第八章8-28グランドアイミ解放
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
さあ始めましょう、私がエルハイミですわ!!(エルハイミ談)
8-28グランドアイミ解放
「一気に巨人まで切り開け!!」
エスティマ様率いる親衛隊が中心になった特攻部隊がマシンドールを筆頭に破竹の勢いで巨人に迫る。
緑のモンスターも聖騎士団を侵食していきホリゾン側も兵士の数は多いがその統率は乱れ始め一部敗退を始めている所も出始めた。
「あらあらあら~、ホリゾンの人引いてくれないから【大樹の皇帝】の餌食になっちゃう人が北陸戦争の時より多いみたいねぇ~、城壁の所ほとんど聖騎士団が排除されたみたい~」
ママンが感知した【大樹の皇帝】での浸食具合がさらに広まっているようだ。
あたしたちはエスティマ様率いる親衛隊とマシンドール、つゆ払いの緑のモンスターで駒をどんどん進める。
もう少しで巨人にたどり着く。
見れば巨人を相手にグランドアイミが奮闘している!?
グランドアイミが使う魔法の攻撃はヨハネス神父に防御され、物理攻撃でしかダメージを与えられていない。
巨人も時折紅蓮の炎を吐くが的が小さすぎて一向にグランドアイミには当たらず周りの被害だけを広げていく。
「ヨハネス神父、もう観念なさい! ホリゾンの聖騎士団は既にお義母様の【大樹の皇帝】でバラバラ、キメラも魔怪人たちももうほとんど残っていないわ、あとはあなたと巨人だけよ!!」
ティアナが大声を張り上げる!
「ヨハネス様には手を出させない、行け闇の精霊たち!」
ダークエルフのザシャがあたしたちの前にでる。
彼女とその仲間はまたまた闇の精霊を呼び出し、毒のついたレイピアを突き刺して来る!
親衛隊の何人かがその毒牙に傷つく。
「光の精霊よ! 来てぇっ!」
シェルも光の精霊を召喚して闇の精霊にぶつける。
立ちはだかるダークエルフたちだったが親衛隊の数が多くその数を減らしていく。
「駄目ですねぇ、ザシャあなたに死なれては困る。引きなさい」
ヨハネス神父のその声に悔しそうな顔をして彼女はすっと消える。
「くっ、 逃がさない! 風の乙女よダークエルフを逃がさないで!!」
シェルが引き続き精霊魔法を発動させる。
透明なエルフのような風の精霊が一瞬現れたかと思うとこの戦場を駆け抜けダークエルフが消えた少しむこうへ向かう。
そして姿が見えない何かをとらえるがその瞬間に虚空から現れた銀の刃にかき消される。
「くうううっ、やられた!」
シェルがそう言った後その銀の刃はまた虚空へと消え去り見えなくなった。
「逃がしたっ!」
悔しそうにしていたシェルだが今度は弓を構え間近に迫った巨人へを矢を放つ。
しかしその矢は巨人に当たる前にブラックマシンドールに阻まれる!?
「ブラックマシンドールですの? まだあんなにいたですの!?」
自爆したマシンドールで数は多くないはずなのにまたまたブラックマシンドールたちが現れた。
「はははははっ、ブラックマシンドールはまだまだいますよ! さあ、お前たちエルハイミさんたちの相手をしてあげなさい!」
あたしたちの前にブラックマシンドール部隊がおよそ百体も現れた。
何処まで隠し玉を持っているのよ!!!?
こちらもマシンドール部隊を突入させるけど約二十体ではいくら性能がこちらが上でも数で不利。
あたしたちはこれ以上巨人に近づけず苦戦する。
そんな中ブラックマシンドールがマシンドールたちの中で自爆した!
カっ!
どがぁぁあああんっ!!
その爆発でこちらのマシンドールが三体、親衛隊も数人吹き飛ばされ動かなくなる。
まずい、ブラックマシンドールは自爆も躊躇しない。
このままではこちらが巻き添えでやられてしまう。
『エルハイミ、あれじゃこちらが不利よ!』
「わかっていますわ!」
「くそう、精霊の暴走を止められれば爆発できないのに!!」
シェルはそう言いながら矢を放つ。
その矢がブラックマシンドールに当たり肩口を破壊する。
と、傷口から魔晶石核が見て取れた。
それを見たとたんあたしの脳裏にあるひらめきが灯る!
「ティアナ、グランドアイミの力を開放しますわ。 四連型を起動してこの空間を上級精霊たちの支配下に置きますわよ、そしてそのまま一気に巨人を倒しますわ!」
あたしはそう言いショーゴさんとシェルも呼ぶ
「私たちがグランドアイミの力を開放している間、守りをお願いしますわ!!」
「わかった!」
「おうっ!!」
あたしとシェル、ショーゴさんはすぐさまティアナのもとに駆け付ける。
そしてあたしはシコちゃんをティアナに渡しティアナの背に手を付ける。
「ティアナ、グランドアイミの四連型魔晶石核をフルバーストさせこの空間にいる魔晶石核たちをグランドアイミの支配下に置きますわよ。 そうすれば敵のブラックマシンドールもこちらの支配下におけますわ。シコちゃんティアナのサポートもお願いしますわ!」
『オッケー、任せて!!』
「出来るの? 分かった、グランドアイミ!」
そう言ってティアナは巨人から一旦グランドアイミを引き離す。
「行きますわよ、四連型起動! 我が名はエルハイミ汝らの主にしてすべての精霊王を従える者、汝ら我が声を聴き我が声に答えん!」
あたしのその宣言にグランドアイミの胸にある四つの魔結晶石がその力を開放する。
宙に舞うグランドアイミは両手を開きまるで十字架のようにして一瞬その眼を光らせる。
それは爆発的な緑のきらめく光をこの空間いっぱいに広げていき全てを飲み込む!!
