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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十三章
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第十三章13-17ティアナの約束

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


しまったぁ、移動中も飲んでおけばよかったぁ!(ライム談)

 13-17ティアナの約束



 「エルハイミ、あたしは誓う。もう二度とあなたを離さないと。たとえ死んでも私の魂はずっとあなたと一緒よ!」



 

 ティアナはあたしの腕を掴んだまま真剣なまなざしでそう言ってくれる。

 あたしは吸い込まれそうな蒼い瞳の奥にその固い決意を見た。


 「ティアナ‥‥‥ うれしい。 私も‥‥‥」



 と、その時だった。

 

 ティアナの左手にはめられた「願いの腕輪」がまばゆく光った。

 そして聞いた事の無い若い女性の声が聞こえてくる。



 『汝の願い聞き届けた。汝、死しても転生を繰り返しその者が存在する限り再び会える事を許そう』



 そしてティアナの腕輪は光りながら消えて行った。



 「えっ? 今のは!?」


 「ティアナの『願いの腕輪』がですわ!?」




 「あちゃーっ、使っちゃったかぁー。 それも注意しようと思ったのに、遅かったかぁ」


 声のする方を見ればライム様が立っていた。

 ライム様は頭に手を当てぐしゃぐしゃとしながらこちらへと来る。


 「まさかアガシタ様の声がしたからもしかしてと思って急いで来てみれば、ティアナあなたってば『願いの腕輪』使っちゃったのね? ちゃんと条件お願いしたの?」


 そう言ってライム様はティアナの左手を見る。


 「どう言う事ですのライム様?」


 「もしあたしが死しても転生して再びエルハイミに会えるのですよね?」


 あたしたちはそろってライム様に聞く。


 「ティアナ、エルハイミがエルフの『時の指輪』をしているのは知っているわよね? エルハイミは今の姿からほとんど成長はしないし人の概念からかけ離れた長い時間を生きていくわ。だけど転生を繰り返す貴女は生まれ変わるたびに姿かたちも違うし、『どこに転生』するか、そして『前世の記憶が保てる』かとかの条件をちゃんとお願いしたの?」


 あたしは転生については自分が転生者だから深く考えなかった。

 しかしライム様の言いたい事は分かる。


 「つまり、ティアナが転生しても何処の誰かになり、記憶もしっかりしていない可能性が有ると言うのですの?」


 「そうよ。もともと『願いの腕輪』はティアナ個人の本当に強い思いと願いが無ければ発動しないの。しかしその時にちゃんとしたお願いをはっきりしておかないと大変な事になるのよ」


 あたしはもう一度ティアナの言葉を思い出す。



 ―― もう二度とあなたを離さないと。たとえ死んでも私の魂はずっとあなたと一緒よ! ――



 これだけ聞くとティアナがあたしに魂だけ取り憑くみたいに感じるけど、アガシタ様の声ってのは確かに「転生」を繰り返して会えることを許すって言っていた。


 「それでは必ずティアナの転生者に会えるとは限らないと言うのですの?」


 「どうなるかは分からないけど、そうすると修正をしなきゃだめよね? はぁ、せっかくこっちに来られたのにまたアガシタ様の所に戻ってお願いしなきゃだわね」


 ライム様は大きなため息をついた。


 「仕方ない、早めに戻って今のお願いの修正しないと冥界の女神セミリア様にティアナの魂の取り扱いをアガシタ様がお願いしちゃうわよね? 一回それやったら変えられなくなるから私は急ぎアガシタ様のもとへ行くわ」


 「申し訳ありません、ライム様‥‥‥」


 ティアナが悪い訳じゃないのにティアナはライム様に頭を下げる。


 「いいって、いいって。可愛い娘の為だもの。 ただ、ティアナ分かっているわよね?」



 ん?

 何が分かっているだって?



 「お気楽なエルハイミに気取られない様にしているだろうけど、ティアナがあの力を何度も使うと死ぬわよ」     

 



 「!?」




 あたしは思わず絶句した。

 ティアナが死ぬ!?


 

 「まあ、あの力を使わなければ大丈夫でしょうけど、多分あと数回、ううん、使う能力によっては後一回でもやばいわよ? 分かっているのティアナ?」


 「‥‥‥」


 あたしはティアナとライム様を交互に見る。



 「ふう、やっぱりわかっていたのね。エルハイミに心配かけない様に。まあ、もともとあなたに『願いの腕輪』を上手く使わせるためにアガシタ様に無理言って様子を見に来たのだけど、最低限の願いはかなえられそうね。でも、今の貴女でエルハイミともっと一緒にいたいのなら無理はしてはだめよ? せっかく長く付き合えそうな娘たちに巡り合えたのだから私だって出来る限りあなたたちに協力したいの」


 ライム様はそう言って優しくあたしとティアナの頬に手を当てる。


 「もっとこっちにいたかったけど仕方ない、ちょっとアガシタ様の所に行ってくるわね」


 そう言ってライム様は虚空へ消えて行った。






 「‥‥‥」


 「ティアナ、どう言う事か教えてくださいですわ」



 しばし沈黙していたティアナにあたしは聞かずにはいられなかった。

 しかしティアナは黙ったままだ。



 「ティアナ、私はやっと帰ってこれた。ティアナのもとに帰る為だけにこの三年近くを必死に。それなのにやっと会えたあなたがいなくなってしまっては‥‥‥」


 「エルハイミ、私だってもう二度とあなたと離れたくはない。しかしジュメルは必ずあなたを狙ってくる。その時はあたしがあなたを守る! あなたの為なら私の命を使ってでも!!」


 「ティアナっ! でもっ、でもですわっ!」




 「全く、そんな事になっていやがりましたか」


 「クロエ、あまり野暮な事は言うな、主様に失礼だぞ」



 声のした方を見るとクロエさんとクロさんがいた。

 


 「少しは俺たちにも頼ってもらいたいものだ、主よ」


 「本当です。お姉さまったらすぐに自分だけで何とかしようとするから」

 

 「エルハイミにいなくなられちゃあたしだって嫌だもの、あたしだってエルハイミを守るわよ」


 「まったく、お母様も赤お母様も。私コクにお任せください。そしてまたお婆様の所へ連れてってくださいよ?」


 「ティアナぁ、今度はあたしも連れてってよね!」



 「ティアナ様のお世話は私たちがいたします! ずっとです!」


 「そうですティアナ様、セレと二人で何時までもティアナ様のお世話をさせてください!!」



 みんながそう言いながらクロエさんとクロさんの後ろから出てくる。



 「みんなですわ‥‥‥」



 『ま、ライムもああ言っていたしティアナが無理しなければ大丈夫でしょう。エルハイミ、あたしも協力するわよ?』



 シコちゃんまでそう言ってくれる。

 あたしは涙を拭いて最高の笑顔でみんなにお礼を言う。


 「ありがとう、みんな。ティアナを、私たちを手助けしてくださいですわ」

 



 みんなは笑顔でそれに応えてくれるのだった。

  

 

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