表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十四章
389/636

第十四章14-6地下迷宮で

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


こ、これがドーナッツと言う食べ物ですか?

この味、ぱないですね!(コク談)


 14-6地下迷宮で



 そこは何千年と閉じられているにもかかわらず奇麗なまま残っていた。


 

 あたしたちは今「空から落ちた王宮」の下に存在していた「中央都市」にある地下迷宮にいる。

 ここは「女神の杖」を封印した場所でご先祖様の話では光の女神ジュノー様の杖が眠っているはずだ。


 

 「ずいぶんと奇麗な迷宮だな。壁も床もひび一つ無い」


 先頭を進むショーゴさんはそう言って更に奥へと進む。


 幸いなことにこの迷宮は壁全体が淡く光っているので明かりの魔法なんていらないくらいだ。

 流石に光の女神様の杖を納めているだけのことはある。


 「明るいのはいいけどこう奇麗だとなんか拍子抜けするわね」


 「でも古代遺跡の迷宮ですよ? しかもまだ誰も入った事の無い所ですよ? 気を付けないとどんなトラップが仕掛けられているやら」


 シェルはお気軽にそう言っているけどイオマは流石に元冒険者だったので警戒心は強い。



 「ご先祖様の話ではここにはトラップの類は無いそうですわ。その代わり杖を守るために強力な守護者たちがいると言っていましたわ」



 あたしはご先祖様に言われた事を思い出しシェルやイオマたちに話す。


 「お母様、その守護者と言うのは何なのでしょうか?」


 「そう言えばご先祖様はそれについては詳しく話してくれませんでしたわね?」


 あたしやティアナなら大丈夫だろうとしか言ってなかった。

 まあ宝物庫のあたりに転がっていたりしたミスリルゴーレムか何かだろう。


 あたしはその程度と思い更に先に進む。



 * * *



 「流石にそのままとはいかないか。ここから迷路が始まっている様だな?」


 しばらく進むと少し広くなって分岐路が現れた。


 ティアナは壁に印をつけてセオリー通り右の方から進むことにした。

 罠が無い分気兼ねなく右か左の壁に沿って進めば確実に目的の場所には着けるという訳だ。

 勿論手間もかかるので間違えない様にこういう分岐では印をつける事を忘れない。


 そして右側を進むことしばし、またまた分岐点が有った。

 ティアナはまたしても壁に印をつけ右側へ進むことを指示する。



 と、向こうに何かいる?



 「主よ、ティアナ将軍よどうやら守護者のようだ」



 ショーゴさんはそう言ってなぎなたソードを抜く。


 「ミノタウロス‥‥‥ いや、ミノタウロスの形をしたゴーレムか!?」


 そう言ってショーゴさんはあたしたちに警戒するよう伝える。



 「ミノタウロスのゴーレムでいやがりますか? つまらないでいやがります、ショーゴに任せたでいやがります」


 「ふむ、確かに我々が出るまでも無いだろう」



 そう言ったクロエさんとクロさんだったがイオマの声に後ろを見る。



 「お姉さま! 後ろからも来ました!!」



 「クロ、クロエ! 任せました! お母様は下がってください」


 前と後ろから挟み撃ちで来た。

 まあこの程度ならショーゴさんとクロエさんクロさんで簡単に片付くだろう。

 そうあたしは思っていた。



 『エルハイミ、気を付けなさい。二匹だけじゃないみたいよ!』



 しかしシコちゃんの声でそれは間違いだと気づかされる。



 「エルハイミ! 後続も来ています!!」


 

 ショーゴさんと戦っていたその後ろからまたまたミノタウロスのゴーレムがやって来た。

 しかもよくよく見ればこいつらただのゴーレムじゃない?



 ミスリルゴーレムだ!



 それも後から後からうじゃうじゃと!!


 「面倒な雑魚どもでいやがります!!」


 「この狭さだとブレスが吐けん! クロエ一体一体潰すぞ!」


 「ショーゴ次来てる! マリア邪魔になるから懐から出ない!」


 「まだ来るか!」

 

 クロエさんやクロさんは狭い通路の為大技が出せない。

 そしてシェルはショーゴさんのフォローに入る。

 ショーゴさんも倒した矢先に次々と後続が来るので流石に手が回らなくなってきた。



 「お姉さま! あのゴーレム切られてバラバラになったのが!」



 見ればショーゴさんに切られてバラバラになったミノタウロスのゴーレムはくっついてまた元のミノタウロスに戻っている!?



 「流石に古代魔法王国の首都だった所の迷宮、一筋縄ではいきませんね! 私も手伝いますショーゴ!」


 そう言ってティアナは剣を抜く。


 

 ちょっ!

 ティアナ大丈夫なの!?



 「ティアナ、私が魔法で!」


 「大丈夫ですエルハイミ。私も昔のままではありません!」


 そう言ってティアナは剣を構える。



 「はぁっ! ガレント流剣技一の型! 牙突!!」



 ティアナは大きく息を吸ってから爆発的な突きを放った!

 それはガレント流の無手三十六式に似ていて独特な動きからの一撃だった。

 左の手のひらに剣の腹の切っ先を置き狙いを定めてその場から飛び出し一直線に目標を貫く。



 どぉんっ!



 通常の突きより魔力を剣に込めていたのか一気に三体ものミノタウロスを突き飛ばす。


  

 「す、すごいですわ! この技は一体!?」


 「我がガレント王家にのみ伝わる呼吸と魔力をのせた剣技の攻撃です!」



 突きを放ったティアナは直ぐに引き下がり呼吸を整える。



 「この技なら体の負担も少ない。私でもこのくらいはできます。だから心配しないでくださいエルハイミ」



 しかしせっかく突き飛ばしたミノタウロスはちぎれた腕や空いた胸の穴を修復してまた立ち上がった。



 「どう言う事ですの!? いくら倒しても修復しますわ!!」


 『エルハイミ、こいつらミスリル水銀で出来ている様だわ! 本体のコア、額の魔晶石を狙って!』



 何度倒してもすぐに回復するミノタウロスたちがただのミスリルゴーレムで無い事をシコちゃんが見抜く。

 そして弱点の額の魔晶石を攻撃するよう言ってくる。



 あたしとシェル、そしてティアナはすぐさまミノタウロスの額に有る魔晶石を狙う。



 「ひゅっ!」

 

 ひゅんっ!

 とすっ


 ばしゃぁーん!!



 「【石弾】!!」


 ぼしゅっ!

 ぱぁーんっ


 ばしゃぁーん!!



 「はぁっ! 一の型、牙突!!」


 ドっ!

 しゃっ

 さくっ!


 ばしゃぁーん!!


 あたしたちシコちゃんの声が聞こえる者は次々と魔晶石を破壊してミノタウロスのゴーレムを液化にして倒していく。



 「なんと、こいつら水銀か!?」


 前方でミノタウロスをまた切り伏せたショーゴさんがあたしたちの攻撃で液化するミノタウロスを見て驚く。



 「ショーゴさん、クロエさんクロさん、額の魔晶石ですわ!」



 ショーゴさんは切り伏せたミノタウロスが元の姿に戻る前に額の魔晶石を切る。

 

 しゃっ!

 ぱきんっ


 ばしゃぁーん!!



 「なるほどそう言う訳でいやがりますか! ならば喰らえでいやがります!! 【ドラゴン彗星掌】!!」


 クロエさんはそう言って右手を光らせ彗星の様な一撃を飛ばす。

 それはまっすぐに正確にミノタウロスの額にある魔晶石を穿つ!


 カッ!

 ヒューン

 パキーン


 ばぁっしゃーん!!



 「ひょぁぉおおおっ! 【ドラゴン百首竜撃】!」


 クロさんの両手が光り沢山の突きが炸裂する。

 

 ずばばばばばぁっ!

 とすっとすっとすっ

 

 ばしゃぁーん!

 ばっしゃぁーん!!

 ばばっしゃなぁあぁーんっ!!



 流石ショーゴさんたち!


 あたしのアドバイスですぐにミノタウロスの弱点を破壊していく。

 そして程無くあれだけいたミノタウロスのゴーレムを全て倒しきる。




 「ふう、何とか片付いたわね。マリア、もう出てきてもいいわよ?」


 「本当? なんかシェルたちといるとおっかない化け物たちばかり襲ってきていない?」


 「それでも私たち相手では力不足ですわ。安心してマリア、私たちは強くなっていますわ」


 マリアはあたしとシェルを見てから笑顔で「うん、そうだね! 安心したらお腹すいた!」と言ってあたしの方へ飛んできて肩にとまる。



 そう言えば、そろそろお腹すいてきたわね?



 あたしはポーチからおやつでガルザイルに最近できたというお菓子の店で仕入れた新作とやらを引っ張り出す。

 これは生前のドーナッツによく似た油で揚げたお菓子だ。


 

 「なんですかお母様それは? 穴が開いてますよ?」



 「ああ、これはガルザイルの菓子店の新作だそうですわ。油で揚げた揚げ菓子ですわ」


 あたしはマリアにそれをちぎってやりながらコクにも新しいそれを出して渡してやる。

 コクは不思議そうにそれを眺めていたがやがてそれをかじり目を輝かす。



 「な、何と言う甘さ! そして香ばしさ! ここれは小麦に砂糖や牛乳を練り込んだものを油で揚げたもの!?更に表面には贅沢にも粉砂糖がつけられている!?」



 「ほんとだ、うまーっ!」


 あまり人間の食べ物に興味を示さないコクが喜んでドーナッツを食べている?

 マリアは相変わらず天真爛漫にそのドーナッツの欠片をほおばっている。


 あたしはマリアの残りを口に運ぶ。

 

 うん、これは確かにほど良い甘さで美味しい。

 生前のオールドファッションに粉砂糖をたっぷりとまぶしたような味だ。



 「な、何なんですかお姉さまそれっ! いつの間に!?」


 「エルハイミは昔からこういった美味しい食べ物には詳しいですね? ガルザイルにそんな店が?」


 「ええ、その変は抜かりなくチェックしていましてよですわ!」



 あたしはそう言って大量に買い込んでいるのでみんなにも出してやる。

 みんな中央の穴に興味を示しながらそれをほうばる。



 「なにこれ? 美味しい!?」


 「あー、甘さが脳に染み渡りますね~、お姉さま?」


 「こ、これは確かに旨いでいやがります。人間の食べ物のくせに!?」


 「ほう、これは紅茶が欲しくなるな」


 「主よ、何故真ん中に穴が開いているのだ?」


 「お、お母様のおっぱいにも匹敵するとは! お、お母様もう一個良いですか?」


 「うまーっ!」



 休憩もかねてここでこのお菓子で食事をする。


 「本当にエルハイミはこういったモノを探すのは得意ですね?」


 「ええ、やはりおいしいもの、甘いものは見逃せませんわ! さ、ティアナももう一つどうぞですわ!」



 迷宮探索はまだまだこの後も続く。

 あたしたちはここでのひと時の休憩をこのドーナッツで十分に済ませるのだった。 

  

評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。

誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ドーナツ! 私はこれが私がそれらを持っていなかったこの世界にそれを作ったことを愛しています。 私の好きなタイプも。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