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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第八章
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第八章8-23反撃の狼煙

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。


あらあらあら~、本当にまた戦争が始まるのね~?

エルハイミ大丈夫かしらぁ~??(ユリシア談)


 8-23反撃の狼煙



 厳しい冬が終わりをつげこのティナの町にも春が訪れる。

 あの豪雪も嘘のように融け始め街道の石畳が見え始めた。



 「報告します! 第一陣、第二陣ともに爆破に成功です!」



 おおっー!!



 偵察兼強襲部隊があたしが作った時限爆弾で山間ルートのホリゾン増援部隊の足を止める事に成功したらしい。

 作戦成功の狼煙が上がったとのことだ。


 だいぶ遠回りかつ大物の荷物があるおかげでその歩みは恐ろしく遅かったホリゾン軍だが運んでいた物が大問題で十中八九巨人の卵と予測される。



 「よし、第一段階は我々の勝利だ! ダムの方はどうなっている!?」



 「準備は整っています! いつでも雨を降らせてください!!」


 伝令の兵は興奮気味にそう言う。

 ゾナーやみんなはあたしを振り返る。



 「エルハイミ、お願い!」


 ティアナのその声にあたしは大きく頷き答える。!


 「はいですわ! シコちゃん、行きますわよ!!」


 『いいわよ! さあ沢山あたしの中に注ぎ込んで!!』



 あたしはシコちゃんに大量の魔力を注ぎ込む!

 そしてシコちゃんは大雨を降らす【高層雲暴雨】の魔法を遠く山と山の間に向けて発動させる!!



 『流石に遠いわね!? でもエルハイミのおかげで魔法は完成したわ! あとはどんどん魔力を注ぎ込んで高層雲をもっともっと育てるのよ!!』



 そう言うシコちゃんの言葉にあたしたちは遠く山と山の間に出来上がった積乱雲を見る。

 既に大雨が降り始めているようで遠くても水煙が見える。



 「あの様子だと既にあの辺は洪水が始まっているな。監視班よく見ておけ! 合図の有無を見逃すな!!」


 

 大雨が降ること数時間、向こうの方にまた別の狼煙が上がる!!

 それを観測班が大声で報告する! 

 

 「成功の狼煙です! ダム決壊、洪水、時限爆弾による破壊によりホリゾン軍増援部隊は大打撃です!!」




 おおっーーーー!!!!



 ここにいる兵士全員が大声をあげる!

 

 「よし、偵察部隊の撤収だ!逃げ込んできたら全力で援護してやれ! 別同部隊も合図の狼煙を上げて撤収させろ!」


 ゾナーのその指示にこちらからも狼煙を上げ、河川の船着き場、旧道の両方にも時限爆弾を設置して偵察兼強襲部隊は撤退を始める。

 これで補給ルート三つに足止めを加えられたことになる。


 「うまく行ったわね! エルハイミ、これで巨人の卵も破壊できたかしら?」


 「そこは分かりませんですが少なくともこれでまた時間が出来ましたわ。でも同じ手は二度は効かないでしょうですわ。何せあちらにはヨハネス神父がいますわ!」


 あたしは今回の強襲が成功したならばホリゾンは、ヨハネス神父は確実に動いてくると思っている。

 向こうの切り札である巨人がダメージを受けたのだ、それを補う事をしてくるはず。


 「今まで以上に注意が必要ですわ!」


 既に勝利に沸いているここであたしは自分に言い聞かせるようにそう言うのだった。



 * * * * *



 「無事に偵察兼強襲部隊は戻ってきたが嫌な報告がある。巨人の卵は破壊できなかったそうだ。ただ、取り付けられていた魔道具は破壊できたらしくホリゾンの連中はそれを大慌てで補修していたそうだ、あの洪水の中でも」


 ゾナーは数日後戻ってきた偵察部隊の報告を聞き重要な所をあたしたちに伝える。


 「破壊は出来なかったの?」


 「ほぼ真横で爆発したものも数個あったらしいが卵自体は耐えたらしい。全く、あの爆発に耐えられるとはな」


 ゾナーはそう言い資料をあたしに渡して来る。


 「十五万ですの!? しかも後続も続いて来ていたのですの!!!?」


 あたしはレポートを読んで驚いた。

 今回の洪水作戦で進行していたホリゾン軍十五万の部隊に大打撃を与えられたは良いがまさかそこまでの軍隊だとは思わなかった。

 しかもまだまだ後続が来ているという。


 「雪が融けたら本気でここを落とすつもりだったようだな。主よ、エスティマ様こちらへの増援はどうなってますか?」


 「王城は招聘をかけている。しかし南のスィーフへも追加で兵を派遣しているとのことだからこちらにどれだけ回せるか」


 エスティマ様はそう言う。


 「コルニャもこれ以上は望めないわね。もともと自衛分しかいないし、マシンドールを追加で回すのが手いっぱいだわ。ノルウェンも兵はまわしてくれる手はずだけどもともとあそこの戦力は期待できるほどでは無いしね」


 あたしは既にロックゴーレムを二百体以上作ってこちらへ向かわせている。あと一日、二日でこちらに着くだろう。


 「そうすると総戦力で五万届かんか。今までの戦争なら厳しいがマシンドールやエルハイミ殿が開発した小型投石機、簡易魔装具に時限爆弾、そして強力な魔法か。楽観視は出来ないが数の不利はそれで補うしかないな。」


 ゾナーはそう言いティアナは小首をかしげて質問をする。


 「実際これだけの大戦が始まるわけだけどどうすればいいのよ?」


 「セオリーではこの町が占領されるか相手側の指導者もしくは指揮官が打ち取られれば勝敗は決まる。しかし今次攻めてきているのは聖騎士団とジュメル、セオリー通りに行くかどうかだが」


 ティアナのその質問にエスティマ様が答える。

 

 「聖騎士団だ、降伏しても町の住人含め全て異教、異端者として殲滅させられるだろうな。惨殺が始まる」


 ゾナーのその言葉にここにいるみんなは言葉を失う。

 確かに彼らにしてみればこれは聖戦。

 神に歯向かう異教、異端の輩。

 容赦するはずはない。



 「巨人が出てきたら安全の為に住人は避難させるべきですわ。そして退路は確実に確保するべきですわ」



 あたしのその言葉にみんなは苦虫をかみつぶした顔をする。

 しかし生きててなんぼ、無駄死にするならこの町を明け渡してでも逃げた方が良い。



 「しかしそれをすると住民たちは二度と戻ってこなくなるかもしれんぞ?」


 「もともと砦だけあった場所ですわ! 町はだめになってもまた作ればいいのですわ! そんな事より命の方が大事ですわ! 人さえいればまた町は起こせますもの!!」


 あたしのその言葉にティアナはふっと笑う。


 「そうね、駄目ならまた作ればいい。でも死んでしまったらそれまで。負けるつもりは無いけどそうしましょう!」


 「主がそう言うならそれで決まりだな。エスティマ様、よろしいですか?」


 「もともとここはティアナが領主、ティアナがそう決めるなら構わん。だが私は負ける気などないぞ!?」


 「勿論ですわ、私たちは負けませんわ! きっと勝てますわ!」


 あたしはそう力強く言うのであった。



 * * * * * 


 シェルがあたしたちの部屋に来ている。

 もうじき寝る時間だ。

 しかしシェルはあのミードをもって来て一緒に飲もうと誘ってきた。



 ぱちっ



 暖炉の火がはじける音。

 あたしたち三人はソファーに座りミードを飲みながらその炎をただ眺めている。

 


 

 「まさかこんな所にまで来て人間の戦争に加担するとは思いもしなかったわ」



 シェルはそう言ってちびりとミードを飲む。

 もともと学園にまでついて来ると言っていたシェルだが気付けば何時もあたしたちと一緒にいろいろと手伝ってくれている。



 「嫌なら別に無理しなくて学園に帰ってもいいのよ?」


 わざと意地悪な風にティアナは言う。


 「ジルやマリアもいるしあたしがいないとみんな危なかしくって見てられないわよ。ちゃんと最後まで付き合ってあげるわよ」


 珍しく素直なシェル。


 「‥‥‥ありがと」


 珍しくティアナも小声ではあったけど素直に言う。

 何とも言えないその時間をあたしたちは共有する。



 

 ぱちっ




 また薪が音を上げる。


 

 「さて、そろそろ寝るわ。あたしはお邪魔だからいくね」



 そう言って立ち上がるシェルの手をあたしはなぜか無意識にとった。


 「ん? どうしたのエルハイミ?」


 「あ、その、えーと、今晩はみんなで一緒に寝ません事?」


 あたしは思わずそう口走る。

 そしてハッと気づき上目づかいでティアナを見る。


 「だめ、ですの?」


 ティアナは優しく微笑みあたしに口づけする。

 

 「エルハイミは甘えん坊さんね。いいわよ、今日はみんなで寝ましょう。その代わりエルハイミのご褒美はお預けよ?」


 あたしは赤くなりながらこくこくと首を縦に振る。


 「全く、じゃ、あたしも一緒に眠らせてもらうか、みんなで寝るのは久しぶりね?」


 そう言ってシェルは素っ裸になる。



 え?

 裸で寝るの!!!?



 「シェ、シェルなにも裸にならなくてもですわ!!!?」


 しかしシェルはあたしをぎゅっと抱きしめる。

 

 「変な事はしないのでしょう? それに寒い時はこの方が温かいわ」


 「シェル、エルハイミはあたしのなのだからね!」


 そう言ってティアナも裸になりあたしを脱がしながら抱き着いてくる。


 

 なにこれ何のご褒美!!!?



 「さ、寝ましょ」


 そう言って三人でベッドにもぐりこむ抱き合って瞳を閉じる。





 温かい人肌の温度にあたしは包まれ、安心して眠るのであった。  

  

 

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― 新着の感想 ―
[一言] ああじれったい……もっと戦略兵器を……。 NBC兵器を……。 音響兵器もいいぞ……。 フィクションな分子結合すら揺るがす超音波装置をいくつも使い、別個で同一個体へ当てて複合音波にして分子崩壊…
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