第六章6-12女の子
おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。
異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。
おとなのかいだんの~ぼるぅ~♪(エルハイミ談)
6-12女の子
あたしは見れなかったけど上級精霊の呼び出しはそれはそれは大騒ぎで大変だったらしい。
あれから三日が経ち明日にはボヘーミャに帰らなければならない。
あたしはアンナさんが見せてくれている融合された魔結晶石を見ている。
「すごいですわ、本当にこれ一つ一つに上級精霊が融合されているのですわね!」
一つ一つの存在感も放っているオーラも格段に違う。
アイミの心臓に宿っているイフリートの魔石に匹敵する。
まあ、アイミの場合イレギュラーで生まれ出たので元の魔晶石や魔宝石が違うので単純には比較できないんだけどね。
「これで四連型魔晶石核が作成できますわね!」
ややぎこちないにっこり顔で言うあたしにアンナさんは「え、ええ‥‥‥」と応える。
‥‥‥この場の雰囲気をなるべく良くしようとするあたしに協力はしてくれているのだけど。
「ふーん、これが魔結晶石核ってやつ? すごいわね、本当に上級精霊たちが宿ってるのね!?」
シェルが当たり前のようにあたしの隣で魔結晶石を見ている。
そして完全ではないあたしの体を支えるのを手伝ってくれている。
「う~~~~~~~~~~~~~」
シェルの話では時の指輪をつけて命の共有をし始めているからなるべく近くで一緒にいた方が効果があって回復しやすいらしい。
確かに以前同じような目にあった時は一週間以上回復にかかっていたけど、今回は既に髪の毛も半分くらい元に戻って自分で立って歩けるようにはなっている。
魔法も簡単なものは使えるし、かなりのペースで回復している。
のだが‥‥‥
「う~~~~~~~~~~~~~~」
さっきからティアナが睨んでいる。
ティアナは上級精霊呼出し後魔結晶石にシコちゃんと融合作業をしたのだが、わがままな精霊たちとけんかになって結局力づくで屈服させ融合にこぎつけたらしい。
その時には師匠含めこちら側はあたしを除く総戦力戦だったらしい。
「あっ!」
あたしは椅子に戻ろとしてバランスを崩す。
するとそっと手が出てあたしを支える。
「何やってんのよ、気をつけなさいよね!」
シェルがあたしを助け起こす。
「ううっ、ありがと、シェル」
「う”~~~~~~~~~~~~~~っ!!」
頭ではわかっていても感情が爆発寸前の人がここにいます。
「え~る~は~い~み~ぃ~~~~~!!」
「ん? ああ、ごめんごめん取ったりしないから安心して。それじゃティアナあなたがエルハイミ支えて。あたしはそろそろコカコールの飲み物作ってくるから」
そう言ってシェルはティアナと交代して鼻歌交じりで出て行った。
「わかってはいるけど、エルハイミてばシェルに甘えすぎ!!」
「‥‥‥はい、ごめんなさいですわ」
あたしが悪いわけじゃないけど謝っておく。
じゃないとそのまま押し倒されていろいろされてしまいそうな気がする。
そう、最後までされちゃいそうな気が‥‥‥
「ま、まあ、殿下もやっと回復したわけですし、今回の目的も達成できたわけですし、良かったではありませんか」
アンナさんが気を使ってくれる。
「そりゃまあ、あたしも魔力全部使って気を失うなんて久しぶりだけど、丸一日以上寝込むなんて初めてよ!」
ティアナたちが融合に成功して間をおいてあたしの所に来たのは上級精霊たちとの激しい戦いやその後の融合に魔力を全部使いきってしばらく動けなかったからだ。
ショーゴさん曰く「地下のゴーレムなど足元にも及ばなかった強さだ、流石上級精霊だ」なんて言ってたから相当なもんだったのだろう。
今は治せないけど義手の表面は傷だらけどころか所々へこんでいた。
動きも怪しいから一度フルメンテナンスしないといけないかも?
今度は鏡面やめてゆず肌表面しあげにしようかな?
