第十章10-7リッチを守る者たち
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
小宇宙の魔力を燃やしやがります!(クロエ談)
10-7リッチを守る者たち
あたしたちはミグロさんを義勇団の人たちに任せて城門をくぐり先に進んでいた。
城門をくぐりしばらく行くと居城までの全容が見渡せた。
「なんですのこのお城は!? あんなに遠くにあるのですの?」
「ああ、ここは万が一を考えて城を断崖絶壁の上に作り上げている。さらにそれを守るために城までの道は一本のみ。しかもそこまでに詰め所が十二か所有りそこで外来の敵を迎え撃つ構造になっている。その複雑なつくりのおかげで今まで隣国から攻め入られる事は無かった」
ショーゴさんはそう説明をしながら最初の詰め所の扉を開く。
そこはそこそこの広さがある場所だった。
そしてその広場の真ん中にたたずむ一つの影。
『よく来たな愚かな人間よ。我が宮殿にようこそ』
そう言って頭がヤギ、体は人だが下半身はやはりヤギの黒い翼をもつ所々金色のプロテクターを身に着けた化け物がいた。
「どういう事ですの? あなたは悪魔の上位種では無いのですの!?」
あたしは正直驚いていた。
リッチは亡者の王、しかし悪魔の王ではない。
それがここに居るのはあたしの知る限り確実に悪魔の上位種となる。
『ほほう、我を知っているか人間。まあいい、お前の言う通り我は悪魔の上位種。リッチ様にはこちらの世界に召喚いただき依り代をいただいたのだ』
えっ、何!?
召喚された!?
どういう事?
召喚魔法はレイム様が回収を進め失われつつあるはず。
それなのにリッチは召喚魔法が使える?
『ゆえに我はこの世界でも実体を持ち自由な身! 一筋縄ではいかんぞ!!』
そう言ったこのヤギの頭の悪魔は確かに大きな魔力を爆発的に膨らませた!
びりびりとその威圧があたしたちに襲いかかる。
「ううっ、お、お姉さまぁ! い、いやぁああぁぁぁぁっ!!」
精神抵抗が弱いイオマはこの威圧で混乱を始めているようだ。
あたしはイオマを抱きしめ【状態回復魔法】で精神を安定させる。
「はぁはぁ、お姉さま、すみません。助かりました」
まだ震えるイオマをあたしは放して下がらせる。
するとクロエさんがずいっと前に出る。
「上級悪魔でいやがりますか? 少しは骨の有りそうなやつでいやがりますね、主様ここはあたしに任せやがれです!」
クロエさんのその表情は楽しそうである。
「クロエの悪い癖が出たな。黒龍様、主様お下がりください」
そう言ってクロさんはあたしたちの前に出て手を横に出す。
あたしもコクもそれに大人しく従い一歩下がる。
「クロ様、手出し無用です。主様もそこで大人しく見ていやがれです!」
そう言ってクロエさんは一気にヤギ頭の悪魔に肉薄する!
スカートを翻しあのオークゾンビをひと蹴りで飛散させた強力な蹴りを放つ。
しかしヤギ頭の悪魔はそれを片手で受け止めはじき返す。
蹴りをはじき返されたクロエさんはその場でくるりと一回転して体勢を立て直す。
『ほほう、なかなかいい蹴りをする。貴様人間では無いな? 面白い、相手になってやろう!』
そう言ってヤギ頭の悪魔は手を上に掲げて黒いモヤを発生してそこに手を突っ込む。
モヤから引き出された手には三又の矛が握られていた。
ヤギ頭の悪魔はそれを構えクロエさんへととびかかる。
目にも止まらない速さでその矛を突き出す。
しかしクロエさんもそれを見事にその腕に魔力の光をともしながらはじく。
そしてふり返ったと思ったらそのお尻にドラゴンの尻尾を生やし鞭のように強力にしならせヤギ頭の悪魔に叩きつける。
が、ヤギ頭の悪魔もそのドラゴンテイルを軽々と避け間合いを取る。
『ほう、貴様ドラゴンニュートか! これは面白い、ドラゴンニュートと言えば我ら上級悪魔にも匹敵する存在。これは十分に楽しめそうだな!』
ヤギ頭の悪魔は楽しそうに矛を構える。
こいつかなりの使い手だ!
「悪魔風情にしてはなかなかやりやがりますね? それではこちらも少し本気を出してあげやがりましょう!」
そう言ってクロエさんは魔力を高める。
すごいっ!
確かに膨大な魔力を感じる。
そしてクロエさんは頭から角を生やし、背中に竜の翼を生やし、両手の爪は赤く鋭く伸びる。
「行きます! 我が小宇宙の魔力を燃やしてやがります!!」
そう言って魔力を練る。
両手を前に構えを動かしながら拳に魔力をためる。
「受けよ我がドラゴン百裂掌!!」
そしてクロエさんは無数のドラゴンの鍵爪を携えた掌を打ち出したのだった!
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