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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第十章
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第十章10-19大洪水

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


氷じゃないのね?

水なのね!? (シェル談)

 10-19大洪水



 あたしたちは残る二つの詰め所の最後から二番目まで来ていた。



 「いよいよここまで来ましたわ。あと二つでリッチの元ですわ! 皆さん気を付けていきましょうですわ!」


 あたしのその言葉にみんなは首を縦に振り詰め所の扉を開いた。

 そしてこの詰め所から感じるひんやりとした空気を感じた。


 「なんだこの冷たい空気は?」


 前を進むショーゴさんがそう言うと向こうから答えの声がかかってきた。



 『僕の属性は水なんだ。だからどうしてもひんやりしてしまうんだよ。でも逆に冬場は温かくていいんだよ? 決して氷点下にはならないからね』



 声のする方を見ると青年の悪魔が大きな壺に肘をのせこちらを見ていた。

 髪の毛が湿った感じのする線の細い系のイケメンで年頃の女の子が見れば一発で虜になったかもしれない。



 「ずいぶんと余裕でいやがりますね?」



 クロエさんはずいっと前に出てそう言いながら指をぽきぽき鳴らす。

 

 『余裕はないかな? 君ら強いんだろう、でなければここまでは来れないしね。だから‥‥‥』


 そう言ってイケメン悪魔は壺を倒した。

 とたんにその壺から水があふれ出した!


 『僕の属性は水。だから僕の有利な条件にこの場を変えさせてもらうよ』


    

 壺からあふれ出る水はどんどんと流れ出る。

 それはそれは止まることを知らずに‥‥‥



 って、いつまでで続けるのよこの水!?



 既にその水はくるぶしまで到達していた。

 しかしまだまだ増水する様だ。

 

 「私らを水攻めでもするつもりでいやがりますか? そうはさせないでいやがります!」


 そう言ってクロエさんはイケメン悪魔にとびかかり魔力を帯びた蹴りを入れようとする。

 しかしイケメン悪魔とクロエさんの間に水の壁が出来それを邪魔する。


 『おっと、危ない。まだまだ動けるもんね。もっと僕が有利になるように水は増やさせてもらうよ!』


 そう言って更に水を流し出す。

 水は一気に膝まで水位をあげてきた。


 「このぉ! 水の精霊よ力を貸して!!」


 シェルの精霊魔法が発動して水の精霊ウンディーネがシェルの前に現れる。

 そしてウンディーネは高圧の水のやいばを生成してイケメン悪魔を襲った!



 しゅばっ!!


 ざんっ!



 高圧の水の刃はイケメンの悪魔もろとも水がめも切ったかと思ったがその水の刃はそのまま後ろの壁まで行ってはじけて消えた。


 『僕に水の攻撃は効かないよ? それに水の刃はこうやって使うんだよ』


 そう言ってイケメンの悪魔は無数の水の刃を作ってお返しとばかりにあたしたちに打ち込んでくる!



 「うわっ!!」


 「【絶対防壁】!!」



 ばしゃんっ!!



 あたしが作り上げた【絶対防壁】がシェルやあたしたちを防御して水の刃を防いだ。

 しかしそんな事をやっている間に水かさがまたまた増えた!?

 水位は既に腰にまで達していて身動きしずらくなっていた。



 「主様ぁっ!」


 「ぬっ! 黒龍様おつかまりください!!」


 背丈の低いコクには腰までの水位はかなりきつく、クロさんが慌ててコクを抱き上げる。

 やばい、この水そのままじゃ本当に身動きとれなくなってしまう!


 しかし相手を攻撃するにもこれほど大量の水があるのでは炎系の魔法は効かないし、雷系は自滅してしまう。

 下手な魔法が使えないと言う事にあたしは今更ながらに気付かさせられる。


 「エルハイミ! 水多すぎ!! これじゃ洪水だよぉっ!!」


 「お姉さまっ! あれっ!!」


 シェルが文句言いながらきゃしゃな体が流されない様に踏ん張っているとイオマがイケメン悪魔の方を指さす。

 見れば水の流れが変わり始め渦を巻き始めていた。


 流石に腰までの水位で渦の潮流が発生し始めては身動きどころか流されない様に耐えるのだけで精一杯になってくる。


 

 「アサルトモード! はっ!!」



 ショーゴさんはアサルトモードのプロテクターを装着して両手の筒をイケメン悪魔に向け、魔力の光弾を放つ!

 しかしシェルの時と同じくすぐに水の壁が出来上がりその光弾をことごとく阻止する。


 『なかなか頑張るね? じゃあやっぱり最後まで水を流して溺れてもらおう』


 そう言ってイケメン悪魔は足元に浸かっていたいた水がめを持ち上げさらに大量の水を流し出した!



 「やばいっ! 水の精霊よ、お願いっ!!」



 シェルが精霊魔法をみんなにかける。

 しかしそんな中とうとう流れ出す水のせいであたしは床に足がつかなくなってきた。



 やばい!

