第十三章13-4手合わせ
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
さて久しぶりにうっぷん晴らし‥‥‥ もとい、成長を見てみましょう(ユカ談)
13-4手合わせ
あたしたちは試験場に来ていた。
ここは色々な魔法や新しい魔道具の試験をするために核シェルター並みの強度を持ったドーム状の屋内だ。
「良いですかエルハイミ、本気で行きます。手加減出来ませんから全力を出しなさい!」
そう言った師匠の闘気が一気にふくれる。
なにそれ!?
いきなり本気なの!?
あたしは思わずブローチを出して魔導士のライトプロテクターを装備し、同調しまくる。
「行きます!」
気合一閃、師匠が刀を抜くと同時に衝撃波が飛んでくる。
それはいつもの事なので予測で絶対防壁を張って防御、きっと師匠の事だから衝撃波を放つと同時に切り込んでくるはず。
あたしは【地槍】を自分の前に展開する。
と、あたしの左手が勝手に動いた。
キンっ!
甲高い金属がぶつかる音がして左手のプロテクターが師匠の刃を自動的に防御した!?
いつの間に!
あたしがそう思った瞬間師匠が頭上から襲ってきた。
「うわぁっっきゃぁっ!!」
慌ててその場で重力魔法と念動魔法を使って自分を真横に吹き飛ばす。
ぼこっ!
師匠の蹴りが地面をへこます。
が、そんな事より問題はあたしのすぐ横にいる師匠だ!!
「なんで師匠が二人もいるのですのぉっ!?」
間近で師匠は【炎の矢】を撃ってくるけどこれくらいならあたしはすぐに魔力還元して吸収する。
そしてお返しにと【氷の矢】で師匠が次に地面を蹴ってあたしに踏み込んでくるだろう場所に数百発お見舞いする。
が、そっちに行った師匠は消え、地面をへこましていた師匠がこの一連の間に師匠最大の攻撃魔法【流星召喚】メテオストライクを準備し終えあたしに放ってた!
「めちゃくちゃですわぁ!!」
あたしは叫びながら迫りくる流星をマナから魔力へと還元して青い光の粒子に分解しながらその膨大な魔力を別のモノに形作り師匠に倍返しする。
「【竜切断破】!」
竜ですら一刀両断にするこの光の大きな刃は単体に対する攻撃力は【流星召喚】より上。
流石にこれは師匠も避けると思ったら、なんと居合切りであたしの【竜切断破】を切ったぁあっ!?
「なんで魔法が切り裂けるのですわぁ!?」
通常有得ないその光景をあたしは目の当たりにしながら自分の体をジグザグに重力魔法と念動魔法を駆使しながら移動させる。
あたしが飛び退いた所にどんどんと師匠が放った【氷の矢】が突き刺さって行く。
どっ!
どどっ!!
師匠が小技で牽制するって事は次は接近戦が来るはず!
あたしは逃げるその先に【拘束魔法】を蜘蛛の巣の様に展開して自分を一気に上に飛ばす。
と、上に逃げるとは予測していなかった師匠が見事にあたしが準備した【拘束魔法】の目の前に現れた!
よしっ!
捕ったぁっ!!
あたしは魔法で師匠を絡め捕ろうとしたその瞬間師匠の姿がぶれてまた二人に分かれる。
なにそれ!?
卑怯だわよっ!!
あたしの【拘束魔法】のクモの巣の網は空振りに終わりその場で左右に逃げた師匠は片方が刀を投げ飛ばし片方があたしに向かって十数個の【氷の矢】を放ってきた!
空中で身動き取れないあたしに物理、魔法の両面攻撃を仕掛けてくるとは!
あたしは刀を魔導士ライトプロテクターの自動防御に任せ【氷の矢】に【炎の矢】をぶつける。
と、その間にいつの間にか空中にまで飛びあがっていた刀を投げ飛ばした方の師匠があたしの腕をつかんだ。
そしてそのまま組手であたしを空中で抑え込んで地面に叩き落そうとする。
「このぉぉおおおぉっですわぁっ!!」
流石にこの体制で地面に叩き落されたらたまったものじゃない。
あたしは気合と共に地面に叩きつけられる瞬間に使った事の無い魔法を使う。
地面に魔方陣が浮かび上がりあたしと師匠がその魔法陣にぶつかる寸前、まるで水面に飛び込むかのようにあたしたち二人はその魔法陣に吸い込まれすぐ近くに出来た魔法陣から上へと吐き出される。
「お姉さま! それは召喚魔法の異空間渡り!?」
あたしたちの手合わせを見ていたイオマが驚く。
初めて使ったけどうまく行った!
あたしは吐き出されると同時に念動魔法で師匠を弾き飛ばす。
そしてそこへ雷撃を放つが当たる瞬間その師匠は消えた。
どうにか体制を整えあたしは地面に立って次の師匠の攻撃に備える。
「見事ですエルハイミ!」
ちんっ
師匠は攻撃をせず刀を鞘に戻した。
そして張りつめていた空気が一気に緩んだ。
「一連の攻防に対して魔導士でありながら見事に対処できるとは予想以上です。私の攻撃をここまで見事にかわすとは。今の貴女なら魔人にも立ち向かえるでしょう!」
へっ?
もう終わり?
なんか今までの師匠ならここからが本番と言わんばかりに徹底的に攻め込んでくるのに?
あたしは思わず師匠を見る。
師匠はあたしに近づいてきながら独り言のようにつぶやいた。
「エルハイミ、あなたの成長は見事です。実際私の奥の手をこうも見事にしのぐとは‥‥‥」
師匠はあたしを見てにこりと笑う。
「まさか【写し鏡】ミラーの技を使える者がいたとは驚きですね。異界の者よ、確かユカ・コバヤシでしたね? 覚えておきましょう」
コクが腕組みしながらうんうん言ってこちらにやって来る。
「コク、師匠の奥の手を知っているのですの?」
「はい、主様。あの技は女神の御業の一つです。私がクロやクロエを作るのと近い技ですね」
ええっ!?
師匠ってそんな事してたの!?
「流石に太古の竜と呼ばれる黒龍ですね、よくこの技を知っています。私がこちらの世界に来るときに身に着けた秘匿の技でしたのに」
ちょっと不満そうな師匠。
秘匿って‥‥‥
そう言えば師匠が言っていた。
異界の者はこの世界に渡ってくる時に特殊な能力を身に着ける者もいるそうだと。
「しかしこれならばティアナに再会してもエルハイミは彼女の助けになるでしょう。今のティアナはあの力を使う事により短時間ではありますが私を凌駕します。しかしあまりにも強力なその力は近くにいる者さえ巻き込んでしまう。自分の身を守れない者がティアナの横に立つ事は今は危険としか言いようがありませんからね」
はいっ?
ティアナが師匠を凌駕するっですって!?
「師匠! ティアナは一体!?」
「そうですね、この事は先にあなたに伝えるべき事でしょう」
そう言って師匠はあたしを見るのだった。
評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。
誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。




