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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第八章
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第八章8-27もう一つの巨人

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


さあ、何とか頑張ってティナの町を手に入れますよ!

私はまたあのミルクティーが飲みたいのですよ!(ヨハネス談)


 8-27もう一つの巨人



 「いやはや、流石にエルハイミさんたちですねぇ。まさか巨人が倒されるとはね」



 戦場においておおよそ似つかわしくないその声はどういう訳か雑音の中でもあたしたちの耳に入ってきた!?



 「聖騎士団の皆さん、我が女神ジュリ様はお嘆きだ、ジュリ様は戦う事を望まれています、退かぬ、媚びぬ、顧みぬ! それがジュリ様のお望み! さあ、私も手を貸します、聖騎士団の皆様奮闘を!!」



 そう言って森から姿を現すヨハネス神父。

 そしてその周りにブラックマシンドールたちが現れる。


 この期に及んでブラックマシンドールで緑のモンスターを相手にするか?


 あたしがそう思った時だった。

 森の木々をなぎ倒しあれが姿を現したのだ。



 そう、巨人である!!



 しかしその外観は先ほどの巨人と少し違い、うろこで体が全部覆われていない?

 しかも皮膚がやわらかいのか脈打つ血管がうっすらと見える?


 「まだまだ孵化には早すぎましたが仕方ありません。さあ、あなたの力を見せてやりなさい! 焼き払え全てを!!」


 ヨハネス神父のその声に新たに現れた巨人はその口を開き逃げまとう聖騎士団もろとも緑のモンスターを焼き払う。



 「はははははっ! さあ聖騎士団の皆様、敵はあちらですよ! ジュリ様に歯向かう異教の者たちを殲滅するのです!!」



 巨人の劫火に焼き払われた騎士団は慌ててもう一度こちらに向かって攻撃をかけてくる。

 たとえ緑のモンスターにかなわなくてもだ。


 「小型投石、弓矢隊迎え撃てっ!」


 ゾナーのその命令に城壁からまた雨のように石や矢が聖騎士団に降り注ぐ。


 既に戦場は混戦に入っていた。


 ホリゾンの騎士団はその数を著しく減らしながらも一歩も引かない。

 そんな中ゆっくりと巨人は歩みをこちらに向けながらまた紅蓮の炎を吐く!



 「【絶対防壁】!!」



 あたしは直撃が来るそれを魔法の壁で受け止める。

 まだまだあたしの魔力は残っている、あたしやティアナがいる限り守りの魔法は使える。

 あとはあの巨人をシコちゃんの魔法で倒せば残るはブラックマシンドールとヨハネス神父のみ!


 「守りますわよ、ティナの町を!!」


 「ええ、勿論よ! エルハイミ防御は任せて! シコちゃんと巨人を!」


 ティアナがそう言ってくれるのであたしはシコちゃんと巨人を倒すために攻撃に集中しようとした。

 だが巨人はいきなりかがみ、なんとヨハネス神父を持ち上げて肩に乗せる!?


 どういうつもりよ!?


 『エルハイミ、かまわないからやっちゃいましょう! 行くわよ【竜切断破】!!』


 シコちゃんは構わず光る大きな刃を作り出し巨人に向かって放つ。

 その光の刃はまっすぐに巨人に吸い込まれ先ほど同様に巨人を切断すると思われた!

 しかしその刃は巨人に触れることなく見えない壁に受け止められ霧散した!!!?


 『なっ!? どういう事よ!!!?』


 驚くシコちゃんだがあたしはヨハネス神父がしたことを見逃さなかった。


 ヨハネス神父は古代の指輪の力を開放したのだ。


 「シコちゃん、あれがヨハネス神父ですわ! 十二使徒の一人、古代魔法王国の秘宝を扱う厄介な相手ですわ!!」


 『魔法王国の秘宝ですって!?じゃあ、天空の宮殿にあった秘宝を持っているとでもいうの!? あれものすごく厄介なものばかりよ!!』


 シコちゃんの嫌そうな声がする。

 あたしはそうなんだろうなと思いながらヨハネス神父を睨む。


 「ふははははははっ!流石古代魔法王国の秘宝! あんな恐ろしい攻撃魔法も打ち消しますか! よろしい、巨人よその力存分にふるいなさい!! 私が手伝ってあげましょう!!」


 そう言ってヨハネス神父はまたまた指に沢山ついている指輪の一つの力を開放する。



 「エルハイミ! やばい! 怒りの精霊よ!! 巨人の心を怒り一色に変えていくわ!! 『狂戦士』バーサーカーになる!!」



 シェルが青ざめてあたしに言う。


 

 バーサーカーですって!?

 ただでさえ見境の無い巨人があれ以上狂える戦士になったらどうなるのよ!?