 溺れるっ!!



 そう思った瞬間大量の水はあたしたちを飲み込む。

 そしてその水量は既にほとんど天井にまで達していてあたしたちを溺れさせる。



 「むぐぅぅぅっ!」



 イオマが水中で耐えきれず大量の泡を吐き出した。

 そしてもじたばたと両手両足を動かしながら水面へともがくが既に天井まで水でいっぱいだ。

 新たに空気を吸い込む事が出来ず口から更に泡をこぼしながらその動きが止まる。

 そして水中にいるあたしたちの目の前に沈んできた。


 が、あたしたちは誰も慌てない。

 それはやがてイオマも気づいたようで水中で体勢を立て直し目をぱちくりしている。


 口をパクパクしているがどうやら何かしゃべっている様だ。

 

 『助かりましたわシェル。とっさに水の精霊魔法で水中でも呼吸できる魔法をかけてくれたおかげで溺れずに済みましたわ』


 『でもまだ終わってないわよ! どうすんのよこれ!? これじゃあいつに攻撃できないわよ!!』


 あたしはシェルと念話で話す。

 確かにこのままじゃどうにもならない。

 シェルの魔法が効いている間にあのイケメン悪魔を倒さなくては!


 『へえ、やったかと思ったけど水中でも息ができるんだ。これじゃ溺れさせられないね? じゃあこうだ!』


 そう水中で言ってイケメン悪魔は水圧の塊をあたしたちにぶつけてくる。

 しかしそこへショーゴさんが前に出てその水圧を受ける。

 が、耐えきれすあたしたちともども押し流されて壁に激突させられた!


 「ごぼっ!」


 「ごぼごぼっ!!」


 あたしたちは口らから泡を吐きながらその水圧に押し潰されそうになる。

 


 くっ、地味に効くなこれって!



 あたしは念動魔法を駆使して水の流れを変えようとする。

 しかしここでコクが念話をしてきた!


 『主様、クロとクロエを竜の姿にします! みんなクロにしがみついてください!!』


 そう言ってクロさんとクロエさんの姿が一気に輝いて膨張する。

 そして現れたのは黒い鱗の体長七メートル近くあるいかつい顔の竜と体長五メートル強のやはり黒いうろこの竜だった!


 『魔力消費が激しいです。クロ、クロエ一気に勝負に出ます!!』


 コクが念話でそう言うとクロさんはあたしたちをその背に乗せ、クロエさんは全身を矢のように細め全力で泳いで行ってイケメン悪魔に突撃していく。


 『うわっ!! 水の中なのに! くそっ、竜族めっ!!』


 慌てるイケメン悪魔が何度も水圧の塊をクロエさんにぶつけるが速度の乗ったクロエさんは水の抵抗を最小限にする形で体をすぼめ、イケメン悪魔に突撃した。

 そしてとうとうその咢にイケメン悪魔をとらえる!


 『うっ、うわぁあぁあぁぁぁっ!!』



 ぶしゃぁぁつっ!!



 クロエさんはその悪魔を噛み潰し上半身と下半身を噛み切リ分断させた!


 

 『ぐばっ!』


 水の色を真っ赤に染めイケメン悪魔はクロエさんに惨殺された。

 


 『主様たち、クロにしがみついて振り落とされないようにしてください! クロエ!!』


 コクは念話であたしにそう忠告してきた。

 あたしは魔法のロープを作ってイオマとシェルを拘束してクロさんの竜に縛り付ける。

 それを見たショーゴさんもクロさんにしがみつき、あたし自身もコクと一緒に魔法のロープで体を固定する。


 それを合図にクロエさんの竜が一気に天井を突き破りこの詰め所を飛び出る。

 それに続きクロさんの竜もあたしたちを取りつかせたまま詰め所の外へと飛び出した!


 「ぶはっ! 死ぬかと思った!!」


 「げほ、げほっ、お、お姉さまぁ~」


 「主様、このまま次の詰め所まで飛んでいきます! クロお願いします!!」


 『承知、黒龍様』


 ごがぁぁあああああぁぁぁっ!!


 クロさんの竜はそうひと鳴きしてから翼をはためかせ一気に次の詰め所に向かう。

 クロさんの竜にクロエさんの竜も並び同じくひと鳴きしながらクロさんの後について来る。


 「ふう、助かりましたわコク、ありがとうですわ、よくやってくれましたですわ」


 「はい、主様。お褒めの言葉有りがたき幸せ。しかし二人もこの竜の姿は長くはもちません。消費魔力が多すぎますので。次の詰め所に着いたらまた元の姿に戻します」



 コクのその言葉にあたしたちは急いで次の詰め所まで飛んでいくのであった。

 

  


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― 新着の感想 ―
[一言] …………オーロラの処刑とか、オーロラの雷攻撃とかの出番がなかった。 氷漬けになった女性に花を添える演出は(チラッ) 繋がり的に有るのは意味不明だし、やる意味すら無いよなぁ…………。
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