第十二章12-28ソルガ再び
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
うふふふっ、あたしとエルハイミが伴侶~
もう、いやんいやん~♡(シェル談)
12-28ソルガ再び
「ソルガさん!」
「げっ! ソルガ兄さん!!」
あたしが呼んだソルガさんの名前ににシェルも気づいたようで水の精霊を使うの止めてしまった。
「シェルよ、先に火消だ! そのまま水の精霊を制御しろ!!」
ソルガさんはそう言って動かなくなったボーンズ神父の横にいるダークエルフの女性に矢を向ける。
「ダークエルフごときが『迷いの森』に火を放つとはな! 大人しくしろ!」
しかしそのダークエルフの女性はすごい形相で懐からナイフを引き抜きソルガさんに襲いかかる!
「お前がぁっ! お前がぁあぁっ!!」
その無謀な行動にソルガさんは動じることなく矢を放った。
とすっ!
その矢は寸分違わずそのダークエルフの女性の眉間を貫く。
ばたっ!
そしてそのダークエルフの女性は倒れたまま動かなくなった。
* * * * *
「毎度のことでだんだん驚かなくなってきたが、エルハイミよ、君が来ると必ず何か起こるな? 最近見なかったがずいぶんと成長したものだ。シェルがいなかったら気付かなかったかもしれんよ」
ソルガさんはそう言って仲間のエルフの戦士たちと森の消火活動を手伝ってくれた。
ヒドラはボーンズ神父が倒れて自我を取り戻したらしく、コクが威嚇の唸り声をかけると慌てて逃げ出していった。
森の消火が終わる頃には空も白くなってきて太陽が昇り始めていた。
「それで説明くらいはしてもらえるのだろうな、エルハイミよ?」
「ええ、勿論ですわソルガさん。と、その前にちょっとこっちに来てくださいですわ!」
あたしはソルガさんの腕を引っ張ってシェルについて聞いてみる。
「あの、シェルが私たちと村を出てボヘーミャのソルミナ教授の所にいると言う事はそのままですの?」
「ああ、その事か。詳しくはソルミナから聞いている。今はガレントの北ティナの町にいるんだったよな? いや、そう言えばこの前は渡りのカリナからイージムに居ると聞いたような気もしたが‥‥‥」
そう言えばシェルは時折風のメッセンジャーでファイナス市長に連絡をしていたっけ。
そうするとユエバの町の渡りのエルフ、カリナさんもファイナス市長に連絡入れているのかな?
「それでその事はシェルの親御さんは?」
「多分知らんだろう、こんな短期間にあちこち行っているとは思ってもいないだろう。百年もすればどうしたか気にはなるだろうがな」
時間の感覚の差に改めて驚く。
でもまあ、その方が話的にはややこしくなくて助かる。
「そ、それでですわね、シェルと私がその‥‥‥」
「なんだ、どうしたエルハイミ?」
改めて自分の口から言うとちょっと恥ずかしい。
「その、伴侶になっているというのはご存じですの?」
「なにっ!?」
ソルガさんは改めてあたしの顔を覗き込む。
かなり驚いているようだがシェルを見るとニコニコ顔でうんうんと首を振っている。
「シェル、お前いつの間にエルハイミと一緒になったのだ? いや、マーヤの事は聞いているがまさかエルハイミと一緒になるとはな」
シェルは顔を赤くして両手を頬に当ていやんいやんとくねっている。
ちょっとまて、もしかしてシェルの奴ちゃんと話していないのか?
「ソ、ソルガさん、本当の事はご存じで無いのですの?」
「本当の事だと?」
あたしは大きくため息をついてから説明を始めたのだった。
* * * * *
「そう言う事だったのか。しかしあの時そこまで危険な事をしていたのかお前たちは!」
ソルガさんはそう言ってシェルの首根っこを掴み自分の目の前に持ってくる。
「叔父さんや叔母さんが聞いたら大騒ぎになるぞ! 全くお前と言いソルミナと言い‥‥‥」
「い、いやぁ~、はははははっ」
借りてきた猫の様に大人しいシェル。
今までの話を聞くとシェルはソルガさんに頭が上がらないらしい。
「しかしジュメルを殲滅するためにお前がエルハイミたちに力を貸しているというのは分かった。メル長老もそう言う事であればまたお前が村から出る事を許可はしてくれるだろうが‥‥‥ 叔父さんと叔母さんはお前の婚約相手を見つけて来たぞ、既にユグラスにも話をしているぞ」
「ええっ! ユグラスさんですってぇ!?」
かなり驚いている様子だ。
「ユグラスさんもうお嫁さん八人もいるじゃない! あたしやだよあんなプレイボーイ! ユグラスさんマーヤでさえ狙ってたのに! あたしたちが水浴びしているといっつも入ってくるんだもん!」
「叔父さんも叔母さんもお前の様な若い木にはそのくらい落ち付いて女性に詳しい相手が良いと言っていたぞ。それにユグラスならすぐにでも実を結べそうだとも言っていた。実を結べばシェルも少しは落ち着くだろうってな」
シェルはわなわなと肩を震わせあたしの両肩をいきなり掴んできた。
「エルハイミ、絶対にあたしとエルハイミのこと認めさせないとやばい! あたしユグラスの子供なんて欲しくないわよ!!」
はぁ?
どう言う事??
「ユグラスと一緒になったら速攻で実を結ばれるわ、ああ、エルハイミに分かるように言えば子供を孕ませられちゃうって事よ!!」
ぶっ!?
なにそれっ!?
「え、ええっ?」
あたしが驚いているとソルガさんが話してきた。
「我々エルフはなかなか子孫が増えない。それは実を結ぶことが下手だからな。気長な連中は良いのだが長老たちを含め年寄り連中はやたらと子孫を増やしたがる。だから婚姻がきまったらすぐにでも実を結んで子孫を増やしてからその後に個々に自由な時間を過ごすのが普通なんだ」
それって結婚したらすぐにでも子供を産めって事?
「エルハイミ、分かるわよね? 今あたしがどれだけピンチなのか!?」
シェルの両肩におかれている手に力が入る。
そして真剣な表情であたしの顔を見る。
ま、まあそれは理解できるのだけど~
「しかしソルガさん、お芝居でシェルの親御さんを騙せるものでしょうかしか?」
「それはやってみないとわからんが、メル長老含め話がややこしくなるからこの話は俺とファイナス長老以外には話さないでくれ」
ソルガさんはそう言って大きくため息をついた。
「大体の事は分かったが、まずは村に来てもらおうか。それと黒龍よ、もう一度だけ確認させてもらうが本当に敵対心は無いのだな?」
「当然です。太古のエルフ、メルにどうこうするつもりはありません。私は主様に従うまでです」
ソルガさんはその言葉を聞き頷いてから仲間のエルフたちに声をかける。
そして捕らえたダークエルフと動かなくなったボーンズ神父、それとダークエルフの女性の遺体も回収して一旦村に戻る事となった。
「エルハイミよ、付いて来てくれ」
ソルガさんにそう言われあたしたちはエルフの村に行くのだった
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