第十章10-14均衡を保つもの
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
アガシタ様って本当はどんな姿なんですか?
お姉さま??(イオマ談)
10-14均衡を保つもの
この詰め所での収集をつけるのに結構時間がかかった‥‥‥
「それで、主様があの変態を退治したのですね? 流石! やっぱり主様はすごい!!」
そう言ってコクはあたしに抱き着いてくる。
最後まで気絶していたのはある意味良かったと思う。
あんなの小さなコクには見せられないよぉ!!
「でもなんでクロエやクロが倒れてたのよ? あんな奴あんたらなら簡単に倒せたんじゃない?」
「ぐっ、そ、それはでいやがります‥‥‥」
シェルはふとそんな質問をクロエさんにする。
するとコクがそれに答えた。
「私たち竜族は不浄な者に慣れていないのです。あそこまでの変態、今思い出しただけでも気絶ものです! ああ、本当におぞましい‥‥‥」
そう言って身震いする。
どうやら精神的な所は弱い部分もあるようだ。
え?
あたし??
あたしはまあ、生前おかまパブにも付き合いで連れられて行ったこともあるから何とかね?
でもあそこまで強烈なのは初めてだった‥‥‥
だが問題は他にもあった‥‥‥
「黒龍様、主様何かございましたら私にお申し付けくださいでいやがります!」
やたらとあたしとコクの周りにクロエさんがうろつく。
しかもたまにあたしを見てほほを染める。
「お姉さま、とうとうクロエさんまで落としたんですか!?」
「落としてなどいませんわ!!」
イオマがむくれる。
そしてとんでもない事を言う。
「お姉さま本当に見境ない。私だってまだなのにクロエさんにはあんな高度な事を‥‥‥」
いやいやいやっ、あたしじゃないっ!
触手よ、触手!!
あたしはクロエさんを助け出しただけ!
「初めてだったけど、仕方ないでいやがります。しかしもう主様に奪われたも同然、ちゃんと責任を取ってもらうでいやがります」
クロエさんはそう言ってほほを染めながらあたしに近づいてくる。
なんでそうなるっ!?
あたしは天を仰ぐ。
「まあエルハイミはエロハイミだし仕方ないわよね~」
さっきまで泣いていたシェルは既に他人事。
こいつわぁ~っ!!
人を散々心配させといて!
あたしは大きなため息をつくのだった。
* * *
「主よ、次の詰め所に着いたぞ」
そう言ってショーゴさんは扉に手をかける。
あたしは無言で首を縦に振りそれを見たショーゴさんは扉を開く。
中は真っ暗だった。
しかしあたしたちが入ると目の前がパッと明るくスポットライトが当てられ中央と思しき所に神々しい女神が浮かんでいた!?
『よくぞここまでたどり着きましたね、でももう安心なさい。私が降臨したからにはあとの事は任せなさい』
その神々しい女神様はゆったりとした白い服を着ていてきらめく金髪をなだらかなウェーブで流し、透き通るような白い肌に美しい微笑みを携えて右手に天秤、左手に裁きの剣を持っていた。
「ま、まさか天秤の女神アガシタ様!?」
「えっ? あれがライムやレイムの主人!?」
「なんと、女神様にお会いできるとは!」
イオマやシェル、ショーゴさんはかなり驚いている。
しかしあたしやコク、クロさんにクロエさんは目を点にしてしまう‥‥‥
「主様、違いますよ?」
「ええ、そうでしょうねですわ。アガシタ様があのように優美で現れるはずありませんものですわ」
コクは一応あたしにそう告げるも、あたしだってアガシタ様だとは思ってもいない。
だってライム様の話だと年の頃十三歳くらいで巨乳、銀髪のボーイッシュな姿で人間界をふらふらしているはず。
天秤の女神アガシタ様の抽象画とか像は今目の前にいる偽物と同じだったけど実際には全然違う姿だって聞いているからすぐにわかった。
「え? 違うの??」
「シェル、たまには人の話をちゃんと聞きなさいですわ!」
状況を理解していないシェル。
あの時ライム様に言われたこと聞いていなかったな?
