第十章10-22王の間
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
強い!(ショーゴ談)
10-22王の間
『流石にここまで来るだけの事はある。その実力だけは認めてやろう』
そう言って堕天使は一旦大きく下がる。
そして黒い翼を広げその魔力を高めていく。
『しかしそれではまだ足らん! お遊びは終わりだ本気を出してやろう』
「ごちゃごちゃうるさい!」
ショーゴさんは驚異的な跳躍で間合いを一気に縮める。
そしてなぎなたソードを一閃させる。
堕天使はそれを難なくかわし黒い剣をショーゴさんに振り下ろす。
しかしショーゴさんも開いた手で既に抜き出した短剣を使いその一撃をそらす。
そしてそらしながら短剣でその黒い剣を押さえ堕天使になぎなたソードを切り込む!
がきぃいぃぃぃんっ!
なぎなたソードが堕天使に入ったと思ったら甲高い音がして受け止められていた、そうもう一本の黒い剣でだ。
堕天使はその剣でショーゴさんを横殴りに切り捨てる。
ショーゴさんはすかさず短剣となぎなたソードでその一撃を受け止めるがそのまま横に打ち飛ばされる。
「ショーゴさんですわ!!」
あたしは思わず叫んだがショーゴさんは空中で体制を戻し難なく床に着地する。
しかしそこに既に堕天使は飛び込んでいて二刀を同時にショーゴさんにぶち込む!
「ぬおぉおおおおっ!!」
ショーゴさんは気合と共にそれらを剣ではじくがどうやら一撃一撃が重くなっている様だ。
と、ここでショーゴさんへ攻撃をしている堕天使の背中にいつの間にかクロエさんが肉薄していて魔力のこもった拳を叩き込む。
その拳が決まったと思ったが、なんと堕天使はそれに気づいていたようで器用に上半身を倒し込みその一撃を避けながら前転するようにまわり逆さになりながら黒い剣でクロエさんの足を薙ぎ払おうとする。
だがクロエさんもそれを軽く飛び越え剣の腹に足をつき堕天使を飛び越える。
堕天使はそのまま前転一回転して飛び越えたクロエさんとショーゴさんに黒い剣を投げ飛ばす。
ショーゴさんはなぎなたソードでそれをかわすがクロエさんは翼と尻尾を出し空中でその軌跡を変え黒い剣を避ける。
と堕天使は自分の横に手のひらをかざしたと思ったらクロさんの正拳を手のひらで受け止めた!?
クロさんまでいつの間にかこの戦いに参戦している??
「まずいですね、主様。あの悪魔、いえ、堕天使かなりの使い手です。クロやクロエ、ショーゴさんが同時にかかっても倒せないかもしれない」
コクがあたしの手をぎゅっと握ってきた。
言われたあたしはぎょっとしてその戦いに注視する。
確かに一見有利に見えるこの戦い、しかし未だあの堕天使に三人同時に攻撃をしているのに一撃も入れられていない。
あのクロさんが参戦しているのにもかかわらずだ!
そしてコクの言う通りその情勢は徐々に堕天使側が有利になっていく。
投げ飛ばした黒い二本の剣はいつの間にか堕天使の手元に戻って来ていて、ショーゴさんの剣やクロエさんの魔力を含んだ拳、更にはクロさんの攻撃ですらその剣で防ぎ、攻撃をしてくる。
『どうした? お前らの力はそんなものか?』
そう言った堕天使は力のこもった横殴り一撃でショーゴさんとクロエさんを吹き飛ばす!
どがっ!
ばんっ!!
かろうじて致命傷は免れたけどショーゴさんは壁まで吹き飛びクロエさんも床に転がされる。
そして黒い剣を振り切った隙にクロさんが撃ち込む渾身の一撃を膝で受け止めた!?
『ドラゴンニュートは我ら上級悪魔に匹敵するはず、どうした? 力の出し惜しみせず本気で来い!!』
「ならば受けるがいい、ドラゴンクロ―!!」
近距離からクロさんがあの技、ドラゴンクロ―で堕天使を切り刻む。
そのはずがクロさんは慌てて引いた。
見るとクロさんの腕が切り落とされている。
傷口を押さえクロさんは堕天使を睨む。
「その翼、全てが刃物と同じか!」
『ふむ、首を落とそうとしたが腕を身代わりに逃げたか。その通り我が翼は全てを切り刻む死の翼! 受けるがいい【黒翼飛翔】!!』
まずい!
「【絶対防壁】!!」
堕天使は翼を広げて黒い羽根を飛ばす。
その一つ一つが鋭利な刃物で無数にこちらに飛んでくる!!
あたしが間一髪展開した【絶対防壁】には何とその羽根が突き刺さってガラスが割れるかのようにこの防壁を破壊した!!
だが至近距離にいたクロさんにかけた【絶対防壁】はその役目を果たし切っていなかった!
「クロっ!」
コクが思わず叫ぶ。
クロさんは全身にその羽根を受けその場に膝を落としてしまった。
『ふん、ドラゴンニュート、貴様から始末してやろう』
そう言って堕天使は黒い剣を振りかぶる。
クロさんはそのダメージのせいですぐに動けない!
黒い剣が振り下ろされる。
「くおぉおおおおおぉぉぉっ!!」
がきぃいいぃぃんっ!
しかしクロさんにその刃が触れる前にクロエさんが魔力を込めた拳でその刃を受け止める。
『そうか、お前もドラゴンニュートだったな。よくその傷で動けるものだ』
見ればクロエさんも左肩と右太ももにあの黒い羽根が突き刺さっていた。
堕天使はもう片方の黒い剣を振りかざす。
「うおおおおおおぉぉっ! させるかぁっ!」
しかし壁にぶち当たってめり込んでいたショーゴさんがなぎなたソードを突き刺しながら堕天使に突っ込んでいった。
『ふんっ、つまらん』
堕天使はショーゴさんのなぎなたソードを黒い剣ではじくがショーゴさんはその瞬間になぎなたソードを手放し更に踏み込んで左手の義手を突き立てる。
「【爆炎拳】」
『なにっ?』
ショーゴさんの左の義手が輝き、その力を開放する。
それはあとわずかで堕天使に届いたが先ほどの黒い剣を引き戻したその腹で爆炎拳は止められてしまった!
ドガッ!
びきっ!
ばぁああぁぁんっ!!!
だがその力は黒い剣を粉砕する。
『なんだと!? 我が剣を破壊するか!!』
堕天使はそう言って大きく飛び退く。
ショーゴさんはしかし爆炎拳を使ったばかりで更に攻撃を加える事が出来ず左手の義手から冷却の煙を排出していた。
『見事だ人間! しかしこれで終わりだ!【黒翼飛翔】!!』
黒い翼を広げ堕天使はまたあの刃の羽根を飛ばすのであった。
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