「なんですかこれはっ!!!?」
『これがグランドアイミの本当の力ですわ。ヨハネス神父、これでブラックマシンドールは私たちの支配下ですわっ!!』
「こ、声が直接頭の中に聞こえる? これがそのマシンドールの本当の力なのですか!?」
ヨハネス神父の驚きの感情があたしに伝わる。
そしてこの戦場にいるみんながあたしの声を直接頭の中に聴く。
『さあ始めましょう、私がエルハイミですわ! すべてのマシンドールたちよ我がもとにひざまずき我が命を聞け!!』
あたしのその命令にこの空間にいるすべてのマシンドールたちが動きを止めグランドアイミに、あたしたちに向かって一礼してひざまずく。
この光の中にいる者たちは既に戦いをやめこちらに注目している。
「み、認められません、大いなるジュリ様の意思に抗うとは! 巨人よかまいません、ブラックマシンドールともどもすべてを焼き尽くしなさい!!」
しかしその巨人もその動きを止めていた。
『い、怒りの精霊が委縮している? そうか、精霊王たちが五体もいるからだ、怒りの精霊が委縮したから巨人の感情の精霊たち全部も委縮したんだ。エルハイミ、チャンスよ!!』
シェルがあたしの頭に直接話しかけてくる。
『全てのマシンドールたちよ巨人を取り押さえなさい!』
あたしのその命令にマシンドールもブラックマシンドールも一斉に巨人に向かう。
その動きは通常の数倍の速さに達し、その力もあの細腕のどこにそんな力があるのかと言うくらいにまで強く巨人にとりつき巨人の自由を奪い始める。
『エルハイミ、ティアナの魔力が尽きる!!』
シコちゃんがあたしに警告してくる。
『わかっていますわ、ティアナ、私の魔力をなたに‥‥‥』
あたしはティアナに魔力を注ぎ込む。
それは誰に注ぎ込むより熱く濃厚な魔力でティアナの中に中に、一番奥にあたしの愛の魔力を送り込む。
「ああっ! エルハイミぃ!! 入ってくるぅ!!」
そしてそれはティアナの魂にまで届くあたしの愛。
『大丈夫ですわティアナ、さあ、これで最後ですわ。グランドアイミ四連型魔晶石核フルバースト、巨人を異空間へ消し去るのですわ!!』
あたしとティアナ、そしてグランドアイミが一つになって渦巻く巨大な暗黒の渦を作り出す!
「み、認めない。 認めませんよ! そんなものがこの世にあるとは!! それは女神の力を超えるもの、あってはならないものなんだぁ!!!!」
ヨハネス神父の心からの叫びが響く。
そう、この力は女神をも超えるもの。
始祖の巨人をも超えるもの。
そして巨大な渦は巨人を飲み込む。
どんなに抗おうとも、どんなに叫ぼうとも、吐く紅蓮の炎さえかき消してそれらすべてを飲み込む暗黒の渦。
ほどなく巨人は暗黒の渦にすべて飲み込まれる。
と、肩に乗るヨハネス神父のもとにあのダークエルフの女性が現れ懐から【帰還魔法】の魔晶石を出し発動させる!
間一髪でヨハネス神父とダークエルフの女性は消え去り、巨人は完全に黒い渦にマシンドール、ブラックマシンドールともども飲み込まれ消えていった。
「やりましたわ、ティアナっ!!」
思わずそう言うあたし。
暗黒の渦は今や小さくしぼみほとんど消えるところである。
「うっ!!」
いきなりティアナが苦しみだした!?
「どうしたのですの!? ティアナ!!!?」
既にグランドアイミはフルバーストを止め、あの緑のきらきら光る空間も消え去っていた。
しかしいつまでたっても小さくはなったもののあの暗黒の渦が消えない。
「だ、駄目、エルハイミあたしから離れて!」
いきなりティアナはあたしを突き飛ばす!?
何が起こったの!!!?
そしてみるとティアナの胸元にあの黒い渦が小さく発生していた。
『精霊王たちよ! もういい、その力を止めなさい!』
あたしは必死になって精霊王たちに命令をする。
しかしティナの胸元に出来た暗黒の小さな渦は一向に消えない!?
むしろだんだん大きくなってきている??
あたしはグランドアイミを見る。
するとグランドアイミの胸元の緑のクリスタルにひびが入っていることに気付く。
巨人を飲み込んだ暗黒の渦は消え去ったが今度はティアナのもとにその暗黒の渦が現れ徐々に大きくなっていく。
あたしは慌ててティアナに手を差し伸べる!
しかし暗黒の渦は今や人が簡単に入れるくらいにまでなり易々とティアナを飲み込んでしまったのだった。
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