「あなたは何者です!? 以前お会いしたアガシタ様はそんなに優美ではありませんでした! 女神を騙るとは許しがたいです!!」
コクは一歩前に出てそう断言する。
『くくくくっ、そうかぁ、女神と顔見知りだったな竜族! しかし弱体化した黒龍など恐れるに足らん、ここで人間どもと一緒に始末してくれる!!』
偽女神は歪んだ笑いをしながらその本性を現した!
その姿は黒い服をまとった邪悪な笑みを張り付けた男に変わった。
悪魔らしく頭には角も生え、尾尻には尻尾もあるようだ。
手には今だ天秤を持っているが裁きの剣は三又の矛に変わっていた。
『さあ我が裁きにお前の魂を差し出せ! お前の魂の罪がこの天秤の重りより小さければ許してやろう、そして重ければその魂俺がもらい受ける!!』
そう言って天秤をイオマに向ける。
『ジャッジ!』
天秤の悪魔はイオマに天秤を向けながらそう言うと途端にイオマが淡い光に包まれ、天秤の上に白い光の玉が現れる。
「うぁぁぁああぁぁぁぁっ‥‥‥」
「イオマですわっ!!」
あたしは思わずイオマを抱きかかえる。
しかしイオマは白目でがくがくと震えているだけで意識が飛んでいる?
『はははっ、どうれ、この女の魂はぁ~ んん~? ざんねぇ~ん、罪より重い! ではこの魂は俺のモノだな!』
「卑怯です! そんな罪の重りはお前の自由に重さを変えられるでしょう!」
憤慨しながらコクはそう言うが天秤の悪魔は笑ってこういう。
『俺は天秤の悪魔、悪魔は嘘をつかないし約束は絶対に守るんだぞ? だからこの天秤も公平なのさぁ~ あははははははっ! 黒龍次はお前だっ!!」
そう言いながら天秤の悪魔は今度は天秤をコクに向ける。
コクは天秤を向けられてぎょっとする。
『いくぞぉっ! ジャッジっ!!』
あっと思った時にはあたしの体は先に動いていた。
コクをかばうように天秤の悪魔との間に割り込む。
するとあの淡い光があたしを包む。
「主様っ!!」
『ちっ、人間が邪魔したか? まあいい、お前から先に裁いてくれる!!』
そう言って罪の重りを準備するが、天秤の上に現れ始めたあたしの魂の光はどんどんと膨らんでいく。
それはついに天秤の大きさを超え、さらに大きくなっていく。
『な、なんじゃこりゅあぁぁああぁぁぁぁっ!! あ、ありえんっ! 人間風情が何でこんな大きな魂もってるんだぁ!?』
あたしの魂はさらに大きくなっていき天秤の悪魔に乗しかかっていく。
『うわっ、ちょっとまて、なんじゃこりゃぁ! や、やめろ!! おも、おもいぃぃいいっ!!』
天秤の悪魔は既にあたしの魂に押しつぶされ身動きが取れなくなっていた。
『やめてよしてやめてよしてぇぇぇぇえええぇっっ!!』
ぷちっ!
最後に叫びながらあたしの魂につぶされた。
そしてつぶされる寸前に手に持っていたイオマの魂がポロリと落ちる。
とたんにそれはイオマの中に戻ってイオマは気が付く。
「あ、あれ? あたしは?? って、なんですかあれは?? お、お姉さまぁ?」
巨大な光の玉はまだまだ大きくなっているけど天秤の悪魔がつぶされたので霞が消えるかのように無くなってどうやらあたしの中に戻ってきたようだ。
「あーあ、エルハイミの魂になんか手を出すからよ」
シェルは何事も無かったように頭をポリポリと掻いている。
「な、何と言う大きさの魂だ、主様これほどとは‥‥‥」
「し、信じられないでいやがります! 主様、あなたは一体何者なんでいやがりますか!?」
「えへへへぇ~、やっぱり主様凄いです!」
どうやらクロさんやクロエさんはあたしの魂見て驚いているようだ。
あたしだって自分の魂が何でこんなのかは知らない。
でもこれのおかげでコクを救えたと思うと嬉しくなってくる。
コクは甘えてあたしに抱き着いている。
あたしって、本当に何者なんだろうね?
そんな事を思いながらあたしたちは次の詰め所へと向かうのだった。
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本日の連投はここまでです!
また明日朝六時から始まりますよ~。
どうぞ引き続き「エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-」をお楽しみください!




