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エルハイミ-おっさんが異世界転生して美少女に!?-  作者: さいとう みさき
第五章
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第五章5-25アテンザの援軍 *

おっさんが異世界に転生して美少女になっちゃうお話です。

異世界で力強く生き抜くためにいろいろと頑張っていくお話です。



一日一回やらないと気がすまなくなってきましたわぁ~(エルハミ談)


5-25アテンザの援軍


  あたしたちが古代遺跡から出てきた時はちょうど夕方になる頃だった。


 

 いやー、腹時計は正確だよって聞いたことあったけど本当だね。

 あたし今空腹です。

 持ち込んだ非常食はまだあるけど流石に表に出てまでこれは食べたくないよね。


 そんなわけであたしたちはノルウェンのお城に戻っていった。


 * * * *


 「ウェースド陛下、今戻りました」


 衛兵に許可をもらってからマース教授は宣言して部屋に入る。

 あたしたちは会議室にいるという陛下たちのもとへやってきた。


 「おお、マース教授殿、無事そうで何よりだ。して、そちらはどうであったかな?」


 「ええ、魔結晶石と古代魔法王国の秘宝が見つかりました」



 どよっ!



 「おお、それはすごい、よくぞ見つけ出したものだ!」


 ウェースド陛下はご機嫌のご様子。

 しかし、他の大臣が暗い顔つきをしていた。


 「ウェースド陛下、ティアナたちはどこですの?」


 あたしは思っていた疑問を聞いてみる。

 さっきからティアナたちの姿が見当たらない。


 「実はな、明け方にジュメルの襲撃を受けてな、ティアナ殿下たちに協力してもらい何とか撃退できたのだがな‥‥‥」


 まさか、ティアナが怪我でもしたんじゃ!?

 

 焦るあたしはいてもたってもいられなくなり、陛下に聞く。


 「ティ、ティアナは何処に!?」


 「今は部屋で休んでおられる」


 「すみませんわ、失礼させていただきますわ!!」

 

 あたしはそう言って駆け出していた。



 * * *



 ティアナはあたしと同じ部屋なので場所は分かっている。

 慌てて駆けつけたあたしはベットに横になっているティアナを見つける。


 「ティ、ティアナ! どうしたのですの!? どどこか怪我でもしたのですの!!!?」


 「うっぅうううんん‥‥‥ エルハイミ?」


 あたしは気づいたティアナに思わず抱き着いた!


 「あわわわ、どうしたのよエルハイミ?」


 「ティ、ティアナ! ど、どこか怪我でもしたのですの? それとも気分が悪いのですの!? まさか呪いをかけられたんじゃないのですの!!!?」


 思わずティアナの体をまさぐってケガが無いか、傷が無いか確認する。


 「こらこら、何もないわよ、落ち着きなさいよ。どうしたのよそんなに慌てて」


 あたしは思わず涙目でティアナを見る。


 「だって、陛下がこんな時間なのに部屋で休んでいるっていうから、私てっきり何かあったんじゃないかって心配で心配で!!」


 そんな慌てているあたしにティアナはいきなり口づけしてきた。

 あたしは、びくんっ! と震えて硬直する。

 ティアナはあたしから離れちょっと赤い顔で軽くため息をつく。


 「んもう、落ち着きなさいって。ジュメルの連中を追ってお昼過ぎまで動き回っていたので疲れたから休んでいたのよ。今日は明け方襲撃してくるのだもの、寝不足で寝不足で、ふぁぁああっ~」


 あたしはティアナの横にちょこんと座ってきょとんとしたまま動けなくなってしまった。 

 そして途端に体の力が抜けていく。



 ぽてっ。



 思わずティアナの横に倒れてしまった。


 「よかったですわぁあぁぁぁ~ティアナに何もなくてぇ~」


 心底安堵して言うあたし。

 それを嬉しそうに見るティアナ。


 「お帰り、エルハイミ」


 「ただいまですわ、ティアナ」



 * * * * * * * *



 会食をしながらあたしたちが遺跡に潜っていた間の事をかいつまんで聞く。


 「つまり、今回は全く別のグループの襲撃だったという事ですね?」


 アンナさんが要約する。

 

 「そうね、そのグループにも例の変な服着た女幹部らしきのがいてやっぱりそれが指揮をとっていたわ」


 「ティアナ殿下たちのおかげで被害は無く済んだのは幸いであった」


 ウェースド陛下が本音を漏らした。

 流石にロクドナルさんやアイミがいればそうそう簡単にはいかないだろう。


 「しかし、今回の怪人、いやキメラでしたな。まさか遠距離魔法が使えるとは思いませんでしたな」


 「えっ!?」

 

 思わずあたしは驚きの声を上げる。

 まさかあの怪人で遠距離魔法が使えるのがいるの!?