 見ると巨人は皮膚の色を興奮で赤くさせ、見える皮膚の血管を浮かび上がらせ口や鼻から煙を吐き始めた。



 「ぐるぅぉぉおぁあああああああぁぁぁぁっっ!!」



 くぐもった雄たけびを発しながら巨人は紅蓮の炎を吐き出した!

 その炎は長々と続き、聖騎士団や緑のモンスターを焼き払いながら城壁を襲う!


 「【絶対防壁】! うあっ! 間に合わない!!」


 ティアナの【絶対防壁】が紅蓮の炎を受け止めたがその炎は止むことなく右へとずれていった。

 ずれた炎は【絶対防壁】を超え魔法がかかっていない西側の城壁をとらえる!



 ずががガガガがぁあっ!!


 

 炎を受けた城壁の一部が破壊され瓦礫と化した。


 幸い全部は崩れなかったけどその高さを半分くらいにまでしてしまった。

 そして城壁の上で守りをしていた兵士たちもろとも……


 「まずい! 門に控えていた兵をまわせ! 城壁内に騎士団を入れるな!!」


 ゾナーは慌てて指示を飛ばす。


 「エルハイミ! まだ来るっ!!」


 シェルの言葉に巨人を見ると休みなしにまた紅蓮の炎を吐き出そうとしている?


 「だめっ! あたしじゃ防ぎきれない!!」


 ティアナが悲鳴を上げる。

 あたしはすぐさまティアナの助太刀に入る。


 巨人が炎を吐き出した!

 またまた聖騎士団もろとも薙ぎ払うかの如く炎を吐き続け城壁を狙ってくる!


 「「【絶対防壁】!!」」


 あたしとティアナが魔法の壁を張りその炎を受け止める。



 どがががががががぁつっっっ!!!!



 何とか範囲を魔力量に物を言わせ広げやり過ごす。

 しかし何度も耐えきれない!


 「こうなったら、ティアナ、守りは私に、ティアナはグランドアイミで直接巨人を倒してくださいですわ!! きっとあの肌がむき出しになっているところが弱点ですわ!」



 「わかった、アイミ、アース、ウォーター、フレイム、ウィンドー【最終融合承認】よ!!」



 ティアナのコマンド魔法でアイミたちが空中に飛び出す。


 そしてどこからか例の掛け声が上がったと思うとアイミたちは空中で一瞬Ⅴの字型にひかり、各マシンドールたちが変形を始める!


 そしてアイミにフレイムとウォーターが両肩から腕へ。

 ウインドーとアースが腰から両足へ。

 胸部に四つの魔結晶石が集まりそれを全体に緑色のクリスタルがおおう。

 最後にアイミの頭に王冠のような飾りがつき、もみあげも金属のじゃらじゃらしたものが伸び、背中から八つの後光のようなリフレクターっぽいものが生える!


 

 「完成! グランドアイミ!!」



 どこからか掛け声が上がりグランドアイミが空中で決めポーズをとる!


 

 グランドアイミは緑の光を噴射させながら巨人に迫る。

 そして素早い動きでうろこの無い皮膚に攻撃をする。


 バキッ!

 ぶしゅっぅぅぅ!!


 打ち砕いた皮膚から巨人の血しぶきが飛び出す!


 「いける! グランドアイミ!! やるわよ!」


 同調したティアナはグランドアイミを操り次々と攻撃を加えていく。

 そのたびに巨人は傷つき血を流す。



 「これはいけませんねぇ、直接攻撃されたら防げないでは無いですか? ザシャ、何とかしてください?」


 ヨハネス神父がそう言うと神父の影からダークエルフの女性が現れた!?

 銀の髪に褐色の肌、エルフ族と違い胸が大きく着ている服も扇情的、どちらかと言うと大人の女性のような雰囲気が漂った美人だ。


 「お任せください、ヨハネス様」


 そう言ってその場から飛び降りる。

 そして地面に軽々降り立つまでにはその数が四つに増えている!?


 ザシャと呼ばれた女性のダークエルフの後ろに三人の男性のダークエルフが控えていた。


 「ヨハネス様に仇成す者許しません!!」


 そう言って精霊魔法を発動させる。

 後ろに控えていた男性のダークエルフも同様に精霊魔法を発動させた。


 実体のない黒いフードをかぶった幽霊みたいなのがグランドアイミに殺到する!?


 

 「闇の精霊だわ!」



 シェルがそれを見て叫ぶ。

 その闇の精霊はグランドアイミにまとわりつく。

 グランドアイミはそれらを薙ぎ払おうとするが実体がないので掴む事が出来ない!?



 「うっ!?」


 「ティアナ!? どうしましたのですの!!!?」


 『エルハイミ! 精神攻撃よ!! グランドアイミから闇の精霊が精神攻撃を仕掛けてきているのよ!!』 


 同調していたティアナはグランドアイミを通して闇の精霊の精神攻撃を受けていたのだった!

