさんもますます魔法使うのが常識外れになって来たな!!」



 ん?

 そう言えばこれだけの事をやっても全くと言って魔力が減った気がしない。

 それに【創作魔法】やその他の魔法の扱いも簡単に成ったような‥‥‥



 あたしはふと自分の手を見る。




 ―― 枷は徐々に外れるようにした ――




 アガシタ様が言っていたあの言葉を思い出す。

 あの力を扱えるようになる為、そしてあたしの魂が徐々に成長させ自我を保たせる為アガシタ様がしていった事。



 あたしの意思を強く持ちこれらの力を使いこなしていかなければならない。



 「ルブクさん、どんどん行きますわよ! 初号機のメインフレーム作りますわよ!!」


 ものすごく嫌な顔をするルブクさんを無視してあたしはメインフレームのパーツを作り始めるのだった。

 

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