 「そうね、おかげで今回は取り逃がしちゃったわ。捕まえた下っ端の黒ずくめは自爆してくれるし、やっぱりあの女幹部か怪人を捕まえないとだめね」


 そう言ってティアナはワインをくいっと飲む。

 ちょ、ちょっとティアナあまりお酒は‥‥‥


 「しかし彼らの目的と思われる『暗黒の杖』は我々が手に入れた。もうこの鉱山を襲う理由が無くなったのではないですかな?」


 マーズ教授はそう言いながらワインを口に運ぶ。

 確かにジュメルの目的がそれならばこの鉱山をこれ以上襲う理由は無くなる。


 「そう言えばそちらはどうだったの?」


 ティアナの質問にアンナさんが答える。


 「はい、結論から言うと一番奥の部屋に隠し扉があり、その地下にこの『暗黒の杖』と呼ばれる古代魔法王国の秘宝がありました。はっきり言ってこれはボヘーミャで研究保管する方が良いと思います。この杖の核には暗黒の女神ディメルモ様の体の一部が封じ込まれています」



 ガチャ!


 がたっ!



 アンナさんの説明にナイフとフォークを落としたり思わず腰を浮かせてしまう人もいた。


 「い、今何と言われた!?」


 大臣の一人が震える声で聞き直す。


 「暗黒の女神ディメルモ様の体の一部が封じられた杖です」


 今度はみんな黙ってしまう。

 それはそうだろう、神話の女神の体の一部が存在するなんて一大事だ。

 

 「ま、まさかその様なモノが我が国に有ったとは‥‥‥」


 誰となくつぶやくそれはみんなの気持ちを代表したものだろう。

 

 「そしてあの遺跡の目的は狂気の巨人を封じ込める為のクリスタルの材料、魔結晶石の生産を行う場所だったのです」


 ざわざわ!!


 「な、なんと!?」


 「そ、それは本当の話か!?」


 「間違いありません、そのことについて書かれた古代の魔導書も発見されました。見つけた魔結晶石は『暗黒の杖』に何かあった時の予備らしいという事です」


 あまりにもぶっ飛んだ話でみんな慌てふためく。

 あたしはソーセージをかじりながら考える。

 

 秘密結社ジュメルは多分ルド王国やホリゾン帝国と確実につながっているだろう。

 すると今回の目的って何だろう?

 ゾンビやスケルトンのようなアンデットでもたくさん作ってアンデット軍団でも作る気だったのかな?

 でもあのホリゾンがそんなことを必要とする?

 ビエムも最後にはゴエムに内緒にしてくれみたいなこと言ってたし、もしかしてこの組織ってホリゾンも知らない何か別なことやってるのかな?

 確か、この世界を破壊するようなこと言ってたし。

 ホリゾンにしても自分たちまで破壊されたんじゃかなわないよなぁ‥‥‥


 ぱきっ!

 

 このソーセージ美味しいなぁ。

 

 今は考えても仕方ない。

 まずは見つけ出した魔導書と「暗黒の杖」の解析が先だろうな。

 それと、あと最低三つ魔結晶石が欲しい。

 四連型を作るには最低でも四つ無いとだめだ。

 人工魔結晶石も早めに試してみたいしね。

 

 あたしは最後のソーセージに手を伸ばしたのだった。

 

 

 * * * * * *


 「エルハイミ、今晩もお願い。昨日はしてもらえなかったから念入りにお願いね」



 あたしは静かにうなずきティアナにふれる。 


 

 はいっ、今晩もお務めです!

 もうね、最近はこれやらないと落ち着かないのよ!

 なんたってティアナの胸がちゃんと成長しているんだもの!!

 そりゃあ、あたしだって真剣だよ!?

 ティアナとあたしの運命がかかっているのだもの!

 よこしまな気持ちなんて全然ありませんて、たぶん。


 さあ、ティアナ夢のティーカップ越えまで頑張りましょう!

 今晩も揉みまくる‥‥‥ いえ、マッサージしまくるわよ!!


 

 ばんっ!!!!



 「ティアナ! 今戻りましたわ!! お姉ちゃんがいなくてさみしくはなかった・・・で・・・す・・・のぉ????」


 いきなりご奉仕の所にアテンザ様が乱入してきた!?

 顔と顔が不自然に近づきすぎたあたしたちを目撃したアテンザ様は硬直している。


 「あ、ね、姉さまこれは胸を大きくするマッサージで、決してやましい事じゃ‥‥‥」


 「あああっ! わかってはいたけどあたしのティアナがぁああぁあっぁぁっ!!!!」


 そう言ってアテンザ様は走り去っていった。


 

 どうやら援軍がついたようだ。

 こんな夜更けだけど‥‥‥




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