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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十四章
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第十四章14-25改造船

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


ねえねえ、シェル!

今度はあたしに言わせて!!(マリア談)

 14-25改造船



 「艦長ではない、船長と呼べ」




 シェルが付け髭して遊んでいる。

 それをマリアがケタケタ笑っている。


 あたしたちは今あの改造大型船に乗っている。


 

 出港時には見に来ていた人みんなが驚いていたが、あたしが指導したと聞いたロザリナさんは「なるほど」と言ってそれ以上何も言わなくなった。



 「まったく、常識と言うものが通じなくなりますよ。魔道の力とはここまで凄まじいものなのですか?」


 今回この改造大型船の性能を見たいと言う事で造船場の責任者であるオリバーさんも同乗していた。

 オリバーさんは魔晶石核からなるその動力源とこの世界初となるスクリュー式推進方法に大いに驚いていた。


 軸を回すくらいなら専門知識のないあたしにも構築できる。

 そして流石アインシュ商会。

 最近は予備で風のメッセンジャーなどでも使われる魔晶石核の保有もしっかりとしていた。


 本来軍事機密レベルのモノだったけど連合に参加していてかなりの出資もしている事からこういったモノの扱いもあるらしい。



 「しかしエルハイミさんは相変わらずね? これも魔術とは違う訳ね?」


 イパネマさんがあたしとオリバーさんが話している所へやって来た。 

 

 「ええ、スクリューと言う推進方法ですわ。水をかき分け前に進む技術ですわ」


 「本当にすごい、これなら漕ぎ手もいらないし、何よりこの大きさで中型船並の速度が出せるなんて!」


 オリバーさんは資料を見ながら興奮している。

 流石船大工。

 その性能の高さにはすぐに気づいている様だ。


 「鉄の船と言うだけでも驚きなのにこんな大きな船を帆も張らずに動かせるだなんて。エルハイミさん、あなた本当に何者なの? これもあの力のお陰?」


 「いえ、これは異界の技術ですわ。私の師匠がいた世界の」


 あたしがそう言うとイパネマさんは「英雄ユカ・コバヤシ」とつぶやいた。

 学園都市ボヘーミャにはこの世界に無かったものが沢山ある。

 それはもちろん師匠やイチロウさんが伝えたからだ。


 「その異界って言うのはかなり進んだ技術が有るのね?」


 「そうですわね、技術はすごいと思いますわ。でも、あちらの世界には魔法が存在しないのですわ」


 あたしがそう言うとイパネマさんは大いに驚く。

 

 「魔法が存在しない? じゃ、じゃあどうやって生活しているのよ?」


 「それを補う技術の一つがこれですわよ。この鉄の船の技術などですわ」



 あたしは足元を見る。


 

 「まるでエルハイミさんが見て来たみたいね」


 「え? い、いやぁぁ~ですわぁ‥‥‥」


 あたしは笑いながら誤魔化す。

 あたしが異界の転生者と教えたのは本当に身近な人たちだけ。

 イパネマさんには教えていない。



 「ねぇねぇ、エルハイミ! この『左舷弾幕薄いぞ! 何やってんの!』ってどう言う時に使うの!?」


 「それとベッドで眠る時に外を見ながら『何もかもみな懐かしい』ってなになに!?」


 シェルとマリアはあたしが落書きで書いた台詞集で遊んでいる。

 なんとなく改造図を描きながら落書きしていたらこの二人が見つけて「船に乗ったら使うセリフですわ」って教えてら実践している。

 そしてなぜかそれを気に入っている様だ。


 「意味は分からないけどこのセリフ言うとなんとなくかっこいいし気分がいいわね!」


 「そうそう、この『馬鹿めと言ってやれ』もやってみたい!」


 うーん、この世界にもう通じるものが有るのだろうか?

 この二人は何度も台詞集で遊んでいる様だ。



 「お母様、シェルたちは何をしているのです? 付け髭などつけて?」


 「あれは一種のお遊びですわ。多分好きな人にはたまらない」


 コクはシェルたちを見ながら首をかしげる。

 そして一緒に付いて来ていたクロさんやクロエさんと顔を見合わす。


 「全く、エルフやフェアリーの考える事は理解できないでいやがります」


 クロエさんがコクたちの意見を代表で言った。

 