 ティアナはうずくまりそのその精神攻撃に抗っている。


 しかしその為にグランドアイミの動きが止まってしまった。



 「さあ巨人よやりなさい!」



 ヨハネス神父の声が響く。

 巨人は空中で動きの止まったグランドアイミめがけて拳を振るう!



 バキッ!!



 グランドアイミは抵抗することなく巨人の拳に殴り飛ばされる。

 

 「グランドアイミ!!」


 あたしが叫んでいるとシェルがこちらに来る。


 「エルハイミ! あたしに魔力を注ぎ込んで!! 闇の精霊に光の精霊をぶつけるわ!!」


 あたしはすぐさまシェルの背中に手をつき魔力を注ぎ込む。


 「んぁっ! 魔力が入ってくるぅ‥‥‥ い、行くわよっ! 光の精霊たちよあたしに力を貸して!!」


 シェルの掲げる手のひらにまばゆい光を放つ光の精霊たちが集まる。

 シェルはそれをグランドアイミに向けて解き放つ!


 光の精霊たちは闇の精霊たちにぶつかり闇の精霊たちは断末魔を叫びながら掻き消えていった。


 

 「なんて強力な精霊使いなの!?」



 ダークエルフのザシャが驚いているようだ。


 「くぅうっ、よくもやってくれたわね!! グランドアイミ! 立ち上がって!! 倍返ししてやるわよ!!」


 精神攻撃から解き離れたティアナは地面に叩きつけられていたグランドアイミと再同調して全身に怒りの炎をまとい浮かび上がる。


 「【紅蓮業火】! 行くわよ、ガレント三十六式が一つチャリオットぉっ!!」


 魔法の紅蓮の業火をまとったグランドアイミは勢いを増し巨人に体当たりをしようとする。

 途中ダークエルフたちがまた闇の精霊たちを召喚するけどシェルの光の精霊と魔法の業火にかき消されそのまま巨人に体当たりをする!


 流石に巨人とは言えどグランドアイミの全力の体当たりには耐えきらずたたらを踏む。



 「うおっっと! 危ない危ない!!」



 巨人の肩に乗っていたヨハネス神父も今の攻撃でだいぶふらついたものの器用に体勢を立て直し落ちることなく巨人にしがみついていた。


 「流石に簡単には行きませんねぇ。ますますあなたたちが欲しくなってきましたよ、エルハイミさん! しかし今はティナの町が欲しい、ブラックマシンドールたち、今です役目を果たしなさい!!」


 ヨハネス神父がそう言った瞬間だった。


 

 どがぁぁああああああぁぁぁんっっっ!

 ぼぉおおおおぉぉぉぉんっ!


 

 なっ?

 いきなり城壁が爆発した!?


 

 見ると所々爆発に耐えられず崩れ始めている?

 どういう事!?


 「主よ、ブラックマシンドールがいつの間にか城壁付近に来ていて自爆した!! ここも危なくなってきたこのままでは司令塔も崩れる!」


 ショーゴさんが戻ってきて状況を説明する。


 「くそうっ! だがまだまだ城壁全部がやられたわけではない! 俺も直接下に行って指示をする! 小型投石機と弓矢隊は引き続き上から攻撃しろ! だが危なくなったら退避、エスティマ様の軍の支援に回れ!」


 「ゾナー、私も行くぞ! ここはもうやばい! もう一度爆破が来れば司令塔も崩れる! エルハイミ殿、ユリシア様、我が軍の後方へ移動してください!」


 「あらあらあら~、だったらあちらの指導者を倒しちゃいましょう、『大樹の皇帝』であの巨人までの道を作るわぁ、エルハイミ、ティアナちゃん、シェルちゃん行くわよぉ~」


 ママンがとんでもないこと言う。

 しかし確かにヨハネス神父さえ倒せればこの戦争はあたしたちの勝利になる。


 「行きましょうですわ! ティアナ、シェル!」


 「わかった! 兄さまあたしたちでヨハネス神父を倒しに行きます!!」


 言いながらあたしたちは走り出す。


 「エルハイミ殿! くそっ! ゾナー、あとは頼む! 我が親衛隊は敵本陣を叩きに出るぞ! マシンドール部隊も続け!!」


 そう言ってママンが緑のモンスターたちを操り巨人までの道を作ろうとする。

 エスティマ様率いる親衛隊も打って出てそれに連なるエスティマ様の軍も動いた。




 あたしたちはヨハネス神父操る巨人へと急ぐのであった!

  

 

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[一言] 腐ってやがる、早すぎたんだ。 の一連行動をしている癖に、腐るほど早くには起動させていないヨハネスが……(歯ぎしり) ……わざと1度だけアガ様においで頂いてジュリ神も釣り出せれば、あの酷…
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