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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十四章
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第十四章14-4思わぬ出来事

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


お姉さまこれあ私に使ってくださいっ!!(イオマ談)

 14-4思わぬ出来事



 おぞましいものをコクに見せない様にしてあたしたちは音のした方へとやって来た。


 

 そしてそこには如何にも重厚そうな扉がたった今開いたかのようだった。



 「ここが宝物庫ですか。もう大丈夫だと思いますが気を付けて行きましょう」



 ティアナはそう言って中に入って行く。

 あたしもそれに続いて中に入る。


 そして思わず叫んでしまった!



 「にょっ、にょぇぇええええええええぇぇぇぇっ!! 何なのですのぉっ!!」



 「お母様一体何が有ったのですか?」


 「こ、コクはだめですわぁっ! 見ちゃダメぇっ!!」


 あたしは速攻でコクの目に手を当てこの部屋の中が見れない様にした。



 そう、この宝物庫と言われている部屋にはどう見ても大人が夜を楽しむための道具が陳列されていたのだった!!



 「こ、これが古代魔法王国の秘宝なの!?」

 

 「そ、そんなっ! お、お姉さまこれってどう使うんですか!? お姉さまに攻められたいっ!!」


 「ああっ! 主様あのうねうねした奴っぽいのもあるでいやがります!! これであの時の再現が出来るでいやがります!!」


 「そ、そんな、エルハイミにこれを使うのは流石に気が引けます‥‥‥ でもこの辺のものならソフトでいけそうですし、たまにはこういったプレイも‥‥‥」



 シェルは驚きイオマは道具を見てはぁはぁ言い始め、クロエさんは指さし期待の眼差しであたしを見る。

 そして無表情のくせして頬を赤く染めティアナもその道具を手に取って見つめている。



 こらこらこらっ!

 そうだけどそうじゃないでしょう―にっ!!



 『ねえ、エルハイミここって本当に宝物庫? あたしってこんな所に眠らせられていたの?』


 なんかシコちゃんもショックを受けたような口ぶりである。

 そりゃそーよね?

 大人の夜を楽しむ道具とかと一緒に陳列されていちゃ嫌だよね?


 

 ん?

 ちょっとマテ?

 ジーナさんがその昔ここでシコちゃんを手に入れたはずだったわよね?

 でもこの扉って今開いたのよね?


 それに守護者であるスフィンクスもミスリルゴーレムもいたわよね?



 それじゃぁ‥‥‥



 あたしはコクの目から手を離さないでコクと一緒に扉の外に戻る。



 「お母様どうしたのですか? はっ!? まさかとうとう私に手を出してくれるのですか!?」


 「そんな事はしませんですわっ! それよりここって‥‥‥」


 あたしは扉の上、この部屋の名前が書かれたプレートを読み上げる。




 『魔法王秘蔵のコレクション保存庫』




 「ご、ご先祖様ぁっ!! またあなたですのぉっ!!!?」



 あたしは思わず叫んでしまっていた。

 そう、ここは宝物庫じゃなかったのだった!!



 「お、お姉さま! これもお姉さまが使って私にして欲しいです!」

 

 「エ、エルハイミ、これちょっと興味あるんだけど‥‥‥」


 「主様! これもって帰っていいでいやがりますか!?」


 「エ、エルハイミ、嫌なら言ってください。でもこれとかならそれほど激しくないでしょうし、たまにはこう言ったモノも良いのではないでしょか?」



 イオマがモザイクかかりまくった道具をあたしに見せ、シェルは真っ赤になりながらそれを大切そうに持ち出し、クロエさんは手の上でうにょうにょ動いている物体を高々と上にかざす。

 そしてティアナは真剣な表情であたしにそれを見せてくる!



 こらオマエラ!

 そうじゃ無いでしょう―にぃっ!!



 「ティアナ、落ち着いてくださいですわ! ここは宝物庫ではありませんわ!!」



 「なんですって?」



 あたしに言われティアナはやっと我に戻った様だ。

 そしてあたしと並んで扉の上のプレートを見る。


 

 「‥‥‥ ご、ご先祖様」



 たぶんあたしと同じ気持ちなのだろう。

 

 『ガーベルのやつ、本当に自分に正直ね。こんなのライムに見つかったら自分に使われちゃうわよ?』


 「いえ、むしろ使われて深く反省して欲しいですわ!」



 あたしは今度ライム様に会ったら絶対にこの事をチクってやろうと思うのだった。



 * * *



 「それでは宝物庫は一体どうなっているというのですか?」


 「昔、ジーナに聞いた事が有りますわ。冒険者時代にここでシコちゃんを見つけたと。と言う事は既に宝物庫は開かれた後と言う事ですわ」



 びっと人差し指を立ててそう言うあたしにティアナは顎に指を当て考える。



 「すると既に扉は開かれ場合によってはそこのガーディアンも撃退済みという可能性が有るというのですね? そして宝物庫も既にもぬけの空かもしれないと」


 「ええ、そう言う事になりますわ。だからここより更に奥に進む必要が有るのですわ」


 「しかしすでにこの辺は王宮の中央と思われる場所、更に奥と言っても‥‥‥」


 ティアナは通路を見る。

 この辺は王宮の当時の面影が色濃く残っている。


 そして気付いた。

 通路の行き止まりと思われたところが瓦礫で埋まっていたことを。


 「あれのようですわね? いつの間にか通路が瓦礫でふさがってしまったようですわ」


 あたしはそう言いながら近場で崩れた大理石の柱などからロックゴーレムを作り出す。

 そしてクロエさんを呼ぶ。



 「クロエさん、私が【氷の矢】で天井や壁を凍らせますわ。そうしたらそこの瓦礫で埋まっている通路の先をふっ飛ばしてくださいですわ。きっとその先に宝物庫があるはずですわ」