 うん、まあ気持ちはわかる。

 でもいまだまだいろいろと調整があるからあの二人が絡んでこない分作業がはかどるので助かってもいる。




 「主よ、今度はこれを切ればいいのか?」


 「ええ、そうですわ。奇麗に切れまして?」


 ショーゴさんはなぎなたソードを構え「任せてくれ」と言って目にも止まらぬ速さでそれを切る。

 お願いしていた鉄の塊は奇麗に真っ二つに切れていた。



 「またつまらないものを切ったか‥‥‥」


 カシャン。



 なぎなたソードを収納しながらショーゴさんはそう言う。

 あたしは切ってもらったその鉄の塊を【念動魔法】で動かしながら【錬金魔法】で整形していき潜水艇の足の部分に装着する。


 「ふう、これでよしっですわ!」


 「エルハイミ、作業は終わったのですか?」


 作業が終わった頃ちょうどティアナがやって来た。

 

 「そう言えば何をしていたのエルハイミさん?」


 「これは潜水艇のバランスを整える為の重りですわ。どうしても微調整は現物合わせですしね」


 そう言ってあたしは取り付けたばかりの重りをポンと叩く。

 後は現場でテストして問題無ければいよいよ「海底神殿」に行く事になる。



 「今回は潜水艇の大きさから乗り込めるのは最大四人ですわ」


 「ではエルハイミ、私とエルハイミ、それとシェルの三人は決まりですね?」



 「主よ、俺もついて行くぞ?」



 あたしはしばし考える。

 海底神殿には多分他の神殿と同じようにご先祖様の試練が有るだろう。

 魔法王国崩壊後はたぶん誰も神殿には行っていないだろうから色々と当時の物も残っているかもしれない。



 あたしはイパネマさんを見る。



 「ショーゴさんは今回船上で待機していて欲しいですわ。海底神殿はたぶん古代魔法王国時代からそのままの状態でしょうから魔法に詳しい人の方が良いですわ。イパネマさんお願いできまして?」


 「私? ええ、私は構わないけど?」



 「お母様、私もついて行きたいです!」

 

 「黒龍様が行かれるなら私も連れて行きやがれです、主様!」


 「では私も勿論お供しますぞ?」



 コクたちはそう言うけど潜水艇には乗れないって。

 あたしはため息をつきながらコクに言う。


 「今回はコクたちも船上で待っていて欲しいのですわ。むしろこちらの守りを固めておいて欲しいのですわ。もし回収が成功しても船がやられていては意味がありませんわ」


 あたしはそう言てコクの頭をなでてやる。


 「ううっ、お母様の言っている事は理解はできますが納得がいきません。どうしてもだめですか?」


 「連れて行きたくても潜水艇には皆は乗れませんわ。だから今回はコクは良い子にして待っていて欲しいですわ」


 うう~と唸っているコクだったが不意に何かを思いついて様で顔をあげる。


 「ではいい子に待っていますからお母様が戻ってきたらおっぱいください!」


 「うっ、コ、コク?」


 「でなきゃ付いて行きます! 最近おっぱいもらってません! 赤お母様にだけ上げるのずるいです!!」


 そう言ってコクはあたしの胸に抱き着いてきて顔をグリングリンする。

 もうこうなるとコクはおっぱいをもらうまで止まらない。


 あたしはティアナをチラ見する。

 するとティアナの顔は無表情を保っているのに目だけは「後で夜に埋め合わせしてもらいます!」と言っている様だ。

 あたしはため息ついてからコクに答える。


 「わかりましたからいい子に待っているのですわよ、コク?」


 「やったぁ! コクは良い子に待ってます!!」


 にこにこ顔になるコク。


 『全く、エルハイミもその子には甘いわね。それで何で最初からシェルに精霊魔法使わせて海底神殿まで行かないのよ?』


 シコちゃんに言われあたしは潜水艇を見る。


 「海底神殿の場所は深さ百メートルくらいですわ。確かそのあたりだと水圧が十倍以上になるはずですわ。呼吸と水圧負荷の軽減を精霊魔法だけでするのは流石にシェルでもきついでしょうですわ。だから確実に行くために異界の技術も使うのですわ」


 『なるほどねぇ、水の底ってそんなに圧力がかかるんだ』


 シコちゃんはどうやら納得したらしい。

 あたしだって知識として覚えてるくらいなので初めての経験だ。

 だからなるべく危険を避けたい。

 同行するティアナの為にも。



 あたしはもう一度潜水艇を見ながらそう思うのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] >艦長ではない、船長と呼べ 某アニメで聞いたセリフだなw。(歳がバレるぞ?。)
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