『【賢者の石】のケンちゃんいないのによくも四大精霊打ち負かせたわよね。ティアナもティアナでエルハイミまではいかないけどかなり魔力持ってたし、他の連中もあれじゃ一騎当千だわね』
シコちゃんが感想を述べる。
「それで明日の移動ですが、エルハイミちゃんがまだこの状態なので殿下にお願いしなければなりません。よろしいでしょうか?」
「ま、仕方ないわよね。ちゃんとみんなをボヘーミャまで送り届けてあげるわ!」
かなりの大所帯だけど、何故かあたしやティアナがゲート使うとそれほど魔力使わないんだよなぁ~。
なんでだろ?
「シコちゃん、ゲートって何故私たちが使うとそれほど魔力を使わないで済むのですの?」
『ん? もしかして一度に魔力放出渋っているの? あれってパイプの中身を水で押し出すのと同じだから一気に魔力で押し流さないとだらだら魔力ばっか使う羽目になるわよ?』
今明かされる驚きの真実!!
じゃあ百人近い魔導士が一人送るのに魔力流すのがちびちびだから苦労したって事?
なんか水洗トイレのような‥‥‥
「じゃあなに? 一気に大量の魔力流せればアンナたちにもできるって事?」
ティアナはシコちゃんに質問する。
『そうね、一度に放出できる魔力量にもよるわね。多分アンナのクラスなら一度に二、三人くらいなら運べるんじゃない? ティアナやエルハイミみたいな規格外は別だけどね』
「殿下、『至高の杖』と何のお話をしているのですか?」
シコちゃんの声が聞こえない人にはこういった会話は聞き取れない。
「うん、アンナだったらゲートが使えるらしいわ。ただ、一度に運べる人数が二、三人くらいらしいけど?」
「私にですか? それはぜひ教えていただきたいですね!」
ああ、アンナさんにスイッチが入っちゃった。
アンナさんはティアナとあれやこれや話し始める。
確かにゲート使える人が増えると楽と言えば楽だけど。
と、あたしはちょっとお手洗いに行きたくなった。
「ティアナ、ごめんなさいですわ。ちょっとトイレに行きたくなってしまって‥‥‥」
アンナさんと話していたティアナはあたしの声にこちらに戻ってきて「うん、じゃあ行こうか」と言いながら歩くのを支えてくれる。
ぴこぴこっ?
「大丈夫ですわ、ティアナがいてくれれば問題無いですわ」
アイミがあたしをおぶって行こうかとか言ってる。
しかしもう自分で歩くくらいできるし、明日にはボヘーミャに戻らなければならない。
それにティアナがいるから大丈夫だ。
「今までこういうのもずっとシェルに頼ってたんでしょ?」
何故ジト目で見る。
仕方ないじゃん、ティアナも倒れてたんだもん。
「し、仕方なかったのですわ。手が空いていたのがシェルだけだったのですわ」
実際この三日間でかなり親しくなったのは否定できない。
何せ念話だって簡単にできるし、当人はあたしがマーヤさんを助けてくれてから恩義も有るとか言ってたし。
気付けばあたしもシェルの事は既に呼び捨て。
当人もそれでいいと言ってたから余計に遠慮が無くなってしまった。
しかし、元気になってあたしの様子を見に来たティアナはどんどん不機嫌に。
「‥‥‥浮気者 (ぼそっ)」
どきっ!
「ティ、ティアナ??」
「はい、トイレ付いたから行ってきなさい。あたしはここで待っててあげるから」
うう、ご立腹だ。
あたしは仕方なくすごすごと用を足しに行く。
『ねえ、エルハイミあなたなんで発情してるのよ?』
はえ?
いきなりシェルが念話で話しかけてくる。
『発情って、私は何もしていませんわよ?』
『いや、だって子供産む準備してるから‥‥‥ それともヒュームってしょっちゅうこういうの有るの?』
何を言っているのだ、この人は?
まるであたしが欲求不満のようじゃない??
「えっ??」
えーと、血ぃ?
‥‥‥
‥‥‥‥‥‥
「ティ、ティアナぁっ!!!!」
その後師匠に暴露されて赤飯となったのは言うまでもない。
評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。
誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。