 クロエさんはあたしに言われてきょとんとしている。

 そしてうにょうにょしたものを自分のポーチにしまってから指をぽきぽきと鳴らしてあたしの横に来る。



 あの、それはしまって持ち帰るんだ、うにょうにょは‥‥‥



 「主様、そこの瓦礫をふっ飛ばせばいいのでいやがりますね?」


 「え? ええ、それでは始めますわ。【氷の矢】!」


 あたしは気を取り直して天井や壁を氷の矢で何かあっても崩れにくいようにする。

 更に万が一が有った場合はストーンゴーレムで瓦礫の天井が落ちてくるのを防ぐつもりだった。



 びきっ!

 びきびきっ!!


  

 あたしが作り出した数百の【氷の矢】は天井や壁に当たり一瞬にして凍り付かせる。

 それはさながら氷の洞窟の様になってしまった。


 「さてと、それではふっ飛ばすでいやがります! ドラゴン百裂掌!!」


 そう言ってクロエさんはドラゴン百裂掌をふさがった瓦礫の壁にぶち当てる。



 どががががぁっ!


 ばごーんっ!!


 

 ドラゴン百裂掌がぶち当たった瓦礫の壁はきれいに吹っ飛びその向こうに更なる奥へと続く道が現れた。


 

 びきっ!

 ミシミシ‥‥‥



 「やはりかなりもろかったのですわね。急ぎましょう、また崩れる前に先に進みましょうですわ! ゴーレムたちよ天井を押さえなさいですわ!」


 あたしのその命令にゴーレムたちは氷にひびの入った天井を押さえ始めた。

 

 「今のうちですわ。行きましょうですわ!」


 あたしたちは急いで奥へと進むのであった。



 * * *



 その後何度か雑魚モンスターが出てきたものの数度通路を曲がると大きな開かれた扉が見えてきた。



 「もしやあれが宝物庫でしょうか? おや、あれは‥‥‥」


 ティアナが凝視しているその先には何かの石像が破壊されていた。


 

 「どうやらガーゴイルのようですわね? 切られたり何かの力で押し潰されたりしていますわね?」



 ガーゴイルは何かと戦闘して敗れ去った様だ。

 そしてその向こう、宝物庫の扉の横にはミスリルゴーレムがやはり破壊されて横たわっている。



 「やっぱり誰かが先に来ていたのですわね。でもこの埃のかぶり具合から見るとだいぶ前のようですわね?」


 「お姉さま、あれ!」


 イオマがあたしを呼んで上を指さす。

 指さされたその先には古代語で『宝物庫』と書かれていた。


 どうやら今度こそ宝物庫に辿り着けたようだった。



 「うわー、見事に荒らされた後ね。宝箱とかみんな空いてるわね? うーん、魔晶石はいっぱい置いてあるけどこれって外にも沢山落ちてたしなぁ」


 シェルは中に入って矢で空いた宝箱をつついている。


 しかしあたしたちの目的は何も宝物庫の宝が目当てじゃない。

 ご先祖様が言っていた通りこの部屋は空から落ちたくらいじゃ何ともなかったようだ。

 この頑丈な部屋の下深くに有るとされている地下迷宮へ行く事が目的なのだ。

 

 

 「さて、ここからが問題ですわ。シェル、大地の精霊はいますの?」


 「え? ああ、そうだっけ。って、部屋の中じゃいないわよ。大地が露出していなければ呼び出せないわよ?」



 精霊魔法は媒介無しで呼び出すのはとても難しい。

 今回地下迷宮に行くためにはこの部屋の床をはがし地面をむき出しにしてから大地の精霊を使って地下へと穴を掘り進めなければならない。



 「主よ俺がやろう」



 ショーゴさんがそう言って部屋の真ん中あたりの空いた宝箱をどかして床を出す。

 そして双備型魔晶石核をフル回転させ左手に隠されたギミックを展開する。


 双備型魔晶石核から一気に大量の魔力が送り込まれ、ショーゴさんの手のひらに真っ赤な魔晶石が現れそして輝き始める。

 左の拳の爪が伸び、下腕の排気ダクトが開きブーストされた圧縮魔力が炎となって吹き出す。 



 「【爆炎拳】!!」



 ドガッ!

 びきっ!

 ばぁああぁぁんっ!!!



 当たった瞬間に中国拳法の発勁のようにそこから力がはじけ爆発するかのように床が溶解してはじける! 

 そしてその威力は止まる事を知らずそのまま床のひびを広げ一気にはじけ地面をむき出しにする。



 「うひゃぁ、【爆炎拳】ってこんな使い方で来たんだ!?」



 シェルが飛び散る床の破片からあたしが展開している【絶対防壁】の後ろへを逃げ込んでくる。

 あたしはショーゴさんが破壊してくれた床を見る。



 「シェル、今度はどうですの?」

 

 「うん、これならいける。さあ、エルハイミあたしにあなたの魔力をちょうだい。」




 シェルに言われあたしは頷き魔力供給を始めるのであった。

